↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/198

72.それぞれのやる事


「それじゃあ、れいちゃんまたね♡」


今日はマーリンが春魏国《しゅうぎこく》へ帰る日。

わたし達は玄関でマーリンを見送っているところだ。


「マーリン!本当に長い間ありがとう!!また遊びに行くわね!」


わたしはマーリンにぎゅっと抱き着いた。

マーリンも優しく抱きしめてくれる。

本当に今回はマーリンに助けられっぱなしだった。

彼女がないなかったら大変なことになっていただろう。


「いつでも遊びにきてちょうだい♡またリョクチャ事業の資料送るわね~」


「マーリンさん!気を付けて帰ってくださいね!!」


「ありがとう~♡りょうたん♡また写真が出来上がったら送るわね~」


「え…。僕は別に…」


黒綾《こくりょう》殿とマーリンも仲良しになっていた。

それにしても…。写真楽しみだわ!!


一通り別れ惜しんだ後で、颯爽とマーリンが帰って行った。

これからが大変だった。わたしがいない間にたまった仕事をしつつ

リョクチャ事業も進めていかないといけない。

やる事たくさんだわ!!


今日は黒綾《こくりょう》殿と書類の整理をして

その後リョクチャ事業の打ち合わせをする予定だった。

雷覇《らいは》は一日中会議で、抜けれるタイミングはお昼ご飯の時くらいだった。


「さぁ!さっさと書類の整理しちゃいましょ!」


「はい!怜彬《れいりん》殿」


今日もニコニコしながら笑っている黒綾《こくりょう》殿。

彼にも今回の事件ではすごく助けてもらった。

良く気が付いてわたしのフォローをしてくれている。


「書式を統一してから、スムーズに仕事が進みますね!振り分けが楽です」


「そうね。見るところが決まっていると楽よね~」


「あっ。怜彬《れいりん》殿ここの計算なんですが、ちょっとおかしいと思うんです」


「えっ?本当?」


黒綾《こくりょう》殿は本当に頭がいい!

こういった些細なミスもすぐに気が付いてくれる。

一度教えたらあとは自分でどんどん仕事もこなしてくれるから

本当に助かっている。


「あっ。ほんとうだわ。これは再提出ね!」


「はい!わかりました」


「ムツリにちょっとお願いがあるんだけど…」


「何でしょうか?怜彬《れいりん》様」


資料に目を通しながらわたしはムツリを呼び出した。


「わたしね、もうちょっとしたら一度、秋唐国《しゅうとうこく》へ戻ろうと思うの」


「さようでございますか…。また忙しくなりますね」


「だから、後継者ってわけじゃないけど、仕事の引継ぎをお願いできる人を何人か探して欲しくて」


「なるほど!怜彬《れいりん》様から教えて頂けるなら、仕事の効率も良くなりますね!」


「そうでしょ?あとこれが引継ぎにかかる時間とスケジュールよ」


そう言ってわたしはムツリに資料を手渡した。

わたしがいなくなった後、誰でも仕事ができるようにしておいた方がいいだろう。

あとは黒綾《こくりょう》殿がいれば大抵の事はこなせるはずだ。


「素晴らしい…。さすがは怜彬《れいりん》様です。人の手配はお任せください。さっそく今日中に集めます」


「よろしくね!ムツリ!」


「怜彬《れいりん》殿…。僕も一緒に秋唐国《しゅうとうこく》へ行ってはいけないでしょうか?」


「え…?黒綾《こくりょう》殿も?」


遠慮がちに黒綾《こくりょう》殿が尋ねてきた。


「はい!秋唐国《しゅうとうこく》へ行ったことないですし、見分を広めるためにも行ってみたくて…」


「なるほどね~。わたしはいいと思うけど…。夏陽国《かようこく》的にはどうなのかしら?ムツリどう思う?」


「そうですね…。研修の為という事であれば問題ないと存じます」


「そっか!じゃあ、雷覇《らいは》殿に報告して一緒に行きましょう!」


「はい!ありがとうございます!」


宝石が散りばめらたくらいの眩しい笑顔で黒綾《こくりょう》殿が返事した。

きゃーん!!すごくかわいいわ!!

