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四つの基本的な力の魔法使い 第二部 物理学者から魔法使いへ、状態変化を経て  作者: Adriano_P


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1/21

「塩から希望へ」

シリーズの第1シーズンはこちらからご覧いただけます:https://ncode.syosetu.com/n4137ls/

グレンマールでの最初の夜、ヘリオは眠れなかった。

ベッドがなかったわけではない——かつての男爵が使っていたという、一番マシな建物の一番マシな部屋を与えられていた。寒さのせいでもない——ひび割れた暖炉には火が焚かれ、部屋は暖かかった。

眠れなかったのは、目を閉じるたびに顔が見えたからだ。

何百もの顔。

骨と皮ばかりの。飢えた。絶望した顔。

痩せこけた頭に不釣り合いなほど大きな目。腹だけが膨らんだ子供たち。歩く屍のような老人たち。

全員がお前を見ている。

全員がお前に救いを求めている。

ベッドから起き上がり、窓辺へ歩いた。

月明かりがグレンマールの廃墟を照らしていた——崩れた家々、砕けた壁、穴だらけの土の道。どこを見ても、ゆっくりと、確実に死にゆく街の姿があった。

心の中で、リキの声が響いた。

冷静に。淡々と。いつものように。

トリアージだ。

災害後の病院と同じ。

全員をすぐには救えない。

救える者から救う。

正しい順番で。

ヘリオは冷たいガラスに額を押し当てた。

「正しい順番なんてなかったら?」

なければ作れ。

間違いが最小限であることを祈りながら。

間。

人の命に責任を持つってのは、こういうことだ。

最悪だろ?

