第122話
美奈と土井ちゃんの背中を見送った数分後、沢里の表情からふと笑顔が消えた。
見ると男子数人が私たちの前で立ち止まって、なにかを言いたそうにしている。
「お前ら……」
もしかしなくても沢里の前の学校の人たちだ。
私はばっと前に出て、「今日は来てくれてありがとう!」と思い切り叫んだ。
沢里がぎょっとするのが伝わってきたが、彼らを呼んだのは私なのだから、礼を言うのは道理だ。
「私の相棒どうでしたか! 歌もギターもめちゃくちゃ上手いんですよ! 背も高いしかっこいいでしょ! 【haru.】っていうんですけど今ならなんとむぐっ」
「通販番組か!」
必死のアピールの途中で沢里本人に口を塞がれた。沢里の魅力を私の口から伝える機会は今しかないのに。
彼らは「【linK】だ」「本物だ」とざわめきながら若干身を引いている。
「久しぶりだな」
私を下がらせた沢里は毅然と彼らに話しかけた。堂々としているけれど、やはりどこかひりついている気がする。
彼らは顔を見合わせて、「おう」とか「ああ」など煮え切らない返事をする。
すると一人が沢里に対して言い辛そうにもごもごしながら切り出した。
「お前、こっちの学校戻ってくれば?」
「え?」
「だってなあ」
「サワソニで受賞したってことはその道まっしぐらってことだろ? だったらうちの学校の方が……」
「もう誰もお前の実力疑わないし……」
「ついでに【linK】も」なんて呟きも聞こえてきたがスルーして沢里を見る。




