↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

79/198

71.やっぱり健在でした・・・


雷覇《らいは》と和解した次の日、再度マダムベリーに来てもらい

陶器商人を紹介してもらう事になった。

今日は陶器商人も一緒に来てくれている。

わたし、雷覇《らいは》、マーリン、黒綾《こくりょう》殿の4人と

マダムベリーと陶器商人の6人で初めての顔合わせの日だった。

わたしと雷覇《らいは》がドタバタした為スケジュールが大幅に遅れてしまっている。

急ピッチで打ち合わせして、話を進めた。


マダムベリーから紹介された陶器商人は、背が少し低くて細身で白髪のお爺さんだった。

なんか和む…。ふさふさの白い髭を生やしていて小人みたいで

とってもかわいらしいお爺さんだった。


「はじめまして。秋唐国《しゅうとうこく》第一王女の怜彬《れいりん》と申します。今日はお越しいただきありがとうございます」


わたしは丁寧にお辞儀をして挨拶をした。


「お初にお目にかかります。陶器の商いをしております。ザガクと申します」


物腰の低い感じの言い方だわ…。

わたしにおじいちゃんがいたらこんな感じかしら。

ザガクは夏陽国《かようこく》でも有名な陶器商人で

マダムベリーとは20年らいの付き合いだそうだ。


「怜彬《れいりん》様は、なんでもリョクチャを秋唐国《しゅうとうこく》で販売されたいとか?」


「そうなんです!秋唐国《しゅうとうこく》ではリョクチャは知られていないので」


「ほぉ…。素晴らしいですな。さっそく私どもの商品を見ていただきましょう」


ザガクの持ってきた陶器のユノミはどれも綺麗な柄のはいったもので

かわいらしいものが多かった。

大きさの違いで飲むリョクチャの違いや、贈り物で使うものなど

様々な種類を見せてもらった。

ザガクは本当に経験豊富でたくさんの事を知っていた。


ユノミ以外にも、お茶を入れる容器も見せてもらい説明を受ける。

一つ一つ丁寧に教えてくれた。おじいちゃんと会話するのってこんな感じかな…。

ふふふ。もしおじいちゃんがいたらきっと毎日お茶をしていたでしょうね。

わたしには祖父も祖母もいない。皆なにかしらの理由で亡くなってしまっている。

年配者と話すことがあまりないので、最初は緊張したがザガクは大らかで

柔らかい雰囲気のためすぐに打ち解けることが出来た。


「このユノミはどうしてこんな形なの?」


「持ち手を少しへこませることで、より香りを楽しめるようにできております…」


「この色はとっても綺麗ね!どんな方法で染めているの?」


「うわぐすりと呼ばれる薬をやきものの表面にかけましてな、この薬をかけることによって、やきものに色を付けたり光沢や味わいを出します…」


「へぇ…。うわぐすりというのね!」


「はい。さらにコーティングすることで水の吸水性を防いだり、割れにくくしたり汚れを付きにくくするといった実用性を兼ね備えております」


ザガクが饒舌に説明しだす。

本当に陶器が好きな人なんだわ…。とっても素敵。


それから様々な説明を受けながらわたしは、マーリンと黒綾《こくりょう》殿とも

相談しながら何点か気に入ったものを選らんだ。

選んだ陶器は秋唐国《しゅうとうこく》へ送ってもらう事になった。

その後も、定期的に販売できるようマダムベリーが取り計らってくれた。

本当にありがたい!!


「ザガク!本当に素敵な品をありがとう!」


「こちらこそ、良い取引ができたことを感謝いたします」


礼儀正しくお辞儀され、ザガクからキリ箱を手渡された。


「これは?」


「私からのプレゼントです。ぜひお使いください」


穏やかな笑顔でザガクが微笑む。


「うわー!!とっても素敵!」


蓋をあけると、ほんのり黄色の小ぶりのユノミだった。

ふたつペアで並んで入っていた。


「大切に使うわ!ありがとう!」


「ふむ…。国王様と末永く仲睦まじい姿を見れるように縁起の良いものを選ばせて頂きました」


「そうなのね~。どんな縁起物なの?」


「子宝に恵まれると言われている、うわぐすりを使用しております」


ぐっふう!!まさかの子宝!!

