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キスさせてくれませんか・・・? お兄ちゃん  作者: 赤屋 颯妃
第2話 初めまして
17/17

これまで関わってきた人と家族の違い




(・・・・・・・・言えよ)

(・・はい・・・)

(わかった・・聞こう)

(雅がそこまで言うのなら、聞いてやらんこともない)

(なーに?)

(・・・なんだ?)








「あの人と、それからこれから会う人たちと、私は、家族なの」


油をひいたフライパンの上で切った具材を炒めていく。


「だから、いずれはむかつく気持ちとか、怒った気持ちとか、嬉しい気持ちとか悲しい気持ちとか、


ぶつけあえる関係になれればなって思ってる」


(・・・)


「でも、私たちは確かにこの間まで他人で、家族って言っても親同士が結婚しただけで血もつながってない。


家族でも、これまで他人だった人と、いきなり一つ屋根の下で暮らすようになって、家族だからって遠慮なくなんでも言ってたら・・・普通ならうまくいくものも絶対にうまくいかない。


きちんとした関係が築ければそれもいいかもしれないけど・・今はまだそういう段階じゃないの。

お互いの気持ちを模索し合って、伝え合う段階。

だから、みんなも、一旦落ち着いてほしい。


本当はどんな気持ちなのか、少しでもいいから、この機会に考えてほしい」




(・・・・)





「お父さんは大人だから、言っていることが本当だよ。

嫌なことも、楽しいことも、全部、本当だよ。


でも、まだ会ったばっかりの人は、そうじゃないことも言う。遠まわしに伝えて、違う意味にとれる言葉も、言う。


だから、お父さんに怒りを感じたり、憎しみを感じたり、悲しみやむなしさを感じたなら遠慮なく私の体をのとって、ぶつければいいと思う。


けど、あの人たちは違うんだよ、

まだ・・本当のことを言えるほど、親しくなってないんだよ。


嘘の言葉に怒っても、何も生まれない。むなしいだけ。


嘘の言葉に怒るってこと自体が、嘘なんだもん。


ね・・・?」


これまでも似たようなことは何度かあった。相手がどういう気持ちで言っているかわからない、上辺の言葉に怒るようなことが。

外に出たとき、感情が高ぶりだす原因のほとんどはそれで、のっとってしまった原因も、全部と言っていいほどそれだ。


みんなは、素直で純粋で、まっすぐだから、すぐに感情をむき出しにしちゃうし、向けられた感情全部に素直に反応してしまうけど・・・うまくは言えないけど、家族だから、これからの関係があるからって説明したらわかってくれると思った。


少なくとも、これまではただのクラスメイトとか、たまたま一緒の電車に乗ってた乗客とか、そんな人たちが相手だったから、こういう言葉も『だったらそんなやつに気づかって遠慮なんかする必要ないだろ』って言われておしまいだったけど、これからの関係があるんだって、きちんと説明すれば、家族って関係があるって言えばわかってくれる・・きっと。


捨身じゃ、どうしようもないんだ。私が、望んでるってこと、わかってほしい。


(・・・・・)


(・・はぁっ・・・雅がそういうなら・・わかった。

でも・・本当におかしいと思ったら、我慢なんかしないからな)


斗真・・・!


斗真はもともと私の言うことにこの中ではきちんと理解を示してくれていた方だけど、ここまできちんと返事をくれたのは今回が初めてだ。

まぁ・・斗真が怒るってこと自体が、珍しいと言えば珍しかったんだけどね。


(・・・そうだな、誰にでもかれにでも怒りを向けるのは正しくない。




困らせて悪かった・・雅)


「ううん、いいんだ、わかってくれただけで私はすごく嬉しい。

キョーダイのみなさんにあたるとか以外だったら、全然私体貸すし」


(うーん・・・


ま、雅の頼みだからしゃーないかー。


あ、でもマジで男の目してたらはっ倒すからね~。

あの男、絶対女入れ食いしてる)


入れ食いって・・・。

わからないのにそういうこと言っちゃダメだって今言ったばっかりじゃない。


(・・・・本当の気持ちが入っていないのに、怒るなんてばかばかしい・・・・。


なんだか・・一気に体の力が抜けた・・眠い・・・おやすみなさい・・・)


本当に急に眠くなったみたいでそう言って峰藤が静かになった。

よかった・・・。


(・・・・)


「ショート?

翡翠?」


(まぁ、今のところは雅の顔に免じて我慢しておいてやろう。

だがな、親のすねをかじっている貧相な身分で雅を侮蔑したことは、到底許されることではない)


あぁはいはい・・・・・。


「ありがとう、翡翠」


(・・・雅の頼みだからな)


はぁ・・よかった。


(ちっ・・・ぜってぇ許さねぇ・・・!)


あぁ、やっぱりショートには無理だったかな?でも、一旦は静まってくれたみたいで安心した。





よし、ビビンバ丼食べよっと!


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