知らない何かの物語 序章
これからこっちを多めに上げるかも。
何か、書きたくなりました。あ、ちゃんと他の更新はします。でも書き伝えるのが難しい……これだけネタを作っといて……
現代社会にはどうしても優劣が存在する。
それこそ貧富の差が激しい訳ではないが、見えない部分で確かにそれは存在する。
そう言った見えない優劣が存在する世の中何が必要なのかと考える。
答えは簡単だ。
人間として、人としての運命力。要は運だ。
学校に一人はいるであろう文武両道な人。
学校に一人はいるであろう友達が多い人。
学校に一人はいるであろう美女美男子。
他にもあるが大抵はこんなものだろう。
そいつらは自分の事をどう思っているのだろうか?
これも答えは簡単だ。
運が良いと思っているだけ。答えはこれしかないと思う。
努力をすれば多少なりとも文武両道にもなれれば、友達だって沢山できるし、美しくも可愛くも格好良くも爽やかにもなれる。
自分の価値を決めるのは自分だと思っている奴はただの馬鹿だ。
だが、俺は自分の価値を自分だけが知っていると自覚している。
何故なら何も取り柄がないからだ。
友達も多くはいないし、文武両道で言えばそれのどちらも得意不得意があり世間一般的に見ても文武のどちらも優れている訳ではない。加えて髪は寝ぐせがないもののセットも何もしていない極々普通の見た目。
最初に言った貧富の差で言えば裕福でもなく貧しい訳でもない、まぁ普通に生活出来るくらいだ。
ここまではまだ良い方だと思う。
だが俺には人間的に決定的に足りてないモノがある。それが運。
しかもその運は、行動的に足りてない運ではなく運命的に将来的に足りてないのだ。
別に悪い事をしている訳でも無いのに最後の最後で絶対に上手くいかないのだ。
この高校だってそう。
親に勧められ、自分のなりに考えて入学した私立の進学校。
しっかりと事前の調べもした。
納得はしていないが、入りたくないと思った訳ではないから入学したものの学校の校風や人間関係、雰囲気そのもの自体が全く自分に合わなかったのだ。
虐めや窃盗、暴力事件に教育への心意気が欠落した教師。
観察に観察を重ねると周りには人間の屑しかいない。
今もこうして………
「何こっち見てんのあんた?マジキモいんだけど?」
「それな。誰もあんたみたいな奴に見られても嬉しくないから。てかこの教室から出てってくんね?キショい目でこっち見んなよ」
「いや。誰もお前らみたいな女見てねぇよ」
何てことは言えず……
進学高の特進科あるまじき恰好をした二人の女子生徒に罵声を浴びせられる。
しかも結構大きな声でいうものだから、周りにいる他の奴らでさえヒソヒソと何かを言い出す。
耳には入れない。
その声を聞いたら自分がどうなるのか分からないからだ。
陰口だと割り切って微かに聞こえてくる言葉を耳から遮断するのだ。
「てか何か言えよマジで……キモ過ぎなんだけど」
「それな」
てめぇは「それな」しか言えねぇのか?取り巻き一号機。
「ハァ……」
本当に、誰にも聞き取る事の出来ない位の溜め息を吐く。
本当なら言ってやりたいことは山ほどある。
だけどそれを言ったところで敵は撃退出来れど、味方を作ることは出来ない。
つまりクラスのほぼ全員がいつでも寝返る事の出来る味方に変わるわけだ。
だから何も言わない。
いくらストレスが溜まろうと、いくらどす黒い感情が心で芽生えても我慢する。そして自分に言い聞かせる「俺は運が人より足りないだけだ」と。
何回思った事だろうか……
こいつら全員殺してやりたいと。
何回思った事だろうか……
死ねば楽になるのかと。
どれだけ考えてもこんな人生はやり直した方が良いと思う。
何をやっても報われないこんなクソみたいな人生。
誰かぶっ壊してくれねぇかな…………
いっその事どっかの強盗やら殺人犯やら指名手配犯だとかに殺されたい。
だけどそんな都合のいい考えは運が悪い俺にはあり得ない。
小学校はこんな感じではなかった。
変わったのは……いやこうなる人生の分岐点は中学二年の夏祭りか……
神社に一緒に行った女子と男子の二人の友達。
それから何を願ったのかも覚えていない。
というよりも、その祭りからどうやって帰ったかも覚えていない。
それからその二人と会う事もなくなった。
「もう帰っかな……」
嫌な事を思い出し、嫌なことを考えてしまったからかドンドン生きる気力というものが無くなっていく。
休み時間とかではない普通の授業時間。
ただ鞄を持ち席から立ち上がると教室のドアを開く。
先生の止める声が聞こえなくもなかったが、足を止めることなく学校を後にした。
あぁ俺らしくないことしちまった。
もう学校行きにくくなったわ……
あぁ、どうやって人生やめっかな……
目の濁りは徐々に濃くなっていくのが自覚出来るくらいには絶望している。
高校に進学してから、何をやってもある程度上手く運の良い奴らに妬むのもやめた。
そんなことを考えるのも面倒になった。
でも何でか……
「来ちまった……な。ここに」
自分から何かが無くなった中学二年の夏。
その時に訪れた神社。
街の全体を見渡せる程高い場所。そんな所しか取り柄がなく、そして有名ではないのにやたら大きな鳥居。
「何でだろうな、ここは良い場所だと思うわ」
何も考えなくても良い場所なんて滅多にない。
そんな数少ない場所。
何かを盗られた場所なのに。
何かを忘れた場所なのに。
何かを失った場所なのに。
「何でかこんなに気持ちがいい……」
「やっとここに来たな、優斗」
「ん?」
親にも、それこそ友達にもあまり名前を呼ばれることのない人生を生きて来たという理由で自分の名前すらにも興味が失せていた。
そんな時に珍しく自分の名前を知り、且つ読んでくれている人間が真後ろに現れた。
金色の瞳。
金色の髪。
そして、現実ではまず着用することのないであろう金色の甲冑。
「誰だあんた?俺の知り合いにはそんなまっ金々な奴はいねぇぞ?加えて女でな」
「いや。優斗は知っているはずだ、なんせ私達を救った私達の英雄であり恩人であり恋人だろう?」
「は?何言ってんだあんたは……、俺は誰かを救った事なんてないし、恩人になったこともないし、英雄になった記憶もない。ましてや恋人なんていたこともない。人違いじゃねぇか?」
あれ?
「何を言っているんだ?優斗。貴方はここで私と妹を救ってくれたではないか?」
「いやいやいや、マジで何言って—————」
おかしいぞ?
「全くおかしい事はない。まぁ、忘れていても関係はないな」
名も分からない女は正面に立つ。
そして金色の甲冑に触れると、金色の甲冑はキーホルダーのように小さく形が変わり、代わりに藍色に近い綺麗な青のドレスを見に纏った。
「私は君を〝この世界から取り戻しに来たんだ〟」




