拡張」
【お知らせ — 必ずお読みください】
読者の皆様、いつもお読みいただきありがとうございます。
本作品の連載は、5月12日より元のリンク(第一シーズン)に統合いたします。
第二・第三シーズンのエピソードはすべて第一シーズンの続きとして掲載済みですので、今後はそちらでお楽しみください。
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これからも応援よろしくお願いいたします!
ヴィヴィアンは書類をテーブルに叩きつけた。ほとんど乱暴な仕草だった。
「無理よ」と言った。
ヘリオはホルモン抽出液の小瓶から顔を上げた。
「何が無理なんだ?」
「これが」
数字を指さした。
ヘリオは近づいた。読んだ。
先週の累積注文: バター:3,200 kg/月 チーズ:2,800 kg/月 ウーロ肉(新規):500 kg/月
その下に、ヴィヴィアンの几帳面な字で計算が書かれていた。
現在の生産量:バター400 kg/月、チーズ350 kg/月 需要を満たすには:生産可能なウーロ24〜28頭 現在:生産可能な雌3頭 不足:21〜25頭
ヘリオは数字を見つめた。
「ああ」
「『ああ』?それだけ?」
「他に何を言えと?」
「分からないわよ!『大変だ』とか『これは最悪だ』とか『どうやって解決する』とか!」
ヘリオは考えた。
『二十一頭のウーロか』とリキが言った。『どこで二十一頭見つける?』
捕まえるしかない。
『二ヶ月で六頭捕まえた。このペースだと……』
……七ヶ月かかる。見つかればの話だが。
しかも需要は今すぐだ。
ヘリオはヴィヴィアンを見た。
「考えさせてくれ」
「早く考えて。マーレン・ホルストから三通目の手紙が来たわ。今度は独占契約の申し出。前金五千金貨」
「五千?!」
「ええ。三年間の安定供給を保証すれば」
間。
「でもウーロがいなければ保証できない」
「ウーロがいなければ普通の牛を飼うわ。牛乳をウーロの乳と混ぜて補う。品質は少し落ちるけど、やむを得ない妥協よ」
ヴィヴィアンは座った。
「ヘリオ、私たちは大きなものを築いている。でも物理的な限界に達しつつあるの。もっと土地が必要。もっと動物が。もっと人が」
「分かってる」
「存在しないものは組織できないのよ」
ヘリオは彼女を見た。
「みんなもう限界まで働いてるわ!」ヴィヴィアンは言った。
ヘリオは考えた。
そして言った。「グレンマールだけじゃなかったら?」
ヴィヴィアンは顔を上げた。
「どういうこと?」
「拡張したら?グレンマールの外へ。他の村へ。他の人々へ」
「他の村は私たちを歓迎しないわ。ほとんど知らないもの」
「なら知ってもらおう」
「どうやって?」
ヘリオは微笑んだ。
「寛大さで」
発見は三日後だった。
奇妙な知らせを持って哨戒隊が戻ってきた。
アルダス自身が指揮していた——教団壊滅後、北の境界を確認したかったのだ。
ヘリオには読み取れない表情で共同広間に入ってきた。
困惑?興奮?両方?
「若様。見てもらいたいものがある」
「何だ?」
「説明できん。見てもらうしかない」
北西へ二時間馬を走らせた。
開墾された畑を越え、塩がまだ残っているが管理可能な地域を越えた。
窪地へ向かった。
ヘリオは漠然と覚えていた——塩を排水し始めたとき、塩水は自然とあの低地に流れ込んでいった。
後で対処するつもりだった。
そして忘れていた。
だが今は……
窪地が目の前に広がった。
広大。直径おそらく三キロ。
そして白かった。
完全に白。
雪のようだった。だが溶けない。太陽の下で結晶化した海のように輝いていた。
塩。結晶化している。数ヶ月の排水の蓄積。
天然の塩田。巨大な。
『おお』とリキが言った。
ああ、とヘリオは同意した。
だがアルダスは塩を見ていなかった。
別の何かを見ていた。
指さした。
「あそこだ」
ヘリオは見た。
動き。塩田の中で。
姿。大きい。たくさん。
自作の望遠鏡を使った——銅の筒に二枚のレンズを取り付けた、粗末だが機能するものだ。
焦点を合わせた。
そして見えた。
ウーロ。
何十頭ものウーロ。
小さな群れが塩田に散らばっていた。ここに五頭。あそこに八頭。もっと遠くに四頭。
みんな同じことをしていた。
塩を舐めている。
「何頭いる?」アルダスが聞いた。
