番外編2-1
閲覧いただき、ありがとうございます。
季々と雪之助の番外編です。
この番外編の後半、少々過激なので、ほのぼのな二人が好きな方は注意してください。
雪之助と付き合い始めて、数ヶ月。
あと二日でバレンタインデーを迎える。
バレンタインは雪之助の家に初めて遊びに行く約束をしている。
私はバレンタインに備え、雪之助が好きなコーヒー味のチョコレートの試作をしていた。
出来たものを試食してみる。
しかし、それは自分が思っていたのと少し違った。
インスタントコーヒーを使っているのだが、いまいち味が良くない。
コーヒーの分量を多くしてみたものも試食したが、こちらは少し粉っぽさを感じる。
私は普段しないお菓子作りに苦戦していた。ここ数日はチョコレート作りに休みを費やしていた。
そしてバイト代もチョコレート製作で飛んでいっていた。
既製品の方が何倍も美味しいだろうが、雪之助は手作りのチョコレートを希望した。
好きな人にあげるものだ。出来るだけ、雪之助の意向に沿いたかった。
今日はまだ時間がある。
本日、二回目の試作をしようと準備をしていると、チョコレートを使い切ってしまったことに気がついた。
私は近くのスーパーまで買いに行こうと、外へ出る準備をした。
スーパーに着くと、バレンタイン仕様になっているのかチョコレートのコーナーがあった。
「あれ、季々?」
振り向くと、そこには高校時代からの親友がいた。
彼は姉ヶ崎縁。現在は製菓学校に通っている。
「縁!久しぶり」
縁は嬉しそうに微笑んだ。
私の高校時代の青春の思い出にはいつも彼がいた。虐められていた私を彼が助けてくれたことをきっかけに仲良くなっていた。お互い恋愛感情は抱いておらず、卒業旅行として、二人きりで旅行に行くこともあった。
最近はお互い、忙しくて連絡が取れていないが、元気そうで良かった。
私は、彼が製菓学校の生徒ということを思い出し、ハッとする。
「ねえ、縁!私にチョコレート作りを教えて」
思わず、縁の手を握る。
縁は驚きと戸惑いが入り混じった表情を見せた。
「まさか、お前にこんなにイケメンの彼氏が出来るとはね」
縁は私の家に入り、クリスマスに撮った記念写真を見つけて、そう呟いた
縁は顔立ちが整っており、男女共に人気があり、恋人が途切れたことはない。
一方で私は雪之助が初めての彼氏だ。
こんな良い物件、どこで見つけたんだ、と縁の追究を受けながら、私は縁にチョコレート作りを教えてもらった。
「折角ならテンパリングもしないとな。粉はさっき買ってきたから。あとはインスタントコーヒーなんてダメ!ちゃんとした豆を使わないと」
縁は想像以上にスパルタだった。
私は夜まで縁にビシバシと扱かれながら、チョコレート作りを教わった。
そして、深夜、美味しいコーヒー味のチョコレートが無事出来上がった。
「ありがとう、縁!」
縁は得意げに頷く。
これなら、雪之助に自信を持って渡せる。
チョコレート作りが終わり、縁を送って行こうとしたが、縁はスマートフォンを見て愕然とした。
「終電逃した…」
ネットカフェに泊まろうとする縁だったが、遅くまで引き留めた私の落ち度だと思い、急遽、縁はうちに泊まることになった。その日の夜は縁に恋愛相談をすることになった。
「お前はその危機感のなさを直さない限り、絶対彼氏とトラブル起こすぞ」
話の途中、縁は半ば呆れたように言葉を吐いた。
私が首を傾げると、縁は溜息をついた。
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