死神の約束【5】
洗濯物を片し終わり、ルカスの元へ二人で戻るとルカスが少し怖い顔をしながらカラに言った。
「カラ、君に神界から言伝を預かったよぉ。八百万協会の第九神オシリス様から、今夜の九柱会議に参加するようにとのことだぁ。その時に僕とお嬢さんも一緒に参加することになってるそうだよぉ?」
カラは顔色を変えてルカスに聞く。
「何故、小春まで行かないといけない? 俺が呼ばれんだったらわかるさ。だって天使の噛み跡をつけられたものは今まで即死だったもんな。それにお前も俺を治してここまで元気にさせたんだ。だが、小春は? 何故呼ばれるんだ?」
カラがルカスに詰め寄るとルカスは呆れ顔で答えた。
「そんなこと僕に聞かないでおくれぇ。僕だってわからないから笑えないんだぁ」
二人は俯いて黙り込んでしまった。小春は戸惑いながら聞いた。
「ねぇ、何の話してるの?」
ルカスは「あぁ、そうだったねぇ」と説明を始めた。
「まずは、【神界】から説明しようかねぇ。まぁ文字通り、神の世界だよぉ。ちなみに、この世界は生界と呼ばれていて生きている者の巣食う世界だよぉ。死神も一応、神の部類に入っているからねぇ。仕事がない間は大体神界にいるよぉ。まぁ、例外もいるけどね。僕もそうだし…………クックック」
そう笑いながらルカスはチラリとカラを見る。カラは目を逸らして「うっせぇ……」と呟いた。
ルカスは苦笑しながら話を戻す。
「クックッ次は【八百万協会】についてかなぁ。八百万協会は八百万の神、全ての神って訳ではないけど殆どの神が属する協会のことだよぉ。僕たちだってこの協会に属する者だからねぇ。協会からの命令は断れないんだぁ。後、死者は死ぬと生界から神界に行き、八百万協会でオシリス様に魂の判別をしてもらうんだぁ。その後に創造神にあって次の体を貰うんだけど、そこまで行くのに死んでからすぐ行ける者もいれば数百年待たされることもあるよぉ。その間魂は死界で暮らすことになっているんだぁ。生まれ変わる時に何になるかは創造神が決めるけどその時にオシリス様の判別を元にされるんだぁ。判別基準は魂の綺麗さだよぉ。魂は生きていた頃の行いが反映されるから行いが良いと綺麗な魂になるんだぁ」
"あの魂は綺麗だったから、だからきっと次もあんたらみたいな優しい家族のもとで暮らせるだろう"
「あっ! だから、夢ちゃんが亡くなっちゃった時にカラ、夢ちゃんのお母さんにああ言ってたのか。やっと理解できたわ」
小春はカラが夢ちゃんの両親に言ったことを思い出しながら言う。
ルカスはカラの方をニヤニヤと見つめながら「優しいねぇ」と揶揄う。
カラはムスッとしたまま話さない。ルカスはそれを見てまだニヤニヤしながら話を戻した。
「さぁて、さてさて…………次はぁ……【九柱会議】についてかなぁ。まず、九柱とは、神様の中でもトップ・オブ・トップの偉い神様たちのことなんだぁ。さっきから言ってるオシリス神もこの九柱に入ってるんだよぉ。お次に九柱会議とは、そのトップ・オブ・トップの神様九人の会議だよぉ。生界や死界、他の世界に関わる重要なことを話し合っているらしいけどぉ、極秘会議だからいつ行われているのかも、何を話しているのかも僕らには分からないんだぁ。詳しいことを知っているのは九柱かそこに1番近いものたち…………まぁ、九柱の血縁者とかかなぁ?」
そこまで話すとルカスは小春に「ここまででわからなかったところはあるかい?」と聞くと小春は首を横に振る。
「ルカスの説明わかりやすかったよ?」
小春がそう言うとルカスは「それは良かったぁ」と微笑んでから深呼吸をしてフッと表情を暗くした。
「それで……ここからが本題だよぉ。カラと僕とお嬢さんにその九柱会議に出席命令が下された。九柱会議に死神が呼ばれるのは9540年ぶりだよぉ。それに、九柱会議に……と言うか神界に生者が訪れるのは初だよぉ。何か…………嫌な感じがするのは……僕だけじゃないみたいだぁ」
ルカスはカラを見る。カラはルカスに問う。
「どうするんだ? 協会の命だから無視はできない。だが……のこのこと出席しようなんて気にはなれない」
ルカスは頷く。
