表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

1-9.

買ってしまった。

今日は品定めのつもりだったが、つい、買ってしまった。

値段も一万と少し。

相場を知らないが、きっとお買い得だ。


別荘に帰る途中、スーパーに立ち寄って冷凍食品を中心に食料を買い込んでから、再び車を走らせる。


気分がいい今日の昼食はエビグラタンだ。


普段は時間の短縮の為、冷凍シーフードを使うが、今日は大ぶりのブラックタイガーをちゃんと下拵えをして、マカロニグラタンの素で二人分を作って、一人でお腹いっぱいになるまで食べるのだ。


子供の頃、施設でたまに出たグラタンは小船型の小さいもので、二口で食べ切れるようなものだった。


大人になってからは、洋食屋を食べ歩き、色々なグラタンを食べたが、やはり、グラタンの素で作るマカロニグラタンが1番美味しい。


簡単に作れるのもいい。


午前中に終わらした作業は順調に終わった。

焼いた腕は、しっかりと焼き切れており、骨も細かく処理できた。

番重に半分も溜まってないが、一旦、明日にでも捨ててしまおう。


昼食にグラタンをお腹いっぱい食べたら、午後からはミキサーを使って、残りの脚と胴体、頭、脳を骨ごとミンチにするのだ。


砕いたものは森に捨てれば、虫や動物たちが処理してくれるだろう。

形さえ無くなってしまえば、人里に持っていかれることもないだろうし、自然に帰るのもきっと早い。


映画や漫画に出てくるようなサイコなシリアルキラーだと、脳や頭蓋骨などをコレクションすることもあるのだろうが、幸い、私はそういった特殊な性癖ではない。


普通にゴミを粛々と処分するだけだ。


最初は散々処理方法に悩み、オーブンを半年かけて作るなど、迷走をしてしまったが、今後は手軽に処理が進むであろう高揚感と、この後に作る予定の好物のグラタンがアクセルを押し込もうとする。

が、文字通り踏みとどまった。


これから、ゴミを、ゴミのような人間を少しでも減らしていこうとしているのに、自分が交通ルールやマナーを守らないような人間になってしまうのは、違う。


完全に法定速度以下にするのは、交通の流れを阻害してしまうので、それはそれで間違っているが、不要にスピードを出して危険運転をするようなゴミに、自分自身がなるのは我慢ができない。


まだ、昼前だ。


今日はこれから、残りのゴミ処理をして、好物のグラタンを作るのだ。

自分のペースは崩さずに、滞りなく済ませたい。


自分で自分を戒めて、残りの帰路は安全に適度に車を走らせていく。

誰にも、自分にも邪魔はされたくない。

邪魔などさせはしない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