37.縁は繋いで手繰りよせなきゃ
「エルメス·シュルプリーズもしくはアフェクシオン侯爵を傷つけるのが依頼内容だった」
ハザールは、エメラルドを渡すと非常に大人しくなった。手に持ったエメラルドが内包物に当たり針のような細かい光を零している。ハザールは、何よりも得難い宝というように服で宝石を拭うとしまい込み話し始めたのだった。
「取引を持ちかけたのは、中央に住んで役人をしているやつだ。あいつらは、俺達を学がないと馬鹿にしやがる」
「実際賢いものも多いが大半が上級貴族だから偉そうにしているものもいますね。私も覚えがありますわ」
エイダーが前にエルメスが新聞を読むと聞いて驚いたのは、女性の教育に関して帝国のの教育が遅れているから。文字を読み書きが貴族女性で出来ない人は、そうそういませんが文章の意味や背景を理解出来る教育は受けられない。
女性は、親や旦那の庇護下にあり余計な知識を入れないほうがよいという方針の家庭が多い。それは貴族の家で顕著で生活の知恵や考え方は、平民や商人の女性の方が上だと思う。シュルプリーズ家は、商売で名を上げた家のため教育をしっかりしてくれた。
その結果、前伯爵に目をかけられ婚約することになったのだ。
「あんたも大変なんだなぁ。貴族の女は、高慢ちきでどうしようもないと思ってたぜ」
「エルメスは、優しくて賢い女性だ」
「侯爵ベタ惚れじゃないか。いいなぁ、俺も母ちゃんに会いたいてぇな」
ポツリと呟くハザールは、どこか寂しそうに見えた。
「うちの村は、貧しくてな。村の守り以外は、みんな出稼ぎしてんだ。俺もそうでさ、家族を養うために帝都に出てたんだが仕事がなくてな。どうしたもんかと思ってたら金をやるからヤレってな」
「稼ぎたいならうちで働かないかしら。村の出稼ぎ全員を雇ってもいいわよ」
「誰だあんた。でもエルメスって人に似てんな」
「エルメスの姉。シャネル·ドゥオ·シュルプリーズよ。シュルプリーズ商会商会長って言ったらいいかしら」
シャネルが先ほどから目を光らせて虎視眈眈と狙っていた。
「有名な女商会長じゃねえか。なんでここにと言いたいが、侯爵までいるしな。何でもありか」
「悪い話じゃないわ。白月の民は、帝都より北西でしょう? 山越えしないといけないからあっちへ移動するの大変だから定期的に帝都と北西に運んで欲しいの」
シャネルは、ハザールに金額を提示すると大層驚かれた。
「月一でコレでどう? ちなみにうちの従業員扱いだからシュルプリーズ商会の商品を従業員価格で買えるわ」
「そんなにいいのか、なんかヤバいもの運ばせようとしてんだろ」
「北西のものは珍しいから帝都売れるし。帝都のものは北西の方で売れる。だからこれでよいの」
北西は、山脈があり野生動物もいるので危険な道程のため危険手当も入っているのだろうとエルメスは考えていた。
「でも俺は、貴族に手を出したんですぜ。何もないのは」
「帝都で依頼人を探すから協力してくださらない。それで無しにするで良いですよね。エイダー」
「はい、いいですよ。私の屋敷も狙われそうなのでシュルプリーズ家に置いて貰えませんか」
「未来の従業員なんだからいいわ。ひととなりももっと知りたいし」
ハザールは、しばらくシュルプリーズ家に滞在することが決まった。
その後ハザールを通して北西の名産が発掘される。そしてハザールが北西支店の支店長になるのはまた別のお話。




