5年前はバンドが組みたかった。
これは5年前の出来事―
中学3年生。金田小鳥、15歳。女の子。
吹奏楽部でコントラバスを担当している。
そんな私は、今とてもバンドが組みたい!!
アンプに繋いでジャカジャカ掻き鳴らすギター。そしてそれを支えるベース!!土台となるのはドラム!全てかっこいい、それがバンド!!それぞれの楽器が己の役割を全うし完全となる音楽。すごく憧れる。
まぁ、テレビに出たりとか?そりゃあしてみたいけど、私の今の実力では流石に叶わなそうなのは分かりきっていることだし。まだ趣味だし。
そんなことは置いておいて、私は今、気になる人がいる。
恋愛?のんのん。ただの好奇心、興味だ。
理科の先生の吉田鷹也という人物だ。一年生の頃から担任の先生や周りの人たち情報で吉田先生がかつてバンドを組んでいたことがわかった。まだ噂かもだけど。しかもオリジナル曲を作っただとか。尊敬!!!
こんな人生の大先輩&バンドの大先輩。話せる絶好のチャンスを逃すわけにはいかない!、、、とは思っているのだが未だになかなか勇気が出ず、話しかけることができていない。そりゃあ担任の先生でもないし仕方がないと思う。これは言い訳だ。
今日こそは今日こそは!ってずーっと思っている。これは本当だ。だから、これを最後にしよう。今日こそは話しかけるぞ。“バンドが組みたいです”って!
3時間目の理科の授業が始まる5分前くらい。先生が教室に入ってきた。
よし。話しかけるぞ。私は席を立つ。そして、教卓の方に向かう。緊張しすぎて体がカチコチ。今までの人生で身近に音楽している人がいなかったからすごく緊張する。一歩ずつ転ばないように進んでいく。
「こんにちは。」
まずは会話の基本。挨拶だ。
「こんにちは。」
不思議そうな顔をして私を見つつも返事をしてくれる。先生はとても目つきが悪いので怖い。勇気を出せ私!!!
「あの、バンド組みませんか?」
「バンド?」
先生は驚く。それと同時に生活委員が呼びかける。
「2分前だぞ〜!!座れ〜!!」
3秒くらい沈黙が流れた後私は走って先に着く。グッバイ私の勇気!グッバイ私の残りの中学校生活。
そして、そのままいつも通り授業は始まった。
放課後、部活が始まった。私は、同じパートの人がいないので個人練の時は1人で教室を使っている。
サマーコンサートが近いので、ベースを出す。そして、大きなため息をついた。“どうしたの?”と言わんばかりの表情で私を見つめてくるベース。
「今日もダメダメだったよ、、、」
とほほ〜と小さな声で呟く。ベースもちょっと悲しそう。
しばらく経ち、誰かに挨拶をされた。
「こんにちは〜」
扉の方に振り返るとまさかの吉田先生がいた。




