夏休み[13]
「こうやってアリアと戦うのも久し振りだね!」
「そうですね....1番最初の授業振りですかね?前回は負けてしまいましたが、今回は私が勝たせて貰いますよ!」
「アリアには悪いけど今回も僕が勝たせて貰うよ!」
そう言ってフランは新しく買った剣を、アリアはいつものレイピアを構えた。
「じゃあ........」
「では........」
「行くよ!!」「行きますよ!!」
「【光の矢】!」
始まりの合図と同時にアリアは光の矢を数本放ち、フランに対して牽制をする。
「よっと!『身体強化』」
当然、フランもそう易々と魔法に当たってくれる訳も無く、『身体強化』を使い一気に距離を詰めて来た。
「『身体強化』!」
アリアもフラン同様『身体強化』を使い、フランの振るう剣をレイピアを器用に変形させながらいなしていく。
「きゃっ!」
しかし、単純な近接戦ではアリアより武力の高いフランの方が優勢であり、アリアはフランの前蹴りにより後ろへと飛ばされる。
「やはり近接戦だと分が悪いですね...!」
「ふっ!」
「【光球】!」
アリアは直ぐ様距離を詰めて来たフランに合わせて光の球を放つ。その光の球は弾けると眩い光を放ち、フランの視界を奪った。
「はあぁぁ!」
アリアはその隙を見逃さずに再びフランから距離を取りながら、レイピアを変形させて伸ばす。
「....っ!」
....が、視界の戻ったフランによってギリギリ躱されてしまった。しかし、レイピアはそのままフランの横を通り過ぎると、折り返してフランの背中を刺そうと再び伸び始めた。
「おっと」
フランはレイピアの軌道を確認すると直ぐ様その軌道からずれた。
「ここです!」
「なっ..?!」
すると今まで真っ直ぐに伸びたり曲がったりなどの単純な動きしかしなかったレイピアが、フランの目の前に来ると突然4つに分かれた。フランは持ち前の反射神経で何とか1つは躱すが、他の3つはフランの右腕、左足、右足を貫いた。
「っ!痛ててて...参った!僕の負けだよ....」
「ふぅ....だ、大丈夫ですか?」
アリアはフランとの戦いが終わると直ぐにフランの元へと駆け寄り、安否の確認をする。
「全然大丈夫だよ!1回闘技場から出れば直ぐに治るしね!」
「やはり怪我が治ると分かっていても慣れないですね....」
「あはは、確かにね....いやぁでもビックリしたよ。急にそのレイピア4つに分かれるんだもん。あまりに急だったから1つしか躱せなかったよ!結局【付与魔法】も使えなかったなぁ....」
自分もまだまだだと笑うフラン。そこには負けた悔しさと新しい課題が見つかった事に対する喜びの混じった笑みであった。
「まさかあのタイミングで分かれたレイピアを躱されるとは思いませんでした....流石はフランさんです」
「でも前までちょっと変形するだけだったのに、変形のバリエーションが凄い増えたね」
「ララさんとロロさんとお父様に少しだけ構造を変えて貰ったんです。今までとは違って変形はしやすいですが、その分変形する際の魔力を多く消費しますし、レイピアの重量も増えたので前よりも直ぐに疲れてしまうんですよね....」
「勿論そのレイピアだけでもそうなんだけど...何より魔法と合わせて来られるとかなり厄介だなぁ」
「ですが、私はやはりまだ近接戦と魔法を別々に考えてしまっているので、判断が遅れてしまいました。ここはこれからの改善点ですね」
アリアは顎に手を当て、頭の中で今回のフランとの戦いで得たものやこれからの改善点などをまとめていた。
「ふふっ、お互いに良い経験になったね」
「はい!また次もお願いしますね!」
「勿論!けど、次は僕が勝つよ?」
「私も次の機会までにもっとこのレイピアと魔法を使いこなして、フランさんに勝って見せますよ!」
「言ってくれるね!」
「当然です!」
そのまま2人はお互いを見つめ合いながら口元を緩める。
「さて、そろそろ皆さんも終わった頃でしょうし、最初の場所に戻りましょうか」
「ええっとアリア?戻るのは良いんだけど、出来ればまずは1回外に出るのを手伝って欲しいかな~。いくら治ると言ってもやっぱ痛い....」
「はっ!ご、ごめんなさい!直ぐに連れて行きます!」
アリアはフランの左腕を自分の肩に掛けると、ゆっくりとフランを支えながら出口へと向かった。
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アリアはフランを1度外へ連れて怪我を治した後、最初の場所へ戻ると既に2人以外の全員が集まっていた。
「おっ来た来た、お前らはどうだった?」
「悔しいけど負けちゃったよ....」
「という事はアリア、前回のリベンジ達成出来たのか!」
「はい!でもまだまだです。今回はフランさんが全力を出す前に不意打ちで勝ったみたいなものですし....」
「それでも勝ちは勝ちだ。それは誇って良い事だと思うぞ」
「そう...ですね」
「それで、フランは全力出す前にやられちまったと」
「うん、僕の悪い癖なんだよね。クイナみたいに最初から全力で戦えば良いんだけど....」
「確かにあの容赦の無さはある意味見習った方が良いな」
「これ私褒められてるんですか?貶されてるんですか?」
「............とにかくフラン、自分の課題や欠点が見つかったのならこれから改善していけよ?」
「せめて何か言って下さい?!」
「勿論!次は絶対に勝つよ!」
「皆さんはどうでした?」
「俺はラズルにボコボコにされました!」
「妾のお陰じゃな!」
「はいはい、ヤーちゃんの出番終了だからあそこでルーちゃんと一緒に待っててね~」
するとラズルはヤーちゃんを刀の姿へと変えると....
『えっ...いやそれは....しかも何でこの姿にっ....て、待つのじゃ!ルー様と2人っきりなんて嫌じゃぁぁぁぁぁ!!!』
刀となったヤーちゃんを観客席に座ってラズルを見つめていたルーちゃん目掛けて全力で投げ、ルーちゃんはそれを人差し指と中指に挟んで止めた。
『................』
そしてその光景を見ていた一同は一瞬動きを止めるが、そのまま何事も無かったかの様に会話は進ませていくのであった。
「私はララに勝ったよ~」
「あれはロロの運が良かっただけだから!次やったら絶対に私が勝つから!」
「ふっ...妹に勝る姉は居ないよ~」
「何だと?!じゃあもう1回やってやろうじゃないの!」
「ふっ...良いよ~」
「はいはいお前ら落ち着こうねー」
何度も行われるこの姉妹喧嘩をラズルが慣れた手つき止める。
「クイナはどうだったの?」
「........負けました」
「ええ?!ネラ、クイナに勝ったの?!」
「キュウ!」
「いや、俺もかなり驚いた。クイナの成長は正直異常なんだが....まさかネラの成長が上回っているとはな。ドラゴン恐るべし」
「ネラちゃん凄いですね!」
「キュイィ~♪」
アリアに頭を撫でられたネラは気持ち良さそうに目を細める。
「ふっふっふ、ネラよ、そんなに余裕ぶっこいていられるのも今の内だぞ?なんたって次は俺とだからな!」
「キュウ?キュイ!!」
ネラはそんなラズルの挑発対して望む所だと言いながら、やる気満々に尻尾を振るう。
「じゃあお前らはまた一緒でも違っても良いから各自で組み直してくれ」
「今度こそ姉の力ってものを見せて上げる!」
「何度やっても結果は変わらないけどね~」
「ネラ、俺達も行くぞ!」
「キュウ!」




