外界ノチカラ
・…
「センスねぇな」
これが俺の第一声だった。
一見『店』なのかも疑わしい。まぁ便宜上、店と仮定して、意味のない雑品をごちゃごちゃ置きすぎだ。
「懐かしいですね」
ゲンさんは、何処から嬉しそうに前足をパタパタと動かしている。
数分前、 ゲンさんの休憩を兼ね、一端森へ降りた。しかし、妖怪どもの存在を恐れ、安全な場所へ移動する事になった。
で、ゲンさん先導のもと、たどり着いた場所が・・・
「カモリドウ?」
「コーリンドウ、です」
「・・・音読みかぁ」
「音読みです」
店の屋根付近に引っ掛かっている、看板の名前を読んだが、ゲンさんに何気なく訂正されてしまった。
「失礼、善路様。わたくし、亀故に扉を開けれません。申し訳ありませんが・・・」
「え? あぁ、了解しました」
このままボーっと店を観賞している時間はない。
「ご、ごめん下さぁい・・・」
俺は恐る恐るドアノブを捻る。
立て付けが悪いのか、ドアはギシギシと不穏な音を発した。店の外観がキモいので、若干尻込みしている俺は、(店主がヤバい奴だったらぶん殴って逃げよう)と、国家公務員にあるまじき思考を巡らせていた。
・・・今までの体験がかなりアレだったので、大目に見てくれ。
さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・。
あ、鬼は出たな、そう言えば。
「・・・蛇、か?」
などと言いつつも、思い切ってドアを押した。徐々に内装が見えーーそこには、
「ん? いらっしゃい。何かご入り用かな?」
店内の奥に腰かけていた、温和そうな青年が、微笑みかけてきた。
俺は何故か、『マラカス持ったオッサンが殴りかかって来た時の対処方法』なるものを考えていたため、「あ、はぁ・・・」と挙動不審な返事を送った。
「霖之助様っ! これはお久しゅうございます」
そんな俺を尻目に、ゲンさんは青年に手(前足?)を振ると、嬉しそうに挨拶をした。
「君は…、確か霊夢の所の…! 久し振り、隠居生活は充実しているかい?」
「勿論、と言いたいところですが、…いやはや、霊夢様もお人が荒い。今回も…」
俺をほっぽっといてゲンさんと懐話にはなを咲かせている青年。彼は『森近霖之助』。ここの店主らしい。
俺の想像と違って、なかなかの好青年面だが、髪がえらく白いし、物腰が妙にジジ臭…もとい達観している。 まるで定年退官前の曹長を見ているようだ。
…俺より年下のようだが、よほど苦労人なのだろうか?
てか、完全に会話に入るタイミングを見失った。
一応の礼儀として、簡単な自己紹介と挨拶をしたかったのだが、二人の会話を邪魔するのも気が引ける。
手持ち無沙汰になった俺は、店内を何気なく見渡した。
…で、ここは結局、何屋なんだ?
この建築物の看板には香霖『堂』とあった。
要は店なのには間違いないのだが、商品に統一性が無い。
二層式洗濯機、ブラウン管のクソ重そうなテレビなどの旧式過ぎる家電品にまぎれ、肩下げ式携帯電話、レコードなど、時代を感じるモノが大半を占める。
とりあえず、消費期限が『1973・4・23』の、もはやいつ作られたのか分からん乾パンは捨てろよ…。
「ところで、彼が件の?」
「あ、はい。しまった、すっかり善路様を紹介するのを忘れていました」
…やっとか。
俺は、のど奥まで出かかったため息を飲み込み、森近店主に皮肉混じりの愛想笑いを送った。
「はじめまして、私は陸上自衛隊中部方面隊第13旅団第54普通科連隊第3中隊第2小銃小隊第1分隊第2班の小銃手兼LAM手、たまに機関銃手の的場 善路陸士長です。色々聞きたいことはあると思いますが、とりあえずこれだけは言わせて下さい。…あの乾パンは腐っている」
「あ、あぁ…、忠告どうも……。随分長い肩書きだね。……よろしく」
森近店主は、そう言って苦笑いを浮かべた。
…………
………………
「へぇ、この国は…日本は負けたのかい? その第二次世界大戦に…」 「そうですね。割とこっ酷くやられました」
「それで軍縮の結果できた軍隊が…」
「えぇ、自分の所属する自衛隊です」
軍隊違うが、めんどくさくなるんでいいや。
俺が外の人間(…外来人ってぇの?)だと分かると、森近店主は興味深そうに外界の現状を聞いてきた。
中でも彼は俺の格好が気になったのか、軍事関係の質問が多い。
「やれやれ、意外と大変なことになっているようだね。自分さえよければいい……なんて言わないが、この幻想卿にまで火の粉が掛からないか心配だよ」
そう言って、彼は繭をハノ字に曲げ、腕を組んだ。
…WW2自体を知らないのか。この幻想卿はいつから存在してるんだ?