それに…。夢の怜秋《れいしゅう》と黒綾《こくりょう》殿の

ダブル弟!!が実現するのね!!ヤバい!マーリンに行って撮影隊に来てもらおうかしら…。


「じゃあ、黒綾《こくりょう》殿の仕事も引継ぎできるようにしないとね!」


「そうですね!僕のやっていることを一覧にして、スケジュール組みますね!」


黒綾《こくりょう》殿と相談した結果、2週間後に秋唐国《しゅうとうこく》へ行く事になった。

2か月ぶりの帰国だ。とっても楽しみだった。

怜秋《れいしゅう》の顔も久しぶりに見れる。手紙では元気そうにしていたけど

やっぱり直接あって話がしたい…。

それにリョクチャ事業の準備も秋唐国《しゅうとうこく》で進めたかった。


そうこうしているうちに、あっという間にお昼になった。

今は中庭で雷覇《らいは》と昼食を食べている。

最近の習慣だった。今日は忙しかったから手作りのご飯じゃないけど

雷覇《らいは》と一緒に食べれるのは嬉しい。


「雷覇《らいは》殿。2週間後に秋唐国《しゅうとうこく》へ行こうと思うんです」


「…。そうか。しばらく帰ってないものな。ゆっくりしてくるといい」


「本当に?帰っていいの?」


わたしはびっくりして、聞き返してしまった。

絶対に反対されると思っていたのに…。


「ああ。問題ない。俺もちょうどその頃にやらないといけない事ができたからな…」


「そうなんだ…。ありがとう!雷覇《らいは》殿」


うん。うん。かなりの進歩だわ!!

雷覇《らいは》も大人になってきたのね~。


「あっ。あとね黒綾《こくりょう》殿も一緒に秋唐国《しゅうとうこく》へ行く事にしたの!」


「えっ…?!黒綾《こくりょう》殿も?」


すっごい驚いた顔で雷覇《らいは》に見つめられた。

そんなに驚くことかしら…。


「見聞を広めたいんですって。秋唐国《しゅうとうこく》には行った事ないみたいなの…だめ?」


「う…。だめ…ではないが…」


雷覇《らいは》の歯切れが悪い。

奥歯に何か詰まっているのかしら?


「わたしも怜秋《れいしゅう》に会わせたいと思っていたし、あと、リョクチャ事業の事も向こうで進めるつもりだったから、黒綾《こくりょう》殿が来てくれればちょうどいいかなって!」


「そうか…。わかった。どれくらい滞在するつもりなんだ?」


「うーん。そうね…。2週間くらいは必要だと思うわ!」


「そっ…そんなにか…」


どんどん、空気が重くなる雷覇《らいは》。

やっぱり、わたしが2週間もいなくなるのは嫌なのかしら?

表情も浮かない顔をしている。


「向こうでリョクチャの試飲会をしたいと思っているの。その準備とかあるから最低でもそれくらいは必要だわ」


「…。わかった」


「雷覇《らいは》殿…。ありがとう!とっても嬉しい!今の仕事はちゃんと引き継いでいくね!」


「ああ…。いいんだ。リョクチャ事業頑張ってな。怜彬《れいりん》」


「うん!頑張る!雷覇《らいは》殿にも毎日、手紙書くわね!」


「ああ。ありがとう!俺も毎日書くよ…怜彬《れいりん》」


すごーい!!こんなにスムーズに許可が出るとは思ってもみなかった。

雷覇《らいは》の事だから、なんだかんだ理由をつけてついてくるって

言うかと思っていたのに…。

やっぱり、あの事件がいい方向に向いているのね…。


「それで…。怜彬《れいりん》。俺も言わないといけないことがある」


「…?うん。なあに?」


すごく神妙な顔つきになって雷覇《らいは》が話す。

なんだろ…。ちょっと怖い…。わたしはゴクリと生唾を飲んだ。


「実はな…。見合いをすることになったんだ…」


「えっ?お見合い?雷覇《らいは》殿が?」


思っても見ない報告だった。

だからさっきから、歯切れが悪かったのね…。

後ろめたいって思っているのかしら?


