その9.横文字には気ィつけて!
小説投稿を終えたオカンはネット配信ニュースを覗いている。
「Kちゃん『HONKY』の意味、知ってた?」
「そんなもんぐらい知ってるわい! 白人に対する差別用語やろ」
「ホンマに? アンタやS君の英語力では無理ちゃう?」
ぶっちゃけ、例の27時間テレビのTシャツの一件までは知りませんでした。
オカンは、まあ一応アメリカ留学経験アリなので知ってたようですが、大半の
視聴者は指摘されるまで気がつかなかったでしょうね。
「まあ、どっちでもええけど… A子のダンナさん白人やろ、それで、どう
思ったか聞いてみたんよ…」
ああ、オカンの親友であの面白Tシャツのオバちゃんね。
「…まあ、白人至上主義の『KKK』や『WHITE TRASH』と呼ばれる底辺層、
日本で言うDQNな。以外の一般的な白人層は被差別者意識が低いから笑って
受け流すやろけど、町内会の夏祭りならともかく、オリンピックやろか言う
東京のキー局があのTシャツ着たタレントをワラワラ公共の電波で流すのは
やっぱりマズイやろ、って…」
確かに、高学歴の社員がいるテレビ局で事前にチェックする者がいなかった
のか・・・という話ですね。
「しっかし、あのテレビ局 〝チョンボ” 続きやね。あっ、これ差別用語や
ないよ。麻雀が語源らしいからねっ!」
「そんなん別にどうでもええやん」
「いや、Kちゃんも気ぃつけなあかんよ。世の中には過剰反応して未来永劫、
謝罪と賠償求めて来る人や国があるからね」
オ、オカン・・・・・・
「A子言うてたわ、これがアメリカのテレビ局で『HONKY』でなくて『NIGGER』
やったら、それこそ大問題になってたやろなって」
白人から黒人に対する差別呼称はいまだに絶対タブーだということですね。
A子オバちゃん曰く――マクドやスタバでは、今日のコーヒー『にがっ!』とか、
アンタそれ『ホンキ?』みたいな会話はくれぐれも慎むべきーー
だ、そうです・・・