ニコニコしながら、かなりの攻撃をしてくるわね…。ザガク。

まだ結婚もしてないのに…。

わたしは、辛うじて笑顔を保ちながら、お礼を言った。


「なかなか、気が利くな!ザガク!!」


「お褒めに預り、恐悦至極に存じます…」


とってもご満悦な様子の雷覇《らいは》。

さっきまで大人しく隣に座っていたのに急に生き生きしだしたわ!!


「香水をいれるのに良い器はないか?ザガク」


「ほお…。香水ですとな。雷覇《らいは》様がお使いになるので?」


「いや、怜彬《れいりん》が香水をつけることになっててな。出来上がったものを入れたいのだ」


あ~!!なんかそんな事言ってた!!

調香師に頼んでオリジナルの香水を作ろうってなったんだ!!


「それでしたら、陶器よりガラスのほうが良いと存じます。また後日お持ち致しましょう…」


ゆったり髭を撫でながら、ザガクが話す。

また、おじいちゃんに会えるのね!!嬉しいわ!


「出来たら持ち運びができるものにしていただけませんか?」


わたしは、ザガクにお願いした。

やっぱり、あちこち行く事が多いからコンパクトなものがいいわ!


「畏まりました。怜彬《れいりん》様」


「よろしくお願いね!」


香水を入れる容器は1週間後に持ってきてくれるそうだ。

とっても楽しみ!!

