第27話 卒業
章分けしてみました。
都合上少しタイトル等を変更させていただき、この話から第二章とさせていただきます。
登校時間は5分ぐらいだが、最後の登校となるとどうしても足が少し遅くなってしまい、10分ほどかけて登校した。
「リィナ様、レィナ様、シオン君」
席に着くとシンシアが三人の目の前に立つ。
「今日・・・なんでしょ?」
すると横から
「頑張っていけよ」
クロイスが応援してきた。
「何か知っているの?」
シオンが何で発表前に二人が知っているのか気になった。
「え?だって町では噂だよ?」
シンシアが言った。
「「噂?」」
リィナとレィナも知らない様だ。
「お前らが・・・その・・」
クロイスが何かを言いかけるが止まってしまった。
「そこまで言ったなら教えてほしいんだけど」
シオンがそう言うと
「・・・いや!俺にはこんな恥ずかしいこといえねぇ!」
拒否されてしまった。
「たぶん今日の終業式でわかるんじゃないかしら?」
シンシアが言う言葉に三人は嫌な予感しかしなかった。
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そして、終業式
「今年度も勉強・実技共に頑張ってくれた。次は一つ学年が上がり、新しく一年生が入ってくる。来年度も精進を忘れずに、先輩として新入生を迎えてほしいと思っている。・・・それでは、異例ですがこの終業式にアルバルト国王陛下がいらしゃっています。次は国王陛下による特例の卒業式に移させていただきます。では、よろしくお願いします」
学園長が下がる。
そこへアルバルトが出てきた。
「え~。皆の者!一年間の勉学、実技ご苦労だった。この度、私の娘、リィナ、レィナ、そして婚約者のシオン。この三人は婚前修行のために旅に出ることになっているため、卒業させることになった!!」
『・・・・・・・』
講堂内の空気が凍り付いた。
「「「はい?」」」
シオンとリィナ、レィナは唖然とした。
『うおぉーーーー!!』『きゃあーーーー!!』
会場内はみんなが興奮して騒ぎ出した。
「あの噂ってホントだったのかよ!」
「いいなぁ。シオン君かっこいいもんね」
「それで旅ってすげぇな!」
「旅っていうか旅行なんじゃない!」
会場はそんな話が飛び交っている。
「・・・リィナ・・・レィナ、聞いてた?」
「・・・ぜんぜん」
「・・・聞いていないです!」
三人はまたアルバルトに変な噂からこの暴露話で、確実に変な方向に話を持っていかれた。
シオンは諦めかけているが、アルバルトを親とする二人は怒りオーラが出ていた。
「ほら!お前達!私が直接卒業証書を渡すのだから早く出てこんか!」
アルバルトは三人の心情を気にする素振りも見せようとせずに、壇上に上がって来いと言ってきた。
三人はシオンを先頭にリィナ、レィナと続き、壇上に上がっていく。
シオンははっきり言って、今後ろを振り向きたくなかった。
二人はシオンが二人に出会って以来、ここまで怒っているのを初めて見るからだ。
(・・・どうなっても知らないふりをしよう)
シオンは壇上に上がる時にそんな決意をした。
シオン達は無言でアルバルトの前に来た。
「では!」
そう言い卒業証書らしき紙を広げるアルバルト。
「卒業しょぐはぁ!」
アルバルトは卒業証書とすら言うことが出来なかった。
その原因を作った二人はシオンの両隣にいた。
リィナとレィナは壇上にも関わらず、アルバルトの鳩尾に拳を入れていた。
「い・・いったい・・・なぜ・・」
アルバルトは耐えはしたが、かなりのダメージを負ったようだ。
「父上!私たちは確かにシオン君のことは好きだよ!」
「以前もそうでしたがなんでこんな皆がいる場所でそんなこと言うのですか!」
二人の眼には少し涙が浮かんでいた。
「確かに私達は王族で、公表もあるでしょう!それがあるのはわかっています」
「でも、こんなふざけたような公表は私達をバカにしているようにしか見えないの!」
二人はそんな風に考えていたようだ。
確かにシオンもこの後のお祭り騒ぎ状態は遠慮したいから納得できる部分ではある。
「わ、私はお前達を想って・・・」
アルバルトは少し怯えるように二人を見る。
「「想う方向がふざけすぎでしょ!!」」
二人の声が重なった。
その後は卒業式とは思えない、王女二人による国王陛下の御説教時間となるのだった。
もちろん、この光景を見ていた者達は何も言えずに固まるだけであった。
こんな時間が一時間ほど続くのであった。
(二人を本気で怒らせるのは絶対にダメだ!)
