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少しの間でも


 数十分経っただろうか?それくらい経つと、もう謝罪の声は完璧に聞こえ無くなった。

俺はそろそろスマホを回収しても良いだろうと思い、インターホンをもう一度鳴らし、ドアが開くのを待った。

暫くすると、ドアが開きそこには泣きはらしたせいで、目を真っ赤にした星川が居た。


「……湊川、ありがとうおかげできちんと話し合えた」


星川はそう言って、俺のスマホを返す。


「きちんと謝れたのか?」


俺は星川からスマホを受け取り、謝罪はどうなったのか聞いた。


「……うん……許してくれた。あんなにミナを傷つけたのに……ミナは最低な私達を許してくれた」


「そうか」


「私は明日、直接ミナに会って直接もう一度謝るつもり、ユウトは湊川が帰ったらすぐ謝りに行くって」


「………それなら良い、堺呼んでくれ言いたことがある」


「うん、分かった。ちょっと待ってて」


星川はそう言うと、家の中に引っ込んでいきそれに入れ替わるように堺が俺の前に現れた。


「ありがとう……湊川君、君のおかげで僕は自身のしでかしたことの重さを知ることができた。小鳥がそんな簡単に諦められる性格じゃないって知ってたはずなのにな僕は」


そう言った堺は過去を振り返り、水瀬と過ごした中で頑固な彼女に救われたことや、大変だったことを思い出しながら、悔いるように言った。


「いや、礼を言われる程のことはしてないし、お前は俺を怒って良い。勝手に人の家に上がって堺に手を上げたんだ。いくら頭に血が昇っていたとはいえすまんかった」


俺も流石に、数十分もあれば頭はすでにクールダウンして、冷静な判断ができるようになり、いくら頭に血が昇っていたとはいえ手を上げたのはやり過ぎだったと反省した。そのため俺は手を上げたは素直に非を認め謝る。


「いや、本当に感謝こそすれど怒るなんてことはあり得ないよ。湊川君が小鳥のために怒って、心の底から小鳥のことを想って僕らに説教したのは痛いほど分かってるからね」


堺は両手を胸の辺りまで上げて、左右に振りながら俺のしたことを責めるどころか、褒めた。

俺はそれでも、口で終わらせることができたのではないかと思い、納得いかないという表情を浮かべる。

堺は俺を見て、苦笑するとこの話はお終いとばかりに俺が堺を呼んだことについて訪ねた。


「そういえば、何で僕を呼んだの?さっきの謝罪のため?」


「いや、それもあったんだがこれから言うことが本題だ」


俺が真剣な声色で話し始めると、堺は気を引き締めて俺の言葉を待つ。


「堺、まずは初めての彼女おめでとう。去年同じクラスだったクラスメイトととして素直に嬉しい」


「えっ!?」


堺はまさか俺からそんなことを言われるとは思っていなくて豆鉄砲喰らったかのような表情になる。だが、もちろんこんなことを言いたのではない。俺はさらに言葉を紡いだ。


「でも、お前の選択は誰かを傷つけて選んだ幸せだ。そのことを忘れないで欲しい。お前にはその誰かの分も幸せになる責任がある。だから、お前は星川を、いや、お前の彼女を大切にしろよ」


俺はくさいことを言ったなと思い、堺から顔を逸らし頬を掻く。



「うん!絶対に彼女を幸せにしてみせるよ!」


堺は頬を緩ませ、決意を込めた声で返事をした。















 俺はその後、堺に別れを告げ現在スマホの中に入れていた電子マネーを使いスポーツドリンクをコンビニで購入し、近場にあった公園のベンチに腰掛けていた。

カチャリ、とペットボトルのキャップを開く音が誰もいない公園に響き、俺は開いた飲み口に口をつけ10分の全力疾走でなくなった水分を取り戻すためもの凄い勢いで飲んでいく。

そして、身体に充分な水分が行き渡ったのを感じたところで、口を離しふぅと息を吐く。


「やり過ぎたな……こりゃ」


俺は自分がしたことを振り返り、羞恥や後悔に苛まれた。終始くさいことを言いまくったし、水瀬のことをストーカーかよというくらいに語ったのだ。水瀬に引かれてもしょうがないし、これを堺達が他の人に伝えようものなら俺はその度に羞恥に悶えるだろう。


(はぁ、こりゃ黒歴史確定だな)


そう心の中で考えると新たに一ページ黒歴史が綴られている音が聞こえた。


「これから、どうするかな〜。もう俺の知識を使ってできることは何もないだろ。……あっ、そういえば堺の友人の一人が起業して成功するんだよな。その会社の株でも買って儲けるか」


としょうもないことを考えていると、スマホにメッセージが入り俺はそれを見ると、まだまだ前世の知識を使うことははあるみたいだなと思った。


小鳥『湊川君ありがとう、湊川君のおかげで誤解が解けたよ。まだまだ整理がつかないことだらけで、頭の中がごちゃごちゃしてるからまた愚痴に付き合ってくれませんか?』


俺と彼女の関係は、まだ知人以上友人未満の関係だ。この繋がりがどれくらい続くかは分からないでも、それが例え少しの間でもその間だけでも俺は彼女を幸せにしたいと思った。






ここから後はほのぼのしていきます。

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