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7/7

7 氷の魔女

これにて、終了です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


童話って難しい!!

むかし、むかし。

北の山脈にある北の国には、恐ろしい氷の魔女が住んでいました。

氷の魔女は、寂しい北の国でいつも独りぼっちでした。


誰か、自分と一緒にいてくれないだろうか。


寂しさを紛らわすために、氷の魔女は外の世界を見てまわっていました。

そんなある日、とある湖で美しい子どもをみつけました。


一目で、美しい子どもが気に入った氷の魔女は、そのまま北の国へ攫ってしまいました。

そして、毎日毎日、美味しいものを用意したり楽しい遊びをしたりして過ごしました。


しかし、そんな日々も長くは続きません。

日に日に美しい子どもの元気はなくなってゆきました。

やはり故郷が恋しいのでしょう。窓を眺めては、溜息をつく日々。

そんな様子を見て、氷の魔女は、美しい子どもを帰してあげることにしました。


帰っても良いと言う魔女の言葉に喜ぶ子ども。

対照的に悲しげな氷の魔女。そんな魔女を可哀そうに思った美しい子どもは、ある約束をしました。


「あなたが、さびしいときは、またわたしをさらってください

 あなたのなみだは このきたのくにでは かなしすぎるから 」


そう言って、子どもは魔女にキスをしました。優しいキスでした。

その途端、恐ろしい氷の魔女は、ただの少女へと姿を変えました。

頬を染めて微笑む少女に、美しい子どもは驚き、大層喜びました。

少女は呪いをかけられていたのです。


そうして、二人は、北の国を出て、外の世界へと帰ってゆきました。

雪解けの近い、うららかな日差しの日のことでした。








「二人は幸せになれたのかしら? 」

城の窓から月を眺めながら、女王と子どもはおとぎ話をしていました。

真紅の魔女が考えたという話の名前は「氷の魔女」といいました。


「なれるとおもう。だって、のろいは とけたんだから 」

そう言って微笑む子どもは、女王にそっとキスをしました。

驚いたような表情の女王。数回の瞬きの後、嬉しそうに微笑みキスのお返しを子どもにしました。


「そうね。呪いが解けたんだから、幸せになったのよね 」

「そうだよ。 二人でいられれば、何もいらないんだから」


あの時、子どもの手を掴んだ女王は、もう迷いませんでした。

自分の本当に欲しいものを、大切に守り抜くと決めたのです。

そして、それは、子どもにとっても同じことでした。


「おれにとって、へいかが、いちばんたいせつ 」

「私にとっても、エドが一番大切 」

そうして、嬉しそうに微笑み合う二人は、これからも幸せに過ごしてゆくことでしょう。



北の国を守る氷の魔女。

その傍らに、美しい子どもがいる限り、彼女が国を抜け出すことはありません。

いつだって、子どもの傍にいるだけで女王の心は満たされて凍ることなどないのですから。



《 物語の外側 》



女王と竜の物語。

これは、まるで本当のおとぎ話。

赤い魔女は、この結末に安堵と疑問を抱いていました。


氷の魔女と炎の竜は、これから幸せにすごしてゆくことでしょう。

女王としての役割に縛られていた彼女を救ったのは紛れもない彼。そして、彼もまた彼女の存在を大切に思っているのでしょう。

竜は、仲間意識が強い生き物です。彼がどんな意味で彼女を大切にしているかはわかりませんが、それでも、彼女を裏切るようなことはないでしょう。


そして、今回のことで北の国は、ドラゴンという強固な守りを得ました。これは、ワールズとしても好ましいことです。

最高の守りを北の国に置くことは、絶対に必要だからです。


果たして、この結末は誰の思惑通りなのか。

それが、それだけがわからないために、魔女は溜息をつきました。


おとぎ話のような優しい世界。

何者からも守られ、絶対のハッピーエンドが待つ世界。

それは、まぎれもない幸せであり、正しさだ。

だけど、そんな理が「心」を殺すならば、正しさはなんて残酷なのだろう。

強固な鎖に管理された、雁字搦めの世界に疑問を抱いてしまうのは仕方ないこと。


「だから、あんたは、永遠の悪役になったのよね 」


国を捨てて、地位も名誉も捨てて、ただ世界を敵に回した。

そして、この世界の神さまの終わりを、神殺しを成そうとした。


「そして、わたしは、 」


燃えるような真っ赤な瞳を悩ましげに伏せて、エンドは静かに考えました。

この、おとぎ話のような結末の首謀者を。

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