なんか、僕もなかなかやるみたい。
ネタが思いつかなかったので超適当回です。
「今年の拷問士代表は・・・・・・リョナ子っ!」
誰かがそう言った。
「・・・・・・え?」
まさか自分が選ばれるとは思ってもいなかったから面をくらってしまった。
「え、ちょっと・・・・・・待ってくださいよ」
僕が口を開くと同時くらい。
他の人達から溜息が零れた。
「あ~あ、終わったな」
「今年はもう絶望的ね」
「はい、解散、解散」
そう言ったのは、天城さんとそちらサイドの拷問士達だった。
そもそも、僕が何に選ばれたかというと。
執行庁主催、毎年開かれるスポーツ大会の代表者。
各部署から一人選出、部署の威信をかけて毎年熱戦が繰り広げられるのだ。
ちなみに、優勝した部署は、一年間食堂無料、全員分の旅行券、特別休暇、その他諸々の特典が与えられるのだ。
「くじ引きとはいえ、よりによってリョナ子になるとは・・・・・・」
「だから、最初からリョナ子は抜こうっていったんだ」
天城さん達がここぞをばかりに文句を言ってくる。
でも、全くもって反論はない。
僕は拷問の腕は特級だけど、運動神経は全拷問士の中でも最低ランクだろう。
「天城さんの仰る通りです、なので、もう一回クジを・・・・・・」
僕としても最初から勝ち目がない戦いはしたくないので、辞退しようと思ったんだけど。
「いやいや待つっす。天城さん、ちょっとリョナッちを舐めすぎじゃないっすかね?」
ここで、殺菜ちゃんが口を挟んだ。
「あ? なんだ、どういう意味だ」
天城さんは、自分に意見を述べた殺菜ちゃんに少し苛立ちを見せた。
「意味もなにもないっす。リョナッちはやるときはやる人っす。きっと結果を出してくれるはずっす」
いやいやいやいや。
「私もそう思いますっ! リョナ子さんはなんでも完璧にこなしますっ! だからこれもいけますっ!」
おいおいおいおい、ましろちゃん。
「そうね、リョナ子は私ほどではないけど、それなりに優秀よね。ま、他の部署の奴らに負けることはないでしょ」
こらこらこら、ドク枝さん。
「うちも姉さんに賛成どす、リョナ子はんは、うちの姉さんと肩を並べる最強拷問士、それだけで出る意味があるんじゃあらへんどすか?」
ちょいちょい、柘榴ちゃんまで。
「うむ、リョナ子なら確実に勝てるっ」
蟲盛さんっ。
もうやめてっ!
「ほう? そこまで言うならあれだ。もし、リョナ子が優勝しなかったら、お前ら鼻でスパゲッティ食べてもらうからなっ!」
天城さんサイドが吠える。
「いいっすよ~、じゃあ、もしリョナッちが優勝したら、そっちには目でピーナッツをかんで貰うっすっ!」
殺菜ちゃんも応戦。
「いや、ちょっと・・・・・・いくらなんでも、優勝、とかは、無理、なんじゃ、ない、かなぁ」
僕も小さな声で提案したんだけど。
「よっし、これは絶対負けられない戦いっすっ! みんな当日はリョナッちを全力で応戦するっすよっ!」
「「「おーっ!」」」
もう後には引けない雰囲気になっていた。
大会まで2週間ほど。
こうなりゃ、駄目元で頑張るしかない。
◇◇◇
そして、大会の日はやってきた。
貸し切った競技場。
各部署の代表がトラックの中央に並ぶ。
「さぁー、今年もやってまいりましたっ! 執行庁部署対抗競技大会っ! 果たして今年はどの部署が栄冠に輝くのかーっ!」
代表者は16人。
ここで、7種目を戦って、ポイントのトータルが高い者が優勝する。
「まずは100メートルハードルだぁぁっ!」
観客席は職員やら関係者やらで結構埋まってる。
これはトラックの関係で二つのグループに分けてタイムを競う。
最初の組がスタート。一位は17秒だった。
次は僕の組。
「位置について・・・・・・」
やることはやってきた。
さぁ、どうなる。
「よーい、ドンっ!」
凄まじいスタートダッシュ。
一瞬で他の代表者から抜け出す。
飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ、飛び越える。
横には誰もいない、見えない。
圧倒的な差をつけて。
「ゴーーールっ! 一着は、特殊部署所属、リョナ子選手ぅぅぅっ! タイムは13秒ジャストっ、これは速い、速すぎるぅぅぅぅううっ!」
わき起こる歓声。
腕を大きく上げてそれに応える。
