表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

「兄さん……ちょっと俺、相談したいことがあるんだけど、いい?」


深夜、俺の部屋を訪ねた弟がそう言ったのはいつだっただろう。

そう、それはホンの2週間前のことだった。
























************


















「はぁー。やっと終わったぜ……オワッ!!」


「これで歩と遊べるな。期末期末うるさかったからお前」


「は、離せよ、おい。ゥッ……息が詰まる!!ホントにマジヤバイから今の状況!」


俺[高野歩(たかのあゆむ)]は悲しいかな、デカイ(ずたい)にも関らず、俺より頭一つ分小さい友人A[荒坂浩介(あらさかこうすけ)]に抱きつかれ勢い余って首を絞められる形になり涙目になっていた。

殺されてはたまらない――いやいや、しないでしょ(笑、と思う人もいるかもしれないが、コイツはするぞ――と懇願すると、渋々ながらも離してくれた。


し、渋々だと??お前、俺を本気で殺すつもりだったのか!?

心の中で叫ぶが伝わるはずがない。

この時、浩介は『あのまま、俺があゆむを殺してたら俺だけのモノになってたのになぁ~』と、下唇を噛みながら恐ろしいことに本気で悔しがっていた。


恐ろしい奴だぜ、まったく……

そう思いながら、はや10余年。小学校のとき――いや幼稚園のときだったか?――に浩介に懐かれて以来、ずっと一緒にいる。もはや、腐れ縁としか言いようがない。それを言うたび、浩介は『赤い糸だよ♪』と意味不明なことを言うが。



「なぁなぁ。いつ遊ぶ?俺、26日から合宿があるんだけど……」

早速、浩介は遊ぶ日程を決めに入ってきた。

26日からか……

確か俺は27日から3日まで合宿があるな。今日は27、今日から春休みだ。合宿あけてからの方が良さそうだな……


「浩介、何日まで合宿?確か7日から学校だよな」


「う~ん?多分3日まで。じゃあさ、5日に遊ぼうよ!!ね?」

5日……予定を洗っていくと、多分何も入って、ない。


「おk。じゃあ4月の5日金曜日で。」


確かめるように浩介の方を向くと、ニカッと笑い「歩の(うち)に行くからな!」と元気イッパイに答えてくれた。

今日クラスであった事や面白かったこと等、世間話をしていたらあっという間に別れるところが来た。

ここを左に曲がれば、俺の家。まっすぐ行けば、浩介の家だ。

それじゃあ、と手を振り左へ行こうとすると、浩介が後ろから言ってきた。


「あ、合宿の前にお前んち行くから!突然訪問するけどよろしく頼むぞ~っじゃあな」


それだけを言い、まっすぐ走り去って行った。

おいおい……俺はいつも家にいなくちゃいけないって事か?

嘆息はしたものの、いつもの事なのでそのまま帰路に着いた。






「ただいま~……」


歩の体には少し狭い玄関で一応シーンと静まりかえり人がいるかも分からない家に向かって声をかけた。

………………。

誰もいない……のか?

いや、しかし。俺が愛して止まない弟がいるはずだ。

やはり歩が通るには少し狭い廊下を通り歩の部屋に向かう。

こんな時間まで――といっても、まだ6時だが――歩が家にいないことはまずない。

ドスドスと階段を駆け上り、俺の部屋よりも奥にある弟――高野桐耶(たかのとうや)――の部屋のドアを乱暴に開けた。

桐耶は彼が自費で買ったというハイスペックのPCの前に座り、ヘッドフォンをかけなにやらしていた。

こちらからは、桐耶の背中しか見えないが。

おーいいにおい……癒されるなぁー桐耶ッて感じ。ここなら何時間いてもいい。


「桐耶~?なにしてるんだ?」

…………。

答えてくれたっていいじゃないか……

っていうか、本当に桐耶は後姿もカッコいいなぁ~

見て!あのうなじ……白い肌にかかる産毛。一度も染めた事のない漆黒のつやのある髪。制服の上からも分かる鍛えられた筋肉。引き締まった臀部。

そんな事を彼の体を眺めながら考えてたら、いきなり桐耶が振り向いた。

ォワッ……!!

ぎょっとして、持っていた学校していのカバンを思わず抱きしめてしまった。

…………。

えっ、ちょっと何か言ってくれないんですか……

俺の姿を凝視される。

ウン?俺なんかした?しましたか?桐耶くん。何もしてないはず……あ、この前桐耶くんが買ってきたプリン、こっそり食べちゃったよ……それかなぁ?



「兄さん、プリンじゃないから……勝手に俺で変な妄想しないでくださいね」

え、何で分かったんだ?え、エスパー??

「エスパーでもないから……あと、俺の部屋に勝手に入らない。」

スタスタと歩きながら言ってきて、俺は追い出されるように部屋の外に締め出されてた。

締め出される瞬間さっきまで桐耶がつついていたPCが目に入ったが、もう閉じられていて何をしていたか分からなかった。

クソ、開いておいてくれたっていいじゃないか。お兄ちゃんにぐらいサービスしろ……

「桐耶、今度からタダイマって言ったらちゃんと返事くらいしろよな」

悔し紛れにそういうと、再びドアが開いた。

「オカエリ^^」

ニコっと笑った顔に『黙れ』と書いてあるのが見えた。

ハッ。もしかして女の子のエロイ動画とか見てたのか?俺が途中で中断しちゃった?

ウワ……何てことしたんだ。

男同士ならではの連帯感がここで勝手に発揮された。

可愛いなぁーウチの弟は……

歩には、途中で中断されイラついているように見えたのである。知らぬ間に同情されている桐耶だった。

真実は近いようでまったく違っていたが。

その真実のカミングアウトを相談と称して今夜されるとは知る由もなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