シオンは今後、二人を怒らせるのはしないと誓った瞬間だった。
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そんな卒業式ではなく、国王陛下の御説教時間が終わり、なんとか卒業証書をもらった三人は教室に荷物を取りに行っていた。
「オイ、シオン」
小声でクロイスが話しかけてきた。
「お前、あんな二人と婚約なんて大変だな」
あの説教を見て、そんな感想になったみたいだった。
「でも、僕は二人のことは好きだから苦ではないけどね」
「・・・お前は大物だな」
クロイスはそんなことを言った。
「「ねぇ、クロイス君?」」
そこへリィナとレィナが話しかけてきた。
「今、何か言った?」
「何か聞こえたような気がしたのですが」
二人は目が笑っていない笑顔でクロイスに問い詰めた。
「い、いや、ただ・・・旅頑張れよってシオンに言っただけだ」
クロイスは誤魔化すようにそんなことを言った。
「「そうですか」」
二人はシオンを残し教室の席の方へ戻っていった。
「・・・シオン、頑張れよ」
「う、うん。ありがとう」
クロイスは少し引き攣った顔でシオンに言った。そして、シオンも席に戻っていった。
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「リィナ様、レィナ様、修行頑張ってくださいね」
「でもなんで婚前修業で旅なのかしらね」
「そんなことはどうでもいいでしょ」
「とにかくおめでとう!頑張ってね」
リィナとレィナは女生徒たちに囲まれずっとあんな調子だ。
「シオン!ちゃんと守ってやるんだぞ!」
「そうだ!しっかり守ってやれよ」
シオンの方はなぜか二人を守れとしか言われていなかった。
「お前達、短い間だったが、お前達の担任になれてよかったと思っているよ。もし王都に戻ったら学校にも顔を出してほしい」
フレデリックはある程度秘密を知っているので、ちゃんと労ってくれた。
「「「ありがとうございます。いってきます」」」
三人はフレデリックにそう言って魔法学校を後にした。
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「終わっちゃったね」
「そうですね」
リィナとレィナは少し寂しそうだった。
「そういえば、この後王城に行かなくちゃいけないんだっけ?」
シオンは少し話題を変えようとそんなことを言った。
「そういえば、父上がそんなこと言ってたね」
「呼ばれているからには行かなくてはいけませんね」
そのまま三人は王城へ向かうのだった。
「改めて、卒業おめでとう!」
アルバルトがいつもの会議室で待っていた。
「アルバルトさん、何か話があるのですか?」
シオンの質問に
「そうだ。お前達はこれから旅に出てもらうわけだが、瘴気や瘴魔についての有力な情報というのは、お前達が冒険者の拠点の試験を受けた日以来、情報も目撃情報もないのだ」
アルバルトはそう説明する。
「え?そうなの?」
「でも、私たちが翼竜の討伐をした後に嫌な気配みたいなのを感じましたが」
一応、アルバルトには翼竜討伐の後に感じた嫌な気配についても話していたのだ。
「だが、報告が無いのは事実だ。だから、旅に出てもらうにしても行き先の候補があまりなくてな」
アルバルトが悩まし気にそんなことを言う。
「あまりないってことは、何か所かあるのですか?」
シオンが聞くと
「シオンはこの王都から南に行くと大きな港町があるのは知っているか?」
「ええ、授業で習いました。たしか・・・アルマポールトでしたっけ?この王都の貿易の要でもある」
シオンは授業の内容を思い出しつつ答える。
「そうだ。以前里でも言ったが、その港町から東に海岸沿いに言った村が瘴魔によって滅ぼされた村があったのだ。少し離れてはいるが、貿易の要ということもあり、情報も入ってくるはずだ。最初に目指すにはちょうどいいかと考えていてな」
アルバルトの説明に三人は感心していた。
「でも、父上がそんなことを考えているなんて・・・」
「今日はこれから槍でも降るんじゃないかしら」
「・・・父親を罵倒するのはもうやめてあげた方がいいんじゃない?」
アルバルトの表情が少し暗くなったように見えた。
「ともかくどうだろうか?最初の行き先としてアルマポールトは」
アルバルトが聞いてくる。
「そうですね。何もない状態なのなら、情報が入りやすい場所に行くというのは賛成です」
「そうだね、あそこは結構王都から近い割に港町だから暖かくて泳げるかもしれないし」
レィナとリィナは結構乗り気の様だ。
「なら、最初の行き先はアルマポールトでいいかな?」
「「賛成!」」
こうして行き先が決まったのであった。
「では、僕らはいつ旅に出ればいいのでしょうか?」
シオンがアルバルトに聞くと
「ん?いつでもよいぞ。お前達の準備が出来次第向かうといい」
答えは以外とざっくりしたものだった。
「え~と、見送りとかはしないでいいのですか?」
シオンはしたいのだと思っていたのだが
「だから、それは今しようかと思ってな」
アルバルトはそう言い姿勢を少し正し
「危険な旅になる可能性があることはわかっていながらこうして送り出すことしか出来ないが、頑張っていってこい。そして、つらくなったりしたらここに帰って来い。ここはお前達三人が帰る場所なのだからな」
アルバルトはそう言い送り出した。
「「「いってきます」」」
三人はこうして王城を後にした。
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「とりあえず買い物行こうよ」
リィナがそんなことを言ってきた。
「でも食料や衣類も含めてこの前買わなかったっけ?異空間袋にしまってあるよ?」
シオンは思ったことを言うと
「違う!行き先はアルマポールトだよ!まだ買っていない物があるじゃない!」
リィナはなぜか怒り出した。
「シオン君、たぶん水着を買っていないと言っているのだと思いますよ」
「あぁ、なるほど」
レィナの言葉で買いたい物の正体はわかった。
「水着って王都で売っているものなの?」
「一応水着専門店は何店かありますね」
レィナが教えてくれた。
「じゃあ、僕も一応買っておこうかな」
「行くと決まったなら早く行こう!」
三人は手を繋いで歩いていたため、急に駆け出したリィナに引っ張られてシオンとレィナも駆け足になってしまった。
「ちょっ!走ることはないんじゃ!」
「リィナ!少しは落ち着いてください!」
三人はそんな風にドタバタしながら水着店へ行くのであった。




