銀色の闇eighth 第44話 SERIOUSNESS
「てめぇに何がわかる!お前の戦う理由は梨菜たちの思いを笑えるほど大きなことなのか!?いってみやがれぇええええええええええええええええ!!!」
夜の商店街に井野宮の想いは爆発する。
「私たちの戦う理由は伝統を守り、仲間を守ること」
それに対し暗き蝙蝠リーダー代理も想いをぶつける。
しかし暗き蝙蝠の燕返しにより足をやられる井野宮。
「今度こそ終わりだ」
倒れる井野宮に漆黒の剣がむけられる。
〇
「足が動かねぇ・・・・・」
「終わりだぁあああああああああああああああ!!!」
パァン!
また銃声のような音。それは暗き蝙蝠リーダー代理から発せられているものではなかった。それは本当の銃。そこからうたれた弾は剣を弾き、井野宮を守った。
「なっ・・・・」
思わず剣を手からはなす、リーダー代理。そして考える。
(実弾じゃない・・・。これは空気砲?いや、この感じは弾があったな・・・。練習用の強化コルク弾か・・・。この弾を使っているのはうちの暗き蝙蝠のみ・・・ってことは・・・)
「反逆者どもか・・・・」
弾がきた方向を見るに・・・ビルの上?俺、井野宮天十はあたりを見まわし、見つけた。ビルの上に。
「梨菜!!!!!」
「井野宮さん!ここは私たちにまかして下さい!」
「たち・・・?」
すると俺の目の前に3人の女の子がいた。どの子も暗き蝙蝠の拠点でやられていたやつらだった。
「包帯をまかせていただきます。暗き蝙蝠特製の強固包帯です。うごきにくくなりますが少しの間なら走れますよ」
3人のうちの一人が俺に言った。
「おい!ちょっと待てよ!お前らあんなにケガしてただろ。ここは俺が・・・・」
「だいじょうぶです、私たちは」
俺に包帯を巻きながら言う。明らかに大丈夫じゃない。それぐらいは俺でもわかる。でもこいつらは笑顔で言う。
「あなたの想いは聞きました。あとは私たちに託してください。そしてシルバーウルフの方をよろしくお願いします」
パァン!
梨菜が発砲する。おそらく梨菜が使っているのはライフル。しかも高性能なやつだ。それじゃなきゃこの距離から正確に当てることなどできない。梨菜も暗き蝙蝠の一員。武器の扱いに長けている。
「ちっ!邪魔だ!!」
リーダー代理が剣を飛ばす。その瞬間俺に包帯を巻き終え、巻いてくれた子がナイフを取り出し剣を受ける。しかし受けきれない。相手の力が強すぎる。そこをうまくナイフを滑らすことによって受け流すことに成功していた。
「はやく!はやく行ってください!」
「くっ・・・・・・分かった。全員必ず生きろよ」
〇
「あらーん、もう終わりかしら?」
天使ラーエイは笑みをうかべていた。勝利確信の笑み。相手の大和大神は鉄パイプの山からでてこない。
「つまんないわねぇ・・・・・・残念ねぇ・・・・・・・」
ふふふと笑う。しかし・・・・・
ガラッ
「!」
鉄パイプの山が少し動いた。
「そんな・・・・まさか・・・・・」
ガラガラガラガラガラ!
「よぉ!久しぶりだな」
大和大神はほとんど無傷だった。
「なぜ!なんで生きているの!?」
「さぁ?俺にもわからないな。正直死んだと思ったんだが」
「!!」
ラーエイは考えを巡らせる。
(まさか私の能力が効かなくなってる?それで鉄パイプのコントロールができなくてわずかな隙間ができる。そこに逃げ込んだということなの・・・)
しかし
(なぜ?私の能力が効かない理由は?!)
そう考えつつもしかし確実に一つの可能性を思いつく。
(この子・・・私たち天使のことを信じていない!?)
天使の弱点とは一般人。何も知らない一般人である。天使とはそもそもこの人間界には存在しない。信じなければいないものと同じなのである。普通の人間ならラーエイの能力、『地位』や天使の羽、輪を見れば天使とまでは思わなくても『異常』だと分かるはずだろう。しかし・・・・
(この大和大神。いいや、志野野辺雄大は・・・鈍すぎる!)
そう志野野辺雄大は鈍かった。そして現実主義者だった。今回はそれに助けられたのだ。天使なんて信じてない。そもそもいないと思っているため、天使としての能力を封じられてきているのだ。
「そんな・・・バカな・・・・」
「?どうした?」
「あなた!私がなんなのか分かっているの!?」
「おかしなことをきくな・・・・」
「天使よ!天使!」
「天使?あぁ・・・・天使な。天使の格好だったのか、それ」
「へ?」
「悪いな。俺にはティンカー〇ルにしか見えなかった」
「!!」
「光の輪があるから違うのかなーとか思ってたけど・・・・うん、すごいクォリティだな」
「そんな・・・・」
志野野辺は井野宮との電話の伏線は回収したぞというような笑みを見せ・・・・
「なんだかわからんが・・・・・構えろ。俺はまだ戦うぞ」
〇
「ふーむ、ラーエイも派手にやってるみたいだねー。僕達はまだ続けるの?」
その場にいたのは天使アルミトルスと・・・・・・・・
「続けるに決まってるだろう・・・・・・」
ボロボロの暗き蝙蝠リーダー、撫子蝙蝠こと木野白泉だった。
「でもー・・・つまんないんだけど。僕の本当の能力は武術じゃないんだよ。それすら使う機会がなさそうなんだけれど・・・・」
「ふむ。そうかそれがお前の本気じゃないんだな」
「?・・・だったら何?まさか君はまだ全力をだしていないなんて言うんじゃないだろうね」
「そんなことはない。私は手を抜くようなマネはしないからな」
「じゃあ・・・」
「ただ。ただ私は腹が立っている。お前、本気を出せ。手を抜かれるのが一番嫌いだから私はそれをしないんだ」
「ふぅん、一理あるかもね。自分がされて嫌なことは他人にしない・・・じゃあさ」
そう言って足に力を込めるアルミトルス。
「僕を本気にさせてみなよ」
上段蹴り。中段蹴り。それらを全てくらう木野白。しかし袖から出した鉄球を振り回し、相手の足を弾く。そして一瞬の隙を見逃さず、鎖つきの剣を投げつける。それらを拳で全て殴るアルミトルス。その間にも木野白は電柱を使い空にいた。とんでいたのだ。
「は!」
「くっ」
思わず剣の攻撃を受けた。手が裂かれる。
「本気だせそうか?」
「・・・・・・・・君、生意気」
全ての戦いは最高潮をむかえる。
タイトルは本気。
約1カ月ぶりの更新。遅れて申し訳ないです。
実はもう1つ王道を考えていますのでそちらもよろしくお願いします。
理系少女と文系少年も現在更新中です!
でわ