ヘリオは暗闘の中で苦笑した。

「ああ」

星を見上げた——前の世界と似ているようで、星座は違う。だが、すべてを支配する物理法則は同じだ。

水。食料。住居。

まずは生存だ。

深く息を吸った。

明日から始める。

本当に。


夜明けは灰色で、冷え込んでいた。

ヘリオは旅装に着替えた——宮殿の貴族服はもう必要ない。あれは式典用だ。ここでは実用性が求められる。

軋む階段を下りた。

一階の広間は夜のうちに片付けられていた——仲間たちが働いてくれたのだ。長テーブルは傷だらけだったが、しっかりしていた。椅子は継ぎ接ぎだらけだが、使える。

ソーンはすでに起きていて、窓際で剣を研いでいた。石に金属が擦れる規則的な音。

「おはよう」視線を上げずに言った。

「ずっと起きてたのか?」

「いつものことだ。老兵は眠りが浅い」

手が止まった。

「世界の重荷を背負った若い男爵も……同じだろうな」

ヘリオは向かいに座った。

「そんなに分かるか?」

「重荷を知る者にはな」

ソーンは再び剣を研ぎ始めた。

「今日の予定は?」

「全部だ」

ソーンが短く笑った。

「野心的だな」

「必要なんだ。人が死んでいく」

「すでに死んでいる者も多い。ただ、まだ倒れていないだけだ」

厳しい声だった。だが残酷ではない。ただ……正直なだけだ。

「なら、何人かは立っていられるようにしよう」

ソーンが承認するように頷いた。

「いいだろう。どうやって?」

ヘリオが答える前に、扉が開いた。

ヴィヴィアンが入ってきた。この時間にもかかわらず、完璧に身なりを整えている。髪は梳かされ、服は実用的だが優雅だった。

その後ろにセラフィーネ——髪はボサボサ、眼鏡は曲がっているが、目は鋭く冴えていた。

「会議?」ヴィヴィアンが訊いた。

「会議だ」ヘリオが答えた。

「エリーゼは?」

「外だ。周囲を警戒している」

「キラは?」

間。

「分からない。たぶんもう病人のところだろう」

ヴィヴィアンは座り、どこからともなく羊皮紙とペンを取り出した。

いつでも準備万端だ。

「では二人抜きで始めましょう。後で報告すればいいわ」


十分後、扉が再び開いた。

アルダスが入ってきた——村の長老——三人の老人を伴って。全員痩せこけ、疲れ切っていたが、目には頑固な誇りがあった。

ゆっくりと座った。痛みをこらえるような動き。

ヘリオは彼らが落ち着くのを待った。

そして話し始めた。

「来てくれて感謝する。朝早いのは分かっている」

アルダスが手を振った。

「年寄りは眠りが浅い。やるべきことが多すぎて、時間を無駄にはできん」

「同感だ。では本題に入ろう」

ヘリオは身を乗り出した。

「数字が欲しい。事実だ。希望じゃない、楽観でもない。残酷な真実を」

老人たちが視線を交わした。

やがてアルダスが口を開いた。

「六百八十七人。生存者は。おおよそだが」

重い沈黙。

「そのうち二百人が重病だ。熱病、赤痢、重度の栄養失調。治療がなければ……一ヶ月で半分は死ぬ」

ヴィヴィアンが素早く書き留めていた。

「食料は?」

「三日分。厳しく配給すれば四日かもしれん」

「すでに配給制?」

「何ヶ月も前からだ」

苦い声。

「一日一食。運が良ければ、薄い草のスープだ」

セラフィーネが口を挟んだ。

「自然資源は? 狩猟? 漁業?」

別の老人が答えた——白い髭と節くれだった手の男だ。

「狩りは危険だ。森には獣がいる。獰猛で、俺たちと同じく飢えている。そして俺たちは弱い」

「川は?」

「今は綺麗だ。若様のおかげで」

ヘリオを示した。

「だが魚は……少ない。何年も必死に獲り続けて、激減してしまった」

ヘリオは情報を処理していった。

「住める家は?」

「五十軒。屋根を修理すれば六十軒かもしれん」

「残りの住民は?」

「どこでも寝られる場所で寝ている。半壊した建物。暖かければ野外。寒ければ凍え死ぬ」

沈黙。

数字はヘリオの予想よりはるかに悪かった。

ヴィヴィアンは書く手を止め、暗い表情で羊皮紙を見つめていた。

ソーンは剣を研ぐのをやめていた。

セラフィーネは眼鏡を外し、神経質に拭いていた。

ヘリオは息をついた。

トリアージだ。

まず生存。

話し始めた。

「聞いてくれ。今日すべてを解決することはできない。誰にもできない」

老人たちが頷いた——この答えは予想していた。

「だが、始めることはできる。そして任務を分担できる」

仲間たちを見回した。

「ヴィヴィアン。君は人口調査と行政を担当してくれ。家を一軒一軒回り、人数を数え、状態を評価し、優先的な修繕を整理する」

ヴィヴィアンが頷いた。

「セラフィーネ。君は自然資源を分析してくれ。食用植物、有用な鉱物、代替水源」

「了解」

「ソーン——」

扉がまた開いた。

エリーゼが入ってきた。腰には剣、狩猟用の服装。

「遅れてすまない。周囲の警戒は終わった」

「完璧だ。ソーン、エリーゼ——二人で狩りに行ってくれ。大物を。肉が必要だ。大量に」

エリーゼが笑みを浮かべた——ようやく得意なことができる。

ソーンが立ち上がり、剣を鞘に収めた。

「承知した」

「キラは?」

「治療を続けてもらう。もう働いているんだろう?」

アルダスが頷いた。

「早朝から。休む暇もなく」

「よし。そして俺は?」

間。

「俺は最も緊急な問題を解決する」

「どれを?」

ヘリオは窓の外を見た。夜明けの光に輝く川を。

「食料だ。今日中に」


グレンマール川は朝日の下、穏やかに流れていた。

水は澄んでいた——もう灰色の濁りも、奇妙な臭いもない。空を映す、ただの綺麗な水。

ヘリオは岸辺に立ち、水面を見つめていた。

背後には三百人ほどの人々が集まっていた。

若い男爵が「何か」をすると聞いたのだ。

何をするかは分からない。

だが、水を浄化した奇跡の後では、好奇心が勝った。

希望を持って。

必死に。

ヘリオはアルダスに向き直った。

「魚はまだいるか?」

「少ないが。いる。生き残りが」

「村全体を養えるほど?」

アルダスは躊躇した。

「もし……川の魚を全部獲れば。たぶん。数日分は」

「よし」

ヘリオは群衆に向き直った。

声を張り上げた。

「下がってくれ。岸から少なくとも二十メートルは離れろ」

困惑したざわめき。

だが従った——魔術師はすでに実力を証明していた。

離れていく。

ヘリオは深く息を吸った。

電磁気学の水生生物への応用。

原理:水中の電場 → 魚体を電流が通過 → 神経系の一時的麻痺。

重要パラメータ:

・電圧:450ボルト(パルス直流)

・周波数:60ヘルツ(麻痺に最適)

・電場強度:1センチあたり2.5ボルト

・持続時間:12秒

・中心から岸へ向かう勾配制御

予測結果:神経系の一時的不動化。

回復:10~15分。

死亡率:パラメータが正確なら1%未満。

単純だ。

理論上は。

両手を川に向けて掲げた。

マナを集中させる。

イメージする:

・電場

・水中を走る力線

・電位勾配

・パルス電流

声に出した——精密な制御には詠唱が必要だ:

「パルス電場生成、周波数六十ヘルツ、水生生物の神経系を一時的に過剰刺激し麻痺させるよう強度を変調、組織への恒久的損傷なし——」

マナが応えた。

バチィィィッ!

