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負けヒロインに誘われる


 大学の入学を控えた今までにないほどの、開放感に包まれた春休み。中にはまだ受験勉強を頑張っている人もいるが生憎、俺は大学の入学が推薦で決まっているため、春休みになる前から同じく受験が既に終わっている友人達と遊んでいた。

だが、悲しいかな。前世の俺も今世の俺も比較的運動は好きだし、外に出てショッピングをするのも好きだ。ただ、こういう羽目を外す時に散財する癖は相変わらずで、春休みに入ってすぐなのに手持ちはもうスッカラカン、友達に誘われても遊ぶお金がないので、こうしてベッドの上に寝転びゴロゴロと惰眠を貪っていた。

いつもなら、親が口煩く勉強しなさいとか言われるものだが、受験終わりの気の緩みというのを理解してくれているためここ数日は何も言ってこない。そのため俺の睡眠時間は1日11時間と日の半分を睡眠で過ごすようになっていた。


することがないため、こうしているわけだがそろそろ身体を動かしたい。そう思った俺は何をして身体を動かそうか考える。


(うーん、サッカーボールでも出してリフティングとかして遊ぶか?それとも誰かを誘ってスポーツセンターに行くか?飲み物さえ買わなければ、明後日のクラス会に必要な金には手を出さないし………でも、今日俺の友達はみんな市内の方に行ってるんだよな〜。はぁ、大人しく一人でボールと戯れよう)


俺は、お金を散財した自分を責めながらクローゼットから動きやすい服を取り出して着替えていると、ブーとスマホにメッセージが届いた音が聞こえた。


俺はどうせ、友達がボウリングで変なことでもしたんだろうと思い適当な返信を返そうと考えていた。

が、しかしメッセージを送ってきた人の名前を見て俺はその考えを捨てた。

そう俺にメッセージを送ってきたのは、前の一件からちょくちょく連絡を取るようになった水瀬からだった。彼女とのやりとりは趣味が合うためそのことを基本話している。

この曲が良かったとか、この動画が面白いとか、取り留めのないものばかりだが、始めた当初の俺は女子とメッセージのやり取りをあまりしたことがなかったためかなり緊張していたためかなりきごちなかったが、最近ようやく友達に気安く話しかけるような感じでやりとりが出来るようになってきた。


「えーと、『今からどこかに遊びに行かない?』か。うーん…………………は!?えっ、マジ?なにこれ嘘じゃないよな?あれ、俺今日死ぬのか。お、お、落ち着け俺。たかが女子から初めて遊びに誘われただけだ、そんなの普通に生活していれば何回かは人生のうちにあるはず。それが今来ただけ、好意などというものが含まれているという幻想を抱くな。それは後に自分を破滅に追いやる危険思想。……って!無理落ち着くなんて無理!マジでどうしよう!?」


俺はそうして一人でスマホを片手にベッドの上でゴロゴロとのたうち回り、何とか自分抑えようと必死になっていた。

ブーとスマホに新しく追加されたメッセージを見て俺は、冷や水をかけられたような気分になった。


小鳥「最近ストレスが溜まってそれを発散したくなっちゃって付き合ってくれないかな?」


「はは、そうだ。俺は何を舞い上がっているんだよ。この馬鹿野郎。水瀬の傷がそう簡単に癒えるわけないじゃん。そんなラブコメみたいなことはあるはずないだろ」


一瞬にして興奮が治まった俺は、少しでもこんな風に舞い上がっていた自分を叱りつける。


「それに、決めたんだ俺はこの春休みの間は水瀬にしてあげられることはしようって。なら俺がするべきことは一つ彼女を楽しませること、それだけだ。あわよくば彼女が出来るかもとかそんな甘い考えは捨てろ。それは俺が大好きなヒロインを貶す行為だ」


俺は数日前に彼女を幸せにしようと決意したことを、思い出し自分を戒め、邪念を完全に封じ込めた。そして俺は、


湊川『ちょうど暇だったから、いいよ』


と水瀬に承諾の意を込めたメッセージを送った。水瀬にしては珍しくすぐに返信が返ってきて


小鳥『やった!なら高校の近くにあるスポーツセンターに集合ね!待ち合わせ時間は13時で』


集合場所と待ち合わせ時間が送られてきたので、俺はその時間に間に合うよう準備を始めたのだった。

だが、その準備の際めっちゃくちゃ格好を気にしたのはここだけの秘密だ。いくら自分を戒めようと可愛い女の子にはよく見られたいお年頃、男という生き物は単純な生き物だと改めて俺は思うのだった。



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