朝起きたら高校時代のクラスメイトだった件
朝、目が覚めた瞬間、布団の中で皮膚が擦れる感覚がいつもとまったく違っていた。「……あれ」寝返りを打とうとした瞬間、胸元にずっしりとした、明確な重みを感じて息が止まる。自分の記憶にある、平らで引き締まった男の胸ではない。寝返りに合わせて、脂肪の塊が重力に従って脇へと流れる、なめらかで圧倒的な質量。仰向けになると、今度はその重みが胸にのしかかり、呼吸がわずかに浅くなるのを感じた。恐怖に駆られ、パジャマの中に手を差し入れた。指先が触れたのは、男の硬い胸板ではなく、吸い付くように柔らかく、それでいて弾力のある女性の膨らみだった。衣服越しではない、生身の皮膚の柔らかさと、先端のあまりにも敏感な神経の感触が、ダイレクトに脳へと突き刺さる。自分の手で触れているはずなのに、まるで他人の身体を愛撫しているかのような猛烈な罪悪感と、本能的な高揚感が同時に押し寄せて頭がどうにかなりそうだった。さらに恐る恐る、パジャマのズボンの中へと手を滑らせる。「……ない」いつもそこにあるはずの、男としての象徴が、跡形もなく消え去っていた。太ももの付け根の間にあった、ゴワゴワとした存在感や、寝起き特有の強い張りが一切ない。代わりにそこにあったのは、驚くほど滑らかで、完全に閉じられた平坦なスリットだった。触れてみると、男の皮膚とは全く違う、薄く繊細な粘膜の感覚が指先に伝わる。下着の布地が直接そのデリケートな部分に密着している感覚は、歩くたび、腰を浮かすたびにダイレクトに脳に伝わり、一歩動くことすら躊躇われるほどの奇妙な違和感と気恥ずかしさを与えてきた。「嘘だろ……これ、本当にどうなってんだ」喉から漏れたのは、低く野太い自分の声ではなく、鈴が転がるような、しかしどこか落ち着いた世古真鈴の声だった。這うようにしてベッドを抜け出し、デスクの脇にある姿見へと向かう。鏡の中に立っていたのは、華奢な肩、男よりも明らかに位置の高い細い腰、そして丸みを帯びた骨盤と胸のふくらみを携えた、高校時代のクラスメイトの姿だった。重心が驚くほど下にあり、立っているだけで胸の重みで前傾姿勢になりそうになる。自分の身体が完全に「女」に作り変えられているという冷酷な現実を、胸の重みと、股間の圧倒的な喪失感が、一秒ごとに俺に突きつけていた。画面に表示された文字は、「学校法人日本教育財団 HAL名古屋 世古真鈴」。この身体で、この感覚のまま、俺は今日という日をどう生き延びればいいのか。股間のむずがゆいような、心許ない感覚に顔を赤らめながら、俺は震える手で「自分の番号」へ発信ボタンを押した。