「それには僕も同感だよぉ。ま、上が決めた事だから結局行かないと行けないんだけどねぇ。まぁ、何かあったら即帰れるように帰還用の簡易陣を用意しとこうかねぇ。武器とかはあんまり持たせるもんじゃないしさぁ……そうなると簡易陣くらいが限界になるんだよぉ。だから仕方が無いねぇ」
ルカスが言うとカラも「そうだな」と頷いた。
外はもう日が暮れてきた。時計の針が6時を指す。
小春はルカスとカラの間に入り、手を繋いだ。
ルカスがカラに合図する。二人は詠唱を始める。
「「हमारी आत्माओं को दिव्य दुनिया में ले जाएं」」
すると三人の足元が暗く光り、大量の烏と黒い霧が出てきた。
小春の目の前は真っ暗になる。遠くからカラの声が聞こえた。
「手ぇ! 絶対に離すんじゃねえぞ!!」
カラもルカスも小春の手をギュッと握る。小春も手を絶対に解けないように強く握り返す。
一瞬とも、とても長い間とも感じる間が過ぎると目の前はとても静かで心地よい森林だった。
だが、周りの木を見ると木の上には沢山の道や家があり、とても物語に出てくるような神秘的な街並みだった。
小春は呟いた。
「ここが神界……?」
すると横からルカスとカラが笑いかけた。
「「ようこそ! 俺(僕)たちの世界へ!」」
三人が歩いているとルカスが口を開いた。
「ひゃあ〜。もう、ドキドキしたよぉ。こっちの世界に何かを連れてくることなんてないからさぁ、手を離したら世界の狭間に落ちていくなんて考えただけでゾッとしたよぉ。お嬢さん……僕、手汗大丈夫だったぁ?」
ルカスが小春の顔を覗くと小春はクスクスと笑いながら答えた。
「大丈夫だったよ? それよりカラの手汗の方がすごかった気がするなぁ?」
小春がカラにふふっと微笑みかけるとカラは顔を赤くしながら小春の頭をこついた後、ルカスのすねを思い切り蹴った。
ルカスは驚きのあまり避け損ね、蹴られたすねをおさえながら地面にのたうち回る。
「いったいなぁ‼︎ 思い切り蹴る必要はないだろう?! 酷いなぁ〜!」
そう言いながら立ち上がると先に歩みを進めていたカラに後ろから歩み寄り膝裏を思い切り蹴飛ばす。
カラは反撃は予想していたものの膝裏を狙われるとは思わなかったのか防御をしておらず崩れ落ちる。
膝裏をおさえてカラはルカスに言う。
「こんなとこ守り用がないだろが! 卑怯だ‼︎」
ルカスにそう叫ぶとルカスはフンと鼻を鳴らした。
「スキだらけな君の膝裏が悪いだろう??‼︎」
そんな事を言い合いながらじゃれ合う二人を見ていると小春は面白くなって爆笑してしまった。
「そうしていれば、普通の男子高校生にしか見えないのに‼︎ あははっ」
二人はギョッとしたように小春の笑い顔を見つめてから一緒に笑い出した。
会議が行われるのは神界の中心にある大樹のてっぺんに立つ大きな球体の中だった。
大樹の根元に着くとそこには真っ白なアーチ型の門があった。
ルカスとカラはその門の前に立ち懐からナイフを取り出すと自らの指先を切る。
小春がそれを見ているとカラが小春に言った。
「この門を通るには九柱の許可が必要となる。その為には門に血を一滴与えて本人だと証明する。その為に…………その……えーと……」
カラが口籠ると小春はフッと微笑んでカラの手からナイフを取る。そして自分の指先を切る。
カラは申し訳なさそうな顔をした。
「何て顔してんの? 別にこんくらいの傷なんともないよ。紙で指切った時とかの方が痛いくらいだよ?」
小春がニッと笑ってみせるとカラは「すまん……」と謝りながら絆創膏を渡した。
ルカスはそれを見て笑っていた。
門に血を与えるとさっきまでただのアーチだったのが潜るところに何色とも言えない膜が張られた。
小春が少し驚いているとカラが何も言わずに手を差し伸べる。
小春はカラの少し湿った暖かい手を取りゆっくりとゲートを通った。
ちーっす!烏蛙です。今回、全然長くなりませんでしたね!内容は重たいかもですがせっかく僕の推しキャラが長台詞吐いているんだから飛ばすなんてことないと思います!(圧)ここでまたまた新情報!簡易陣とは簡易的な陣のことで、今回は使いきりでワープすることができる物!みたいなイメージですね。本編に入れたかったのですが上手く入らなかったのでここでプチ情報として入れました!それでは皆さんさよーならぁん!