「はは、森近店主、多分まだまだ大丈夫ですよ。日本は戦後、経済的に躍進できましてね。おかげで我が自衛隊の防衛力はトップクラス。不要な犠牲は出しません」
「そう願いたいね……。外界は幻想卿より大分先進的なんだろう? 聞いた話じゃ、指先一本で町が消し飛ぶカラクリがあるとか」
「ぶふゅ!?」
森近店主の言葉に、椀に入った水をがぶ飲みしていたゲンさんが、盛大にむせた。
ま、それはおいといて、からくり? ん~、核のことか?
「まぁ、そんな簡単な話ではないですが、間違いでもないです。しかし、大戦の事さえ知らない貴方がどこでその話を?」
「あぁ、君みたいな軍人は少数だが、外来人自体は来る。……言うほど頻繁ではないがね。このカラクリの話はその中の一人から聞いたものだ」
「なんですって!?」
おいおいおいおい! 話が違うぞ。もしかして、日本の行方不明者の何割かが…『外来人』になっているのか!?
俺は狼狽もあらわに森近店主に詰め寄り、両肩を掴む。
彼の顔に嫌悪の色が走るが、知ったこっちゃない。
こっちは、人の命がかかっている!
「的場君、少し冷静になったらどうだい?」
「森近て……、あぁ、まどろっこしい! お前、俺より年下だよな? 呼び捨てるぞ、いいな!?」
「は? 多分、数百才年う」
「うっさい。返事は『はい』か『イエス』だ」
「ぼ、僕は横文字はあまり理解出来ないが、両方とも肯定的な返答だったとおも」
「森近、外来人はどうやって幻想卿にやって来る!? 頼む、教えてくれ!」
「ちょっ、まままままってくれ!」
「ぜ、善路様!?」
俺はゲンさんの声を無視し、容赦なく森近の肩を前後にゆすった。
すると森近は、ちからなく俺の手を振り払い、フラフラしながら両手を上げた。
「ゴメン。……やりすぎた?」
「その通りだよ! はぁ、いいかい。幻想卿に流れ着く条件は諸説あるが、有力なのは二つ」
森近はそう言って、荒い息を吐きながら、俺に指を二本立てた。
「二つ?」
「……あぁ。一つは『忘れられること』。二つ目は『スキマ』だ」
俺は繭をひそめ、顎をなでると同時に、森近を見つめる。
「…………意味が分からん」
「だろうね、特に一つ目の『忘れられること』については定義があいまいだし、二つ目の『スキマ』は遭遇率自体が天文単位の確立だ」
「詳しく聞かせてくれ。タバコあげるから」
俺は右ポケットから、よれたMEVIUSの6ミリの箱を取り出すと森近に見せた。
「遠慮しておくよ。あと、店内は禁煙だ。商品がヤニくさくなる」
「……期限切れの食いもん商品にしといてよく言うぜ。外ならいいか?」
「ポイ捨ても感心しないね」
「善良な公務員はそんなことしねぇよ。携帯灰皿がある」
「そんなに吸いたいのかい?」
「あぁ、ヤニが切れたらおれは死ぬからな」
「嘘だね」
「まあな……っと。ゲンさんはここでちょっと待ってて下さい」
「は、はぁ。ごゆるりと……」
俺はゲンさんに手を上げて応えると、店から出て、森近にあとを促した。
「で、本題だが、忘れられて云々から頼む」
タバコを口にくわえ、火を付ける。
そのまま、紫煙を含み一気に吐き出した。
うまい。
苦味はほとんど感じず、新鮮なニコチンが喉をキックし、体全体が心地よい脱力に包まれている。
俺はブラックテープでグルグルに遮光処置のされた拳小の灰皿を取り出しつつ、再び煙を吸い込む。
「言葉道理さ、外の世界から、存在が認識されなかったり……それこそ、『人々に忘れ去られたり』、ね」
「……いや、俺は『忘れられました』で、『幻想卿きました』までのシステム知りたいんだが」
「そんな事言われても、僕だってよく分からないんだが……」
「えー……。一回気になったことない? 外界と幻想卿の因果関係とか。忘れられてはい到着って結論でかたずけるのってどうよ? 常識的に」
「すまないが、この世界ではありのままの