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俺はお前を許さない!主人公、ヒロイン


 俺はとある場所に向かって全速力で走っている。だがその間も俺はスマホを握っていて水瀬の声が聞こえてくる。


「なんで……そんな……風に思うの!……私の気持ちは今も変わらない!私はゆうくんの隣にいたかった……私がゆうくんの彼女になりたかった!」


走る、走る、走る、躓く、何とか耐えて再び走る。


「小学校の頃からだよ!……私はその時からずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとゆうくんのことが好き。…………この気持ちは色褪せない……私の一番の宝物」


走る、走る、信号機が点滅しようが、そんなのお構いなしに俺は横断歩道を走り抜ける。



「なのに何で………私のことを信じてくれないの?……あの告白に籠もっていた感情は、思いはその程度だって感じられたの?ふざけないで!」


走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る走る。


「私は……私の気持ちは……そんなに薄っぺらいものじゃない……ゆうくんが選んだなっちゃんにだってゆうくんが好きだって言い切れる!……ううん、違う。私以上なんていない」


「なのに、………何で……選ばれなかったの?……何で……あんな風に、私を非難するの?……彼女じゃない女はもうどうでもいいの?……」


「嫌い、嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い。私の言葉を全く聞いてくれないあの二人は大っ嫌い!………勝手に勘違いしてあの二人に嘘を吐いた、お母さんなんて大っ嫌い!………」


「何より、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部湊川君のせいだって、あんなに優しくしてくれた湊川君を攻めてる私が何より大大大っ嫌い!」


俺は水瀬の心からの叫びを聞き終えたタイミングでようやく目的地に辿り着いた。

そこに備え付けられているインターホンを鳴らす。


「はーい、どちら様ですか。ってアンタは!」


「どうしたの、夏海?急に大声出して、って君は!」


俺は奥から顔を覗かせた男を見た瞬間ドアを思いっきり開け、靴も脱がず俺はその男、堺に、主人公に掴みかかった。


「ぐっ!?何をするんだ急に!」


「その手を離しなさいよ!このクズ男」


「それは、こちらのセリフだ!!クズが!」


ガンッ、俺はそういうと堺を壁に思いっきりぶつけた。


「お前は何を見ていた!お前は彼女と、……水瀬と何年間一緒にいた!答えろ!」


「ぐっ、12年だろ」


「不正解だ!お前と水瀬は13年、保育園から高校まで一緒なんだよ!?チッ、本当にクズだなお前!」


「アンタ突然現れて何なのよ!?小鳥の彼氏が急に」


「そうだ、何で君が僕たちの家に」


横やりをクズ女が入れてきたことによりクズ男が俺に反抗してこようとしたが俺はそんなことを許さないとばかりに怒鳴る。


「うっせぇ黙れよ!まずお前ら勘違いしてるが俺は水瀬と付き合ってなんかいない!それを勝手に勘違いしやがって。お前ら水瀬がそんなに人を簡単に乗り変えられる奴だと思っているのか!ありえねぇだろ!あいつは保健室で一時間もお前に振られて傷ついて泣いてたんだ!」


「それをお前らがさらに家に行って報告なんかして、勝手に勘違いして!また水瀬を傷つけた!今もあいつは泣いている理由がお前らに分かるか!?」


「それは………僕らが勝手に勘違いして怒ったから」


こいつ、ようやく自分が勘違いしたことに気付いたみたいだが、おせぇ、遅すぎる。こんなの馬鹿でもすぐに分かることだ。しかも、肝心な部分が分かっちゃいねぇ!漫画やアニメで見た俺の大好きな彼女の想いを!


「違ぇよ!確かにそれもあるだが一番彼女が涙を流しているのは、自分の気持ちをその程度だと思われてしまったことだ!13年間思い続けた気持ちをお前らはそんなもの無意味だと言い渡されたんだ!一番言って欲しくないお前達に」


「なぁ、知ってるか?水瀬お前から貰ったプレゼント全部大切に引き出しに保管してるんだぜ?しかもどんなに劣化しようとも。知ってるか?水瀬今日告白するために原稿用紙10枚も使って告白の仕方を考えてたんだぜ、夜の2時まで。知ってるか?水瀬は日記に十三年前からずっと毎日お前と過ごしたどんな些細な出来事でも書いてるんだぜ?そんなに一途にお前を慕っていた彼女をお前は傷つけたんだ!」


俺はそういうと堺から手を離し、次は星川を睨んだ。


「星川、お前は知らないだろ?水瀬がお前のことをライバル以前に最高の親友だと未だに思ってることを!お前なら堺と付き合っても良いと認めてることを!そんな親友をお前は尻軽だと非難して怒って傷つけた!」


二人は俺の言葉によって全てを悟り、涙を流し虚空に向かって謝り始める。言いたいことを言い終えた俺は、スマホを床に投げ捨てクズ達に言った。


「謝れ!そこに水瀬はいる。誠心誠意謝れ!お前達の犯した罪を懺悔しながら」


二人は俺が投げたスマホに駆け寄り、懸命に謝る。


俺はそいつらを一瞥して玄関を出るため、ドアを開け最後にこう言った。


「例え水瀬がお前らを許そうと、俺はお前らを絶対に許さない!俺の大切な友達を、水瀬を傷つけたお前らを絶対に」


そう言って俺は堺の家を出た。














言ってやったぜ!

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