「そうなんだ!誰とお見合いするの?」


「誰と…というかだな…」


「雷覇《らいは》殿…。どうしたの?大丈夫?」


「数十人、貴族の令嬢を集めてやるらしんだ…。俺の花嫁候補を見つけると言って…」


「そうなんだ!!わたしが前にやったみたいなやつね~」


わたしが炎覇《えんは》と出会ったきっかけも、お相手探しという名目で開催された夜会だった。

おそらく雷覇《らいは》もそれと同じような事をするのだろう…。

独身でいるって、そういった話が多いのよね~。


「すまない…。怜彬《れいりん》。俺はかなり反対したんだが、婚約期間が延長になって、不安になった年嵩連中が言い出してな…」


「あー…。なるほどね~。うん!いんじゃない?」


「えっ!!いいのか?」


さっきよりもびっくりした顔をする雷覇《らいは》。

だって…。そういった類のものって、あるあるじゃない?

それに雷覇《らいは》なら、浮気の心配もないだろうし。


「期間延長してもらっているし、お見合いくらいなら別にいいんじゃない?一度開催すれば、言い出した人達も納得するだろうし」


「それは…。そうなんだが。怜彬《れいりん》は何とも思わないのか?」


「とくには…。えっ?ここって何か思うところなの?」


「いや…。怜彬《れいりん》が嫌じゃないならいいんだ。ありがとう…」


釈然としない様子の雷覇《らいは》。

酷く落ち込んだ様子でご飯を食べだした。

わたしなんか変なこと言ったかしら?


「雷覇《らいは》殿…。なにか気になる事でもあるの?」


「気になるというか…。気にして欲しかったというか…」


もごもごしながら雷覇《らいは》が言う。

こんなに歯切れが悪いのも珍しい。


「わたし雷覇《らいは》殿のことを信頼しているもの。お見合いをしても、他の人と結婚したりしないでしょう?」


「もちろんだ!!怜彬《れいりん》以外は考えられない!」


「ふふふ。だったら、何も気にすることなんてないわ!ちゃんと話してくれてありがとう」


「怜彬《れいりん》…。そんなに俺を信頼してくれているんだな…」


目をウルウルさせながら雷覇《らいは》が手を握ってきた。

信頼というか…。浮気する雷覇《らいは》を想像できないというか…。

誰が言い寄ってきてもわたしの話を熱く語って、相手を怒らせそうだし…。

まぁ。それは言わないでおこう!


「ええ。とっても信頼しているわ!むしろごめんね。わたしが延長してって言ったから…」


わたしも雷覇《らいは》の手を握り返す。


「いいんだ!仕事だと思ってやってくるよ」


「ありがとう…。雷覇《らいは》殿も頑張ってね」


そう言って再び料理を食べだした。

もう雷覇《らいは》の機嫌はなおっていた。単純よね~。雷覇《らいは》って。



もしかして…。雷覇《らいは》は焼きもちをやいて欲しかったのかしら…。

食べている時にふとそんな事を思った。

だから、わたしが気にしないって言ったら、しょんぼりしたのね。

ふふふ。かわいいわね。雷覇《らいは》。

今日はとてもいい子でかわいいから、後で膝枕してあげよう!!


わたしは食べ終わった後、雷覇《らいは》に膝枕をしてあげた。

雷覇《らいは》はものすごく喜んでいた。



わたしはまだ、この時知らなかった。

雷覇《らいは》のお見合いがまさかあんな事になるなんて…。




最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

ちょっとでもいいなと思ったら、

広告の下の☆☆にぽちりしていただけると嬉しいです(#^.^#)

感想・ご意見お待ちしております!(^^)!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。