「次は走り高跳びだぁああああああああああああっ!」
ふむ、走ってバーを飛び越えるやつだ。
さぁ、これはどうかな。
「おっーーーと、リョナ子選手、2メートルを超えてきたぁぁあああっ!!!」
わき起こる歓声。
ふふふ、ちょっと跳びすぎたかもね。
まるで重力から解放されたかのよう。
「次の種目は砲丸投げーーーーっ!」
砲丸を投げるやつだね。
さて、やっちゃいますか。
「20メートルを超えたぁあああああああああああああああっ!」
わき起こる歓声。
ふっ、軽い軽い。
ソフトボールかと思ったよ。
「200メートル走だぁああああっ!」
200メートル走るやつだね。
ま、最初からトップスピードかな。
「独走だぁあああああああ、記録は21秒ジャストぉぉぉぉおおおおおおおおおお」
会場を渦巻くような大歓声。
明日からサイレンスリョナ子と呼ぶがいいよ。
「続きまして走り幅跳びだぁあああ」
走って砂のとこに跳ぶやつだね。
どれ、ちょっと跳び蹴りをかましますか。
「リョナ子選手、七メートルを超えたぁああああああああああ」
おっと、うっかり 跳び過ぎちゃったようだね。
「やり投げだぁああああああああああ」
槍を投げるやつだね。
「60メートルを軽々越えたぁああああああああああ」
やれやれ、こりゃランサーとして召還されちゃうかな。
「いよいよ最後の競技の800メートル走っ! ここまでリョナ子選手は大会レコードの全てを塗り替えております。というか国際大会レベルの記録を連発しておりますっ!」
もうこの時点で優勝は決まってるんだけど。
最後もびしっと決めちゃいますか。
「ん、ちょっと待って下さい。ここで運営サイドからなにやら連絡が入りました」
お、どうした。なにやら関係者席あたりがざわついてるぞ。
「えっと、ここまで素晴らしい記録をたたき出してきたリョナ子選手ですが、なにやら物言いが入った模様です」
あ、やばい。
「特殊部署ということで、リョナ子選手には猫の仮面の着用が許可されておりましたが、、ここにきていくなんでもおかしいと替え玉の疑惑が出てまいりましたっ!」
あ、まじでやばい。
「今確認のため、スタッフがリョナ子選手に駆け寄りますっ!」
これは本格的にやばい。
「あっ! リョナ子選手逃げましたっ!」
逃げるリョナ子、追うスタッフ達。
「あぁ、リョナ子選手、前から来たスタッフを投げ飛ばしてますっ! これはいけないっ!」
スタッフ達がやられた事で、さらに屈強なガードマンがわらわら出てきた。
「おっーと体格のいい警備員達がリョナ子選手を囲んだぁっ! これは捕まるのも時間の問題かぁああああああああ、あ、いや、これも投げとばすぅぅぅぅぅ」
あのリョナ子つええええええええ。
「リョナ子選手、振り切って会場から消えましたっ! 一体どういう事だぁああああ」
よし、逃げ切った。こうなったら。
僕は、会場の入り口へと向かった。
「円っ! こっちだよっ!」
「ちゃんリョナさんっ!」
逃げてきた偽リョナ子(円)と合流する。
「もう充分だ、ここからスイッチしようっ!」
「わかったの、だっ!」
仮面を受け取って入れ替わる。こんな事もあろうかと競技用の服は着込んでいたのだ。
こうして、何食わぬ顔で僕は会場へと戻った。
「怖い顔して迫ってきたらそりゃ逃げるでしょっ! 投げるでしょっ!」
と、逆ギレしてその場を収める。
「あ、なんだかんだでリョナ子選手戻ってきました。確認したところちゃんと本人だった模様ですっ!」
なんとか誤魔化せたぞ。
後は800メートルだけだし、ポイント的に次がビリでも優勝は揺るぎない。
「さぁ気を取り直して最後の種目800メートルですっ! これは最後ということでポイントが100倍になりますっ!」
「なんでだよっ!!」
おかしいでしょ、今まで取ったポイント無駄じゃないか。
てことはこれがビリだと・・・・・・。
「優勝は人事部だあぁああああああああああああああっ!」
人事部だぁぁああ。
人事部だぁぁああ。
◇◇◇
うん、円を替え玉にした場合のシミュレーションをしてみたけど、やっぱり無理そうだね。
そもそも不正はよくない。
ズルして勝つ事になんの意味があるのだろうか。
「よしっ! 当日は腹痛になろうっ!」
こうして、僕の部署対抗競技大会は始まる前に終わりを告げたのであった。
いやー、これはひどい。