音は凄まじかった——水面に落雷したかのような。

川面が輝いた——強烈な青白い電光、まるで水中に巨大なランプが灯ったかのように。

水が沸き立った。

蒸気が立ち上る。

オゾンの臭いが空気を満たした。

民衆が叫んだ——恐怖で叫ぶ者も、驚嘆で叫ぶ者もいた。

ヘリオは集中を維持した。

五秒。

十秒。

十五秒——

停止。

手を下ろした。

輝きが消えた。

川は静けさを取り戻した。

完全な沈黙。

そして——

深みから——

魚。

一匹。

二匹。

十匹。

百匹。

何百匹も。

水面に浮かび上がってきた。口がパクパクと開閉しているが、体は完全に動かない。

麻痺している。だが生きている。

アルダスが口を開けたまま見つめていた。

「何を……何をなさったのですか……」

「電気生理学だ。集めろ。急げ。十分で回復する」

一瞬、誰も動かなかった。

そして——

一人の子供が水辺へ駆け出した。

「魚だ! 魚!」

堤防が決壊したかのように——全員が走り出した。

籠。桶。素手で。

民衆が川に飛び込んだ——膝まで、腰まで浸かりながら——必死に魚を集めた。

笑っていた。

泣いていた。

歓喜の叫びを上げていた。

ヘリオは見守っていた。

心の中で、リキがつぶやいた。

電気漁法だ。俺たちの世界では多くの国で禁止されている。

効率が良すぎるからだ。

ここでは……

……必要だ。

三十分後、岸は魚で覆われていた。

文字通り、何トンも。

銀色の体が山と積まれ、神経系が回復するにつれてわずかに痙攣していた。

アルダスは岸辺の泥に膝をつき、声を上げて泣いていた。

「神々が……神々が奇跡を遣わされた……」

ヘリオは訂正しなかった。


民衆が魚を集めている間、一人の老婆がヘリオに近づいてきた。

痩せていた——皆が痩せていた——だが目は鋭く、労働を知る手をしていた。

「男爵様」

「なんだ?」

「この魚すべて……」

魚の山を見つめた。

「何日もかけては食べられません。腐ってしまいます」

ヘリオは立ち止まった。

くそっ。

当然だ。

保存。

「保存なしでどれくらい持つ?」

「二日。運が良くて寒ければ三日」

それだけだ。あとは……腐臭と病気だけ。

ヘリオは素早く考えた。

魚の保存法:

・燻製(時間がかかりすぎる)

・乾燥(湿度が高すぎる)

・塩漬け(理想的だが塩が必要)

塩。

「塩はあるか?」

老婆が笑った。

苦い笑い。

「塩ですか? 若様……グレンマールは塩の中に沈んでいるようなものです」

村の向こうの野原を指さした。

「だから何も育たない。大地が……塩に毒されているのです」

ヘリオはその視線を追った。

灰色の野原。

乾ききって。

死んでいる。

そして心の中で——

カチリ。

土壌中の塩 = 農業の問題。

だが——

抽出した塩 = 保存の解決策。

不利を有利に。

一石二鳥。

笑みを浮かべた。

「見せてくれ」


野原は遠くから見るよりひどかった。

ひび割れた大地。乾いている。灰色。

表面は……奇妙な質感だった。

ザラザラしている。

ヘリオは膝をつき、土を一握り取った。

嗅いだ。

そして——老婆の戸惑った視線の中——舐めた。

味。

塩辛い。

強烈に。ほとんど焼けるような。

ただの塩ではない。極度の濃縮。

何年もの蒸発。降雨と蒸発のサイクル。塩だけが残る。

累積的な蓄積。

そして……

何キロも続く死んだ大地を見渡した。

……これだ。

だが思考はすでに動いていた。

塩が植物を殺すのは浸透圧濃度が高すぎるから。

だが——

塩 = 完璧な食料保存剤。

塩の抽出:

1. 土壌を改善(徐々に)

2. 魚を保存(即座に)

プロセス:

・水で土を洗う

・制御された蒸発

・塩の結晶化

・精製

単純な化学だ。

立ち上がった。

「大きな容器はあるか? 木製の桶」

老婆は困惑した顔で彼を見た。

「ええ……古い革なめし場に。何年も使っていませんが」

「薪は? 大量に」

「倉庫に。冬用の。でも——」

「完璧だ。二十人集めてくれ。丈夫な者、あるいは少なくとも完全に衰弱していない者を。そしてその桶を持ってきてくれ」

「若様、何を——」

「二つの問題を解決する」

死んだ大地を見つめた。

「一つ:魚を保存して腐らせない」

間。

「二つ:この土地を癒し始める」


一時間後、グレンマールの中央広場は即席の実験室と化していた。

六つの大きな木製の桶——それぞれダブルベッドほどの大きさ——が一列に並べられた。

薪の山がそばに。

巨大な鍋が、廃屋の台所から回収されてきた。

そして二十人がヘリオを見つめ、指示を待っていた。

ヘリオは塩害を受けた野原を指さした。

「第一段階:土の採取だ」

シャベルを手に取り、動きを見せた。

「表面だけでいい。最初の五センチ。そこに塩が最も濃縮されている」

若い男——マッテオと言った——が手を挙げた。

「あの土全部ですか? 何キロもありますよ——」

「いや。今日は必要な分だけだ。桶十杯分くらいの土でいい。必要なら明日また集める」

「それから?」

「それから、化学の魔法を見せてやる」

掘り始めた。


二時間後、桶は灰色の塩辛い土で満たされていた。

ヘリオは監督しながら、水——浄化された川の水——を加え、力強くかき混ぜるよう指示した。

土が徐々に溶けていく。

水が濁った。

茶色がかった灰色。

だが十分の沈殿の後——

土が底に沈んだ。

上の水は澄んでいた。

そして塩辛い。

ヘリオは味見した。

満足げに頷いた。

「完璧だ。では塩水をこの鍋に移せ」

準備された火の上に置かれた巨大な金属容器を指さした。

「それから?」

「化学に仕事をさせる」

火を起こした。

高い炎。

鍋の中の水が温まり始めた。

沸騰。

蒸気が立ち上る——空に向かって漂う白い雲。

民衆が集まり、見守っていた。

興味深げに。

困惑しながら。

だが信頼して。

魔術師は何をしているか分かっている。

それは見事に証明された。

ヴィヴィアンが近づいてきた。国勢調査の最初の巡回を終えたところだった。

湯気を立てる鍋を見つめた。

「正確には何をしているの?」

「制御された蒸発だ。水は蒸気になって消える。塩はそうならない——沸点が高すぎる。だから底で結晶化する」

「これで……魚が助かるの?」

「ああ。塩は保存剤だ。細菌の繁殖を防ぐ。魚は数日ではなく数ヶ月持つようになる」

間。

「そして土地も良くなる。洗浄のサイクルごとに塩が除去される。何年も、何十年もかかるかもしれないが……いずれ肥沃になる」

ヴィヴィアンは奇妙な表情で彼を見た。

「毒を薬に変えるのね。死を生に」

「違う。応用化学だ」

「何が違うの?」

ヘリオは微笑んだ。

「化学は確実に機能する」


太陽が高く昇った頃、エリーゼとソーンが戻ってきた。

英雄のような帰還だった。

即席の荷車——丸太と縄で作られた——の上に、巨大な牛が横たわっていた……

オーロックスだ!