ヘリオはゆっくり数えた。
「三十二。たぶん三十四。正確には分からない」
「二時間ここにいた。見ている間にさらに六頭来た」
ヘリオは望遠鏡を下ろした。
塩田を見た。
それからアルダスを見た。
「巨大な餌を作ってしまったな」
「ああ」
「意図せずに」
「そうらしい」
「そして今、この地域のウーロが全部ここに来ている」
沈黙。
そしてヘリオは笑った。
幸せな笑いではない。信じられない気持ちと勝利が混じったような何か。
「塩。グレンマールの元々の呪い。土地を良くするために排水した。ここに溜まった。そして今、まさに必要なものを引き寄せている」
空を見上げた。
「運命にユーモアのセンスがあるのか、物理学が思っていたより美しいのか」
『両方だな』とリキが言った。
五日間かけて計画を練った。
問題は単純だった:ウーロを一頭ずつ捕まえるのは難しい。
三十頭を同時に捕まえるのは不可能だ。
ただし……
「落とし穴だ」とヘリオは言った。
会議。アルダス、ソーン、エリーゼ、ヴィヴィアン、キラ、そしてグレンマールの腕利き建設者十人。
テーブルにはスケッチ、設計図、計算。
「大きな罠」ヘリオは続けた。「とても大きな。深さ五メートルの穴。幅十メートル。枝と土で覆う」
「ウーロに見破られる」建設者の一人が言った。
「覆いの上に塩を撒けば見破られない」
沈黙。
「塩を餌にするのか。覆った罠の上に」
「ああ」
「どれくらいの塩を?」
「ウーロが抵抗できないくらい」
ヴィヴィアンが計算した。
「十個の落とし穴。塩田に戦略的に配置。それぞれの上に塩を濃く撒く」
「その通り」
「落ちたら?」
「壁は滑らか。深さは跳び出せないほど。仮の囲いを作るまでそこに留めておく」
アルダスが身を乗り出した。
「何頭捕まえられると思う?」
「十個の罠で?運が良ければ……二十。たぶん二十五以上」
「それから?」
「選別する。若い雌を残す。子供も。繁殖用に数頭の雄。残りは……」
間。
「残りは逃がす」
建設者の一人が笑った。
「捕まえたウーロを逃がすのか?」
「全部は必要ない。必要以上に捕まえるのは残酷だ」
「獣だぞ」
「何もしていない賢い動物だ」
ヘリオはその男を見た。
「必要な分だけ取る。それ以上は取らない」
男は目を伏せた。
「分かりました、若様」
落とし穴は十日で完成した。
きつい仕事。連携の取れた作業。
深さ五メートル、幅十メートルの穴が十個。塩の窪地に掘られた。
編んだ枝の覆い。その上に土。そして——たっぷりと——純粋な塩。
ウーロの足跡が最も濃い場所に戦略的に配置された。
十二日目、準備完了。
ヘリオ、アルダス、エリーゼ、そして二十人の男たちが離れた場所に身を隠した。
待った。
ウーロは日没時に来た。
いつものように。ゆっくりと、慎重に、だが塩に向かって必然的に動いていく。
最初の群れ——成獣六頭、子供二頭——が北の罠に近づいた。
塩の匂いを嗅いだ。
先頭の一頭が覆いの上に足を踏み出した。
耐えた。
二歩目。
耐えた。
三歩——
バキッ
覆いが崩れた。
八頭のウーロが驚きと恐怖の鳴き声を上げながら穴に落ちた。
音に驚いて近くの群れが逃げ出した。
走った先で——
四頭が東の罠に落ちた。
三頭が南に。
二頭が西に。
さらに遠くで——六頭が北東に。五頭が南西に。一頭が中央の罠に。
二十分で、二十九頭のウーロが罠にかかった。
ヘリオは満足げに見ていた。
「うまくいった」
「当然うまくいく」アルダスが言った。「お前の狂った計画はいつもうまくいく」
「いつもじゃない」
「失敗した計画を一つ挙げてみろ」
ヘリオは考えた。
「……確かに」
慎重に選別した。
二十九頭のウーロを捕獲。
選んだのは: ・若い雌十四頭(二〜四歳、最適な繁殖年齢) ・子供六頭(一歳未満) ・若い雄六頭(遺伝的多様性のため)
残りの三頭——年を取りすぎたか攻撃的な成獣の雄——は塩田から遠くへ誘導してから放した。
鳴いた。走った。草原に消えた。
「自由だ」ヘリオは彼らを見送りながら言った。
「もったいない」兵士の一人がつぶやいた。
「敬意だ」ヘリオは訂正した。
二十六頭のウーロをグレンマールまで運ぶのは……大仕事だった。
五日かかった。
バレリアン。大量のバレリアン。落ち着かせるためにたっぷり使った。
ロープ。熟練した誘導者。無限の忍耐。
