表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/38

三十八話『左指の約束』


 無事に勝っちゃんと再会を果たした私は、聖女としてレオナルド殿下の婚約者に迎えられることになった。


 もちろん子爵令嬢と王太子では身分差を理由に反対してくる貴族たちもいた。


 しかしアンジェリーナ様の生家であるクロウ公爵家から全面バックアップを頂けることになり、あれよあれよと言う間に私は勝っちゃんの……レオナルド殿下の婚約者になっていた。


 アゼリア子爵はと言うと、陛下の判断により私の保護者である権利を剥奪されることになった。


「子を虐待するものは親ではない」


 この言葉がとどめとなり、王都の社交界に居られなくなったようで、今はアゼリア子爵領にある屋敷で暮らしている。


 アルベンティーヌとフロレンシオ様の婚約も破棄され、私を虐待していたと言う事実が広まっており、今後貴族とアルベンティーヌの結婚は難しいだろう。

 

 すこしでも勝っちゃんの、レオナルド殿下の妃として相応しい人物になれるよう、勉強も頑張った。


 行儀作法やらなんやら本来なら十年かけて行われる王妃教育を、アンジェリーナ様の支えもあり僅か三年で履修した。


 王国中の貴族が一堂に会する新年を祝う夜会でいまだに緊張を隠せないでいる私の肩をレオナルド殿下が優しく抱き寄せる。

 

「ユリア、少しだけ庭園に出よう?」


 庭園には心地よい風が吹いており、夜会で火照った身体にちょうどいい。


 レオナルド殿下のエスコートでたどり着いたのは東屋のある泉だった。


「うわぁ綺麗!」


「そうだな……優里亜、いやユリアーゼ・アゼリア子爵令嬢」

  

 何やら落ち着きなくポッケをガサゴソとやり始めたレオナルド殿下に名前を呼ばれている向き直る。

 

「俺、レオナルド・グランデールはこれからの生涯をきみに捧げよう。 俺の、俺だけの妻になってくれないか?」

 

 この世界ではプロポーズの時に御揃いのブレスレットを渡すことになっているのだが、レオナルドの手に握られていたのは御揃いのブレスレットではなく、手のひらに乗るような小さな四角い化粧箱だった。

 

 中にはいつの間にか調べたのか二つの指輪が寄り添うように並んでいる。


「ブレスレットは一緒に準備しよう? だけどその前にこれを受け取って欲しい……」


「嵌めてくれるの?」


 ドクリドクリと心臓が跳ねる。


 左手を差し出せばレオナルド殿下は私の左手の薬指にキラキラと輝く指輪をお互いに指輪を相手の薬指に嵌めあう。


「まさか異世界で結婚指輪を貰えることになるとは思ってなかった」


「どうしてもユリアに贈りたかったんだ……」


 やさしく微笑むレオナルド殿下に口づける。


……私、いま一番幸せです!



 *****完結*****


   

本作を完結まで読破していただきました皆様、お楽しみいただけたでしょうか?今後も作者及び作品群をよろしくお願いいたします!

ブックマーク、評価、イイネ!ご感想、レビューなど作者の完結させるぞ〜!と言う決意の励みとなっておりますのでドシドシ(私の足音じゃない……と思いたい!)お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