バレンタインSS2
閲覧いただき、ありがとうございます。
季々と雪之助のバレンタインストーリーです。
番外編2の翌年のバレンタインです。
季々視点です。
去年はとても苦い思い出となったバレンタイン。
今年は絶対失敗しないぞ、と意気込んでいたのだが…
バレンタインの当日。
私は雪之助と飛行機に乗っている。
行き先はチョコレートの本場、ベルギーだ。
雪之助は今年で最後の学生としての春休みだ。そして、折角だから一緒に海外へ行こうということになった。
雪之助は卒業論文提出や会社の書類などやることが沢山あり、私も期末試験があった為、旅行に行くのは2月。バレンタインデーの付近で行こう。
そしたら、チョコレートの本場、ベルギーに行くのは、ということで、今に至る。
家族以外と海外旅行なんて初めてだ。
私はちら、と雪之助の方を見る。
映画を観ていた雪之助は私の視線に気がつき、ヘッドホンを外して、こちらを見る。
「どうしたの?不思議そうな顔をして」
「いえ…夢みたいだなって」
そう言うと雪之助は私の頬にキスをした。
私は動揺して、ブランケットを床に落とした。
雪之助は笑いながらブランケットを拾った。
「ごめん、君があまりにも可愛いこと言うからさ。僕も楽しみだよ」
初めての彼氏との海外旅行。
正直、ドキドキが止まらなさそうだ。
空港に着き、チェックインした後、雪之助と街に出た。
可愛い街並みにデコレーションされたデザート。
少し歩いたところには馬車が走っていた。
まさに、これこそ童話やゲームで出てきそうな場所だ。
「どこを見ても素敵…」
「今は夕方だからライトアップはまだだね。夜になると、また違う雰囲気になるみたいだよ」
それは楽しみだ。
私達は、今回の目的の一つでもあるショコラトリーに着いた。
扉を開けると、一気にチョコレートの香りが鼻孔を擽る。
ぼうっと店内に見惚れていると、雪之助が店員と仲良く喋っていた。
国際学部の私よりも英語が堪能だ。
何でも出来る雪之助に改めて感心してしまう。
店員は雪之助に何かを渡され、こちらに向かう。
「季々ちゃん、これ試食みたいだよ」
自然に私の口にチョコレートを運ぶ。
この一年で大分雪之助の軟派さには慣れたが、まだ人前でやられるのは恥ずかしい。
私は平静を装い、口に含む。
「おいしい…」
「それは良かった」
雪之助は笑顔で笑う。
私達は今年、お互いにチョコレートを選ぼうということにした。
雪之助が私にもバレンタインデーに何か贈りたいと提案した。それでは、と日本にいた時に決めたことだ。
「じゃあ、30分後にここで」
雪之助と別れ、ショーケースの中を覗く。
色とりどり、様々なフレーバーのチョコレートが並んでいる。
私は雪之助のことを考えながら、ボックスに入れるチョコレートを一粒ずつ選んでいく。
30分後。
「お待たせしました」
雪之助は笑顔で私を迎えた。
ショコラトリーを出た私達はグランプラスに向かった。
辺りも暗くなり、街も先程とは違う雰囲気を見せた。
ライトアップされた広場はとても幻想的だった。
私達は一通り景色を堪能すると、先程買ったチョコレートを交換する。
中身を確認すると、私は驚き、思わず雪之助の顔を見る。
雪之助も僅かに驚いているようだ。
暫くお互い顔を見合わせ、そして笑った。
「選んだチョコレート、全部同じって凄くないですか?」
「うん、流石にびっくりした。あんなに色々フレーバーあったのにね」
暫く、この偶然に笑っていると、鼻先に冷たいものを感じた。
「あ、雪だ」
「本当だ。凄くここの景色にあって、素敵だね」
雪之助は私の空いた手を握り、私の方を見る。
「季々ちゃん。いつもありがとう。これからもよろしくね」
私は笑顔で頷く。
「こちらこそ。よろしくお願いします」
大好きな彼と過ごす2回目のバレンタインは雪と幻想的な景色に包まれた素敵な1日になったのだった。
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