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夏休み[12]

ルーちゃんの力を見た後、ラズル達は試し斬りをする為に近くにあるという闘技場に向かい、ルルと親父さんは店に戻り修行するとの事。


「おー、随分と立派だな」


「ラズル様程ではありませんよ!」


「確かに大きいのぉ」


「流石王都って感じですね!」


「しかもこの闘技場、凄いのは大きさだけじゃないんだよ!」


「ん?他に何かあるのか?」


「この闘技場はとある魔法技術によって闘技場内で傷を負ったり物が壊れたとしても出たら元に戻るんです」


「何それ滅茶苦茶凄くね?」


「だから思う存分戦えるんだよ!」


「もし闘技場内で死んじゃったらどうなるんですか?」


「................試してみる?」


「遠慮しておきます!」


「まぁ冗談はさておき早く行こうよ!」


「レッツゴ~」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


闘技場の中へ入ると、既に何人かの冒険者らしき者達が戦っており、観客席にもそれらを見に来た人達がちらほらと居た。


「イベントも何も無いのに結構(にぎ)わってるんですね」


「俺も早くこいつを試したいです!」


「そうだな。俺らも始めるとするか」


「ラズル!僕とやろ....」


「まぁ待て待て。多分そろそろ起きたからちょっと待ってくれ」


ラズルは始めると聞いて即座に駆け寄って来たフランの頭を掴んで止めた。


【召喚魔法】(サモン)ネラ」


「キュウ......キュ?........キュイィ!」


「嘘付け!お前絶対今の今まで寝てたろ?!」


「え?ネラちゃん何て言ってるんですか?」


「『ずっと待ってたのに何で呼ばなかったんだ!』だそうだ」


「こいつ俺が朝早く一緒に待ち合わせ場所に行こうつっても全然起きなかったから、取り敢えず中に入ってて貰ってたんだが......絶対今起きたよな?」


「....キュウ?」


「可愛さでごり押そうとすんな」


「はぁ...とにかく今日はネラも参加して貰う。最近かなり力付いて来たし、そろそろ戦い方を覚えさせたい」


「でもこんなに小さいのに大丈夫でしょうか?」


「大丈夫大丈夫。こいつ今猫被ってるだけだから」


「キュウ!!」


ネラは余計な事を言うなと怒りつつも身体をどんどん大きくさせていき、やがて全長3m程になると変化は止まった。


「あれ、何かまたでかくなってる」


「うわぁ!もうこんなに大きくなったの?!」


「いかにもドラゴンって感じで格好良いね~!」


ドワーフ姉妹は初めて見るドラゴンらしいネラの姿に大興奮であった。


「ネラ、お前も出来るか?」


「キュウ!」


「良し!じゃあまだ俺とやった事無くて俺とやってみたい奴居るか?」


「「はい(キュイ)!」」


「じゃあまずはグラウィス!君に決めた!」


「宜しくお願いします!」


「じゃあ他の6人はそれぞれ自由に組んでくれ、ルーちゃんは適当に観客席とかで待機。絶対に問題を起こさない様に」


「分かりました!」


「グラウィス、ヤーちゃん、向こう行くぞ!」


「はい!」


「うむ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そういえば、ラズルは試したい剣と夜天丸さんどっちを使うんですか?」


「ネラにはあまり怪我させたくないからお前にヤーちゃんを使う」


「俺は怪我しても良いって事ですか?!」


「うん」


「否定して?!」


「大丈夫!お前頑丈だし、それにフランもこの中だったら死んでも大丈夫って言ってたろ?」


「あの顔は絶対駄目なやつだと思います」


「細かい事は良いからさっさとやるぞ!ヤーちゃん!」


「分かったのじゃ!」


ヤーちゃんは人型から本来の姿である魔刀へと戻るとラズルに向かって飛んで来た。そしてラズルは右手を横に上げるとそこへ飛んで来たヤーちゃんが綺麗に収まった。


『妾の力、存分に振るうが良い!』


「そうさせて貰おう....来い!グラウィス!」


「最初から本気で行きますからね....!」


グラウィスは『身体強化』と『剛力』を使って斧を振りかぶり、ただ真っ直ぐにラズルへ向かって走り出す。


「真っ向からか....面白い!」


『身体強化』と『剛力』を使ったグラウィスから放たれる1撃は重く、同じく『身体強化』を使っていたラズルでさえも真っ向からは受け止め切れずに後ろへ吹き飛ばされてしまう。


「うおっ!凄ぇ力だなぁ....」


「ふんっ!はっ!せぇあぁ!!」


後ろへ下がったラズルに容赦(ようしゃ)無く攻撃を仕掛けていくグラウィス。それら1撃1撃にもかなりの力が込められており、真っ向から受け止め切れないと判断したラズルは、夜天丸を傾けグラウィスの斧を滑らせる様にして攻撃をいなしていった。


ラズルは段々とグラウィスに疲れが見え始めたの見計らって1度距離を取る。


すると夜天丸を(さや)へと収めると、それを左側の腰の辺りに持って目を閉じ、左足を下げて姿勢を低くした。


「はぁ..はぁ...居合いですか....」


ラズルは何も答えない。


「ふふっ、望む所ですよ!!!」


始めと同じくグラウィスは斧を振りかぶりラズルへ向かって一直線に走り出す。


それでもラズルは目も開けずに夜天丸を構え続けていた。


「はあぁぁぁぁぁ!!!」


この戦いにおいて最後のグラウィスの渾身の1撃。ラズルは斧が当たるという直前に一気に目を開くと、『身体強化』と『瞬速』を使った目にも止まらぬ速さでグラウィスの背後へと回っており、いつの間にか抜いていた夜天丸を再び鞘へと収めていた。


「えっ?....ええぇぇぇ?!」


気が付くとグラウィスの持っていた斧の持ち手が斬られており、とても使える状態では無くなっていた。

 

「ふぅ...俺の勝ちだな!」


「あはは、これは完敗ですね....」


「いや、正直押し負けるとは思って無かったから驚いたぞ」


「畑仕事で鍛えたので!」


「ははっ、そりゃとんでも無い訓練だな」


「でもやっぱりラズルは強いですね、勝てる気がしませんでしたよ....」


「仕事で鍛えたので!」


「へぇ、どんな仕事なんですか?」


「秘密だ!」


「えー、教えて下さいよー!」


「ほらほら早く外に出てその斧直して来い!」


「あっ!そうでした!」


グラウィスは慌てて斬られた斧を持って闘技場の出口へと走って行った。


「ヤーちゃん、中々良かったぞ」


『ふっふっふ....妾だから当然なのじゃ!』


「これからも宜しく頼むぞ?」


『妾に任せるのじゃ!どんな物でも斬ってみせよう!』


「おっ、じゃあルーちゃん斬ってみるか」


『すみません調子に乗りましたそれだけは勘弁して下さい』


「ははっ、冗談だよ。....さて、他の奴らはどうなったかな~」

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