だが最終的に、二十六頭全員が到着した。
囲いは拡張されていた——一ヘクタールから二ヘクタールになっていた。
ヘリオは群れを眺めた。
九頭から三十五頭へ。
うち十七頭が生産年齢の雌。
それぞれが最初の三頭と同じくらい生産すれば……
素早く計算した。
……月に約二千三百キロのバター。約二千キロのチーズ。
現在の需要の七十二パーセントをカバーする。
「まだ足りないわね」隣でヴィヴィアンが言った。
「でもずっと近づいた」
「ええ」
間。
「残りは?」
ヘリオは南西を見た。
存在を知っている村々の方角——小さく、貧しく、忘れられた村々。
かつてのグレンマールのように。
「残りは……拡張だ」
その夜、会議を招集した。
「計画がある」ヘリオは言った。
全員が様々な表情で彼を見た——好奇心から恐怖まで。
ヘリオの計画はいつも……興味深いのだ。
「二日以内の距離に三つの村がある。小さい。貧しい。男爵はいない——王冠に漠然と従う村長がいるだけだ」
粗末な地図上の位置を示した。
「ミルブルック。五十世帯。土地は並。ケス川で漁をしているが、ほとんど利益がない」
「ソーンホール。八十世帯。主に木材業。貧しいが勤勉」
「アッシュフェン。百六十世帯。自給自足の農業。土地はかつてのグレンマールとほぼ同じ——塩、似たような問題」
他の者たちを見た。
「この村々をグレンマールの一部にしたい」
沈黙。
そしてアルダスが言った。「征服か?」
「いや。申し出だ」
「どんな申し出だ?」
ヘリオはヴィヴィアンに合図した。
彼女は三つの箱をテーブルに置いた。
中身は:バター。チーズ。形状記憶合金の鎧のサンプル。
「開拓者を送る。三グループ。村ごとに一つ。贈り物を持って行く。バター。チーズ。村の全員に行き渡る量を」
間。
「無料で」
「無料だと?!」誰かが言った。「それだけの価値が——」
「村ごとに五百金貨。分かってる。でもこれは投資だ」
「何への?」
「忠誠への」
ヘリオは立ち上がった。
「あの村々は貧しい。誰も助けない。誰も気にかけない。冬を越せることを祈りながら日々を生きている。君たちも経験しただろう」
誰も反論しなかった。
「俺たちが行く。素晴らしい食べ物を渡す。無料で。何も求めずに。そして言う:もし望むなら、俺たちのために働ける。バターの生産。チーズ。ウーロの飼育。公正な報酬。食料保証。保護」
他の者たちを見た。
「彼らは受け入れると賭ける」
ヴィヴィアンは考えていた。
「受け入れたら……法的に男爵領の一部になるわ」
「ああ」
「グレンマールは単独の村から……複数領地の支配地になる」
「ああ」
「支配する領土は……おそらく八倍に増える」
「少なくとも」
「そして人口は……」
頭の中で計算した。
「……七百人足らずから三千人近くへ」
「その通りだ」
アルダスは信じられないという表情でヘリオを見ていた。
「バターで村を征服するつもりか」
「ああ」
「これは……」
「天才的?」エリーゼが提案した。
「狂気と言おうとした。だが天才的でもいい」
ソーンは笑った。
「王は剣で征服する。お前はチーズで征服する。興味深い対比だ」
「王は敵を作る」ヘリオは言った。「俺は味方を作る。いや……友を」
開拓者は三日後に出発した。
三グループ。それぞれ十人。
指揮官: ・ミルブルックグループ:ガレス(鍛冶場の棟梁、信頼できる) ・ソーンホールグループ:コレン・ヴェイ(ベテラン、説得力がある) ・アッシュフェングループ:最年長の家長の一人
各グループの持ち物: ・バター五十キロ ・チーズ四十キロ ・鎧のサンプル ・ヘリオからの手紙
手紙にはこう書かれていた:
「[村名]の皆さんへ
私はグレンマールの男爵、ヘリオ・ヴァロリンです。
四ヶ月前、グレンマールは死んだ土地でした。塩。貧困。絶望。
今日、グレンマールは繁栄しています。
この贈り物を送るのは慈善ではありません。同胞愛からです。私たちはあなた方のいる場所にいました。苦しみの意味を知っています。
望むなら、私たちが築いているものに加わる場所があります。公正な仕事。正当な報酬。食料保証。保護。
義務ではありません。申し出です。
考えてみてください。
——グレンマール男爵 ヘリオ・ヴァロリン」
シンプル。直接的。正直。
ミルブルックが最初に返答した。
村長——六十代の男、重労働で刻まれた顔——が手紙を読んだ。
バターを味見した。
泣いた。
「こんな……こんなもの食べたことない」
ガレスは微笑んだ。
「全員分あります。無料で」
「無料?」
「男爵は、何が可能かを知ってほしいだけです」
村長は自分の民を見た。
五十世帯。痩せて。疲れて。希望がない。
それからガレスを見た。
「何をすればいい?」
「仕事です。正直な。そして男爵への忠誠」
「見返りは?」
「保護。食料。報酬。未来」
老人は目を閉じた。
開けたとき、潤んでいた。
「いつ始める?」
ソーンホールは二日かかった。
村長はもっと若かった——三十五歳くらい。懐疑的だった。
「なぜ信じなければならない?」
「信じる必要はありません」コレンは言った。「まだ。ただ食べ物を試して。話し合って。一緒に決めてください」
バターとチーズを配った。
その夜、村は集まった。
議論した。討論した。疑う者もいた。
だが最後に、長老の一人が言った。「わしは死にかけている。七十八だ。飢饉を見てきた。戦争も。魂を砕く貧困も」
他の者たちを見た。
「七十八年間、誰もわしらに何も無料でくれたことがない。誰も希望を差し出したことがない」
間。
「罠かもしれん。そうじゃないかもしれん。だが本物である可能性が少しでもあるなら……」
「……賭ける価値がある」
村長はゆっくりと頷いた。
「使節を送る。グレンマールを見る。言う通りなら……」
「……誓う」
アッシュフェンが一番早かった。
村長は手紙を読んだ。
自分の土地の塩を見た——グレンマールを苦しめたものと同じ。
バターを見た。チーズを。
自分の民を見た——土地と戦う百六十世帯。
「グレンマールを知っている」と言った。「知っていた。死んだ土地だ。うちより酷い」
間。
「彼らが成功したなら……」
顔を上げた。
「男爵のところへ連れて行け。今すぐ」
開拓者出発から三週間後——交渉、使節団の準備、帰路の時間を含めて——ヘリオは使節団を迎えた。
ミルブルック:村長と長老五人。 ソーンホール:村長と代表者十人。 アッシュフェン:村長とほぼ百人(自分の目で見たかった)。
グレンマールを案内した。
畑を見せた——塩であるべき場所が緑だった。
ウーロを見せた——伝説の獣が、飼い慣らされている。
トンネルを見せた——地下都市、完璧な避難所。
安定した六人の元人狼たちの家を見せた——殺されずに治療された若者たち。
そして人々を見せた——数百人が笑い、働き、生きていた。
ミルブルックの村長は再び目を潤ませた。
「本当だ……全部本当だ」
ソーンホールの長は目を見開いていた。
「どうやって……どうやったんだ?」
「仕事だ」ヘリオは言った。「科学。そして物事をそのままにしておく必要はないという拒否」
アッシュフェンの長は彼の目をまっすぐ見た。
「何を望む?」
「忠誠。仕事。信頼」
「与えるものは?」
「保護。食料。未来。そしてあなたの民を私の民と同じように扱うという約束」
長い沈黙。
そしてアッシュフェンの長がひざまずいた。
「私、アッシュフェンのデリックは、グレンマール男爵ヘリオ・ヴァロリンに忠誠を誓う。我が民はあなたの民。あなたの大義は我らの大義」
他の二人の長は顔を見合わせた。
そして、ゆっくりと、彼らもひざまずいた。
「我ら誓う」
その夜、ヴィヴィアンは計算をやり直した。
総人口:約二千八百人。
支配領土:グレンマール+ミルブルック+ソーンホール+アッシュフェン=約二百四十平方キロ。
潜在的生産量:労働力が拡大すれば……
……現在の需要の九十五パーセントを満たせる。
さらに群れを拡大すれば……
……六ヶ月以内に需要を超える。
ヘリオを見た。
「領地を作ったのね。半年も経たずに」
「俺たちが作った」ヘリオは訂正した。「みんなで」
「いいえ。あなたが可能性を見た。私たちはただ実行しただけ」
間。
「それで、国王は?」
ヘリオは窓の外を見た。
南へ。首都の方へ。
「国王は、俺にくれた死んだ土地が……」
「……無視できないものになったと知るだろう」
『そして止められないものに』とリキが付け加えた。
まだだ、とヘリオは言った。だが彼は試みるだろう。
『だがすぐに俺たちは大きすぎる存在になる』
『強すぎる』
『必要とされすぎる』
『そうなれば……』
……交渉だ。




