第七話 サヨナラ
マスター: 高木君に続いて黒川君も遠い世界へ行かれました。
「♫サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、もうすぐ外は白―い冬♫(オフコースの「サヨナラ」より)」
さて残られたお二人様、落選されて正直ホッとしたことでしょう。
でも残念なことをお伝えしなければなりません、、、
実は、、、高木君は1発で仕留めたんです。つまり弾はまだ3発残ってるんです。
お茶碗にご飯粒を残すのはお行儀悪い。同じく、拳銃に弾を残すのもよろしくないですね。おまわりさんに怒られます(笑)
【蛭田、白井、表情が変わる】
良い子の皆さん、何が言いたいかわかりますね。
(大声で)てめえらも始末するんだよ。
蛭田: ちょっと待って酒鬼、いや酒鬼君。撃たないでよ。お願いだ。何でもする。助けてくれ。
マスター: 往生際悪いな。くたばれ。
【蛭田を撃つ】
マスター: さあ残るは白井君ですね。本意ではなくやってたみたいだけど、でもやったことに変わりないですね。責任取りましょうね。
白井: 酒鬼君、君には本当に悪いことをした。僕は撃たれて当然だ。
マスター: 覚悟、できてますね。ではお言葉に甘えて、、、
白井: ちょっと待って酒鬼君。今、思ったんだけど、君、残り1年、2年って言ってたじゃない。残りの人生を大切にしようよ。僕は君を応援したい。君への償いとして僕の人生を捧げる。酒鬼君、逃げよう。僕は君の逃亡を助ける。約束する。君のために何でもする。だから銃を下してほしい。お願いです、酒鬼君。
僕はまだ生きたい。僕を生かしてください。
僕は母子家庭に生まれ貧乏でものすごく苦労した。そして君と同じように小学校でイジメられた。それを救ってくれたのが黒川君なんだ。以来、黒川君に逆らえなくなった。黒川君つながりでグループに入ってしまった。
だから君への暴力は本意ではなかった。嫌で嫌でたまらなかった。それをわかってほしい。君の気持がすごくわかる。助けてください。銃口をこちらへ向けないでください。お願いします。お願いします。
マスター: そうか、君もいじめられっ子だったのか。
白井: そうなんだ、小4の頃は相当やられていた。だから君の気持ちは痛いほどわかる。だから助けてください。お願いします、お願いします。
マスター: どうしようかな、、、
白井: お願いします、助けて下さい。
マスター: どうするか、、、
白井: お願いします。
マスター: お願いされても、、、
白井: お願いします、助けてください。
マスター: 僕を笑わせてくれたら、、、やめようかな。
【白井、変顔をつくるなど必死になって笑わせようとする】
マスター: 面白くないな、、、
【白井、さらに必死になって笑わせようとする】
マスター: アハハー(大笑いする)
【白井、ホッとした表情をする】
マスター: これ愛想笑いなんだけど、、、
【白井、表情が変わる】
マスター: 痛いのは最初だけ、我慢しようね良い子は。
【白井、真っ青になる】
マスター:「♫サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ、もうすぐ外は白ーい冬♫」
【笑いながら白井を撃つ】
マスター: 思い知ったか、このクソども。俺の人生を台無しにしやがったクソども。テ メーらのせいで俺がどれほど苦しんだか、俺がどれほどつらい思いをしたか、テメーらクソどもには分かんねーだろうな。
人間の集まるところ、そこには必ずイジメがある。学校でのいじめ、それは教室だけではない。職員室の中でもいじめがある。先生の先生に対するいじめ。
会社でのいじめ、隣近所でのいじめ、老人ホームでのいじめ、世の中いじめだらけ。
なぜいじめがなくならないのか? それは、、、、いじめは最高の娯楽だからさ。虐げられたものを見るのは気持ちいいだろ。優越感を味わえるからな。
それが人間の本質。
俺はずっといじめられてきた。不遇の人生だった。こんなクソみたいな人生、繰り返したくはない。
だから、だから、だから、、、、、、
俺は生まれ変わったら、、、、絶対にいじめる側に回る。
【客席に向かって話し始める】
これまでの人生でいじめをしたことがない人いるか?
見ていただけというのはいじめの共犯だ。
なぜいじめる奴を止めなかった?
なぜいじめられる奴に救いの手を差し伸べなかった?
【客席に向かって撃つ仕草】
パン、パン、パン、あんたも、あんたも、あんたも四人組と同類なんだよ。
あー、人生楽しいよな、最高だぜ。
【突然、大泣きし始める】
(絶叫気味に)もっと違った人生を送りたかったぜ。
サヨナラ
【自分の頭を撃つ。大量の血が噴き出す。】
完