死んでいる。

巨大。

肩高三メートル。人間ほどもある長い角。黒い皮膚の下の岩のような筋肉。

二トンの肉。

民衆が叫んだ。

「肉だ!」

「本物の肉!」

子供たちが荷車の周りを走り回り、笑いながら指さしていた。

老人たちは泣いていた。

何人かは跪いた。

エリーゼは馬から降りた。汗まみれで血——自分のではない——に染まっていたが、顔には大きな笑みを浮かべていた。

「夕食を持ってきたわ」

ソーンも降りた。もっとゆっくりと、息を荒くしながら。

「それと昼食も。朝食も。何週間分も」

ヘリオは近づき、獣を見上げた。

見事だ。

「どうやって?」

エリーゼが笑った。

「後で話すわ。長いの。それに皆の前で話すには、死に近すぎて気持ち良くないから」

桶と、火と、湯気を立てる鍋を見た。

「あなたは? 何を——」

「後で説明する。今はこれを手伝ってくれ」

鍋を指さした。

水はほとんど完全に蒸発していた。

底には——

白。

結晶。

塩。

ヘリオは長い木の棒を取り、鍋の底をこすった。

塩が集まった。

白い。輝いている。清潔な。

籐の籠に流し込んだ。

一つまみ取った。

味見した。

完璧だ。

アルダスが近づき、大きく見開いた目で塩を見つめていた。

「我らの大地の毒を……」

声が震えていた。

「……祝福に変えられたのですか?」

ヘリオは満たされていく籠を見た——何キロもの純粋な塩が。

「何も変えていない。ずっと資源だったんだ。ただ……間違った場所にあっただけで」


午後の残りは、組織化された活動の爆発だった。

ヘリオとヴィヴィアンの指揮の下、民衆は新たな目的を持って働いた。

魚班:

二十人が魚を処理した——内臓を取り、鱗を落とし、準備する。

山と積まれた綺麗な身。

保存班:

別の二十人が、回収された樽に魚を層状に詰めていった。

ヘリオが教えた方法:

塩の層。

魚の層。

塩の層。

魚の層。

樽がいっぱいになるまで繰り返す。

重い蓋で密封。

一人の子供が魅入られたように見ていた。

「おじいちゃん、塩は悪いものじゃなかったの?」

老人——今朝話していたあの老人——が広場の反対側で監督しているヘリオを見た。

「悪かった……あるべきでない場所にあった時は」

間。

「魔術師様がそれを、あるべき場所に置いてくださったのだ」

子供の頭を撫でた。

「すべてのものがそうなのだよ、坊や。良いも悪いもそれだけではない。ただ……正しい場所か、間違った場所かなのだ」

肉班:

オーロックスは敬意と効率をもって解体された。

ソーンが監督した——軍の遠征での経験があった。

すべての部位が利用された:

肉 → 即座の食事と燻製

骨 → 出汁と道具

皮 → 修繕用の革

角 → 装飾用または実用的な用途

内臓 → 一部は食用、他は餌に

何も無駄にしない。

血さえも金属の容器に集められた。

調理班:

広場に巨大な火が焚かれた。

鍋——塩に使わなかったもの——には水と、オーロックスの肉片と、セラフィーネが食用と特定した野草やキノコが入れられた。

シチュー。

シンプルな。

だが香りは素晴らしかった。

何ヶ月ぶり——何年ぶり?——に、グレンマールは本物の食べ物の匂いがした。


夕方。

太陽が沈み、空をオレンジと桃色に染めていた。

中央広場は何十もの焚き火に照らされていた。

そしてヘリオが到着してから初めて——

民衆が食べていた。

本当に食べていた。

草を入れた水のようなスープではない。

惨めな配給ではない。

食事を。

オーロックスの濃厚で滋養のあるシチュー。

外はカリカリ、中は柔らかい焼き魚。

パンはなかったが、腹は満たされた。

本当に久しぶりに。

子供たちが笑っていた——ヘリオがグレンマールでまだ聞いたことのない音だった。

老人たちが泣いていた——感謝と安堵の涙。

若者たちが歌っていた——忘れられていた歌を、記憶から掘り起こして。

ヘリオは石段に座り、膝の上にシチューの皿を置いて、見守っていた。

エリーゼが隣に座った。

彼女も皿を持っていた。

しばらく黙って食べた。

やがて彼女が口を開いた。

「今日、奇跡を起こしたわね」

「奇跡じゃない。いくつかの問題を解決しただけだ。全部じゃない」

「彼らにとっては奇跡よ」

祝う群衆を示した。

「あの顔を見て。初めて……希望を持っているわ」

ヘリオは見た。

今朝とは違う顔が見えた。

まだ痩せている。

まだ苦しみの跡がある。

だが……違う。

輝く目。

微笑み——弱々しいが、確かにある。

笑い声——控えめだが、本物の。

希望。

「明日は?」

ヘリオは崩れかけた家々を見た——焚き火の明かりにまだ見えている。

今夜も寒さの中で眠る何百人もの人々。

「明日は……住居を建てる」

「どうやって?」

「まだ分からない。だが何か思いつく」

食べ終えた。

周りでは、祝いが続いていた。

ささやかな。控えめな。

だが本物の。

グレンマールは生き返り始めていた。

ゆっくりと。

一歩ずつ。

そして廃墟の上に月が昇る中——

ヘリオは初めて感じた、この地に来てから——

もしかしたら……もしかしたら、やり遂げられるかもしれない、と。



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