ザガクが帰ってから、わたしと雷覇《らいは》は中庭で散歩することになった。

雷覇《らいは》はまだ車椅子だからわたしが後ろから押して歩いた。



「雷覇《らいは》殿!香水の事覚えててくれたのね!」


「ああ。本当はもっと早く渡したかったんだがな。色々あって今になってしまった」


「とっても楽しみだわ!ザガクが持ってきてくれるならきっと、素敵なものでしょうね!」


「そうだな。目利きは素晴らしい人だな」


そう言いながらわたし達はゆっくり、庭を歩いて回った。


「怜彬《れいりん》。あの花は何という花だ?」


「あ…。あの花はサザンカという花よ…。ふふふ」


わたしは思わず笑ってしまった。

気になったのか雷覇《らいは》が振り返って尋ねてきた。


「なにか変なこと言ったか?」


「ううん。違うの。やっぱり親子だなって思って…。その花を見た時も炎覇《えんは》が同じように名前を聞いてきたわ…」


わたしは立ち止まって、サザンカを一輪手に取った。

とっても綺麗に赤い花びらを咲かせていた。


「そうなのか。親父が…」


「わたしが持っている簪も、このサザンカに似てるから買ってくれたの…」


「そうだったんだな…。親父がそんな事をするなんてな。意外だ」


「そうなの?」


「ああ。元々あまり物に執着がない人だからな。自分で買いに行くのも珍しい。よっぽど怜彬《れいりん》にあげたかったのだな…」


「そうね…。凄く照れてたわ…」


わたしは雷覇《らいは》にサザンカの花を手渡した。


「サザンカは寒い雪の日でも咲く花なの!とっても珍しいでしょう?」


「そうだな。凄いな寒い雪の日でも咲くのか…」


手元のサザンカを見ながら、雷覇《らいは》が優しく微笑む。

風が穏やかに流れて、心地いい。木々のカサカサという音がする。

風に乗って様々な草木の香りがした。

あの事件があって以来、雷覇《らいは》とはよく会話している。

朝起きた時、寝る前…。少しの時間でも沢山話をした。


「わたしね…。雷覇《らいは》殿と再会して、前に進むことができたでしょう?」


わたしはしゃがんで、雷覇《らいは》の瞳を見つめた。


「ああ…」


「炎覇《えんは》の簪は今となってはわたしの一部のような気がして、手放せる気にはなれない。でも…。身に着けなくても…もう大丈夫だって思えたの」


「そうか…。怜彬《れいりん》。俺の髪飾りを着けてくれてありがとう…とっても似合ってる」


雷覇《らいは》がわたしの手を握り締めながら言った。

わたしも雷覇《らいは》の手を握り返した。


「うん。わたしも素敵な髪飾りをありがとう。雷覇《らいは》殿…。わたしもとっても気に入ってるわ」


実は今もその髪飾りを着けている。

着ける時ちょっと恥ずかしかったけど…。

今朝身に着けたとき、雷覇《らいは》は気づいていたけど

にっこり微笑んで頬に口づけするだけだった。

でも、わたしは簪を手渡した理由をちゃんと伝えたかった。


「香水を作るのも楽しみね!!どんな香りにしようかしら?」


「そうだな…。二人の香水は情熱的なものがいいな!!」


「情熱的?なんそれ…ふふふ。時々雷覇《らいは》殿って変な表現するよね」


「…?そうか?普通だと思うが…」


「変よ!雷覇《らいは》殿って小さい時あんまり話をしなかったでしょ?」


わたしはまた立ち上がって、車椅子を押し出した。


「う…。まぁ。よく話す方ではなかったな…。どちらかと言うと水覇《すいは》の方が良く話した」


「やっぱり!そんな気がしたわ」


温かい日差しの中、ゆっくり中庭を歩く。

雷覇《らいは》と他愛のない会話をする。

時々変な表現をするけど、とっても楽しかった。

やっぱりコミュニケーションって大切だな~。


因みに雷覇《らいは》の怪我は全治1ヶ月だったのが

2か月に伸びた…。まったく…。

普通治りかけて、またケガするとかある?

わたしの告白も1ヶ月伸びたじゃない!

まぁ…。逆に良かったかも…。


あのまま、わたしが告白していてもきっとどこかで

あの事件が起きた気がするし…。

余計に会話不足に陥っていた気がする。

やっと雷覇《らいは》も会話の重要性に気が付いたのか

会議でも部下たちと良く話すようになったとムツリから聞いた。


雷覇《らいは》も少しずつ変わっているようだわ…。

かれこれ雷覇《らいは》と再会してから半年が経過しようとしている。

わたしからしたらま(・)だ(・)半年だ。

こんな穏やかな日を過ごせるなんて夢にも思っていなかった。

これからもずっとこうしていたいな…。


「怜彬《れいりん》!」


「なあに?雷覇《らいは》殿」


上機嫌な声で雷覇《らいは》がわたしに話しかける。


「早くあのユノミでお茶をしたいな!!」


「えっ…今日貰ったユノミの事?」


「ああ!子宝に恵まれるそうだから、毎日使っていたら早く結婚できると思わないか?」


「…っ!!?何言ってるのよ!雷覇《らいは》殿のばか!!」


わたしは恥ずかしくなって、車椅子を押す手に力を込めた。

もうっ!!さっきまでいい感じだったのに!!

何を考えているのよ!雷覇《らいは》は!!


「なんでだ?変な事言ったか?」


ニヤニヤしながら雷覇《らいは》がこちらを見てくる。


「ううう。言ったわ!めっちゃ言ったわ!!」


なんだか…。嫌な予感がする。

雷覇《らいは》はやっぱりどこまでいっても銀獅子《ぎんしし》だわ!



最後までお読みいただきありがとうございます( *´艸`)

ブックマークしてくださった方ありがとうございます!!

ちょっとでもいいなと思ったら、

広告の下の☆☆にぽちりしていただけると嬉しいです(#^.^#)

感想・ご意見お待ちしております!(^^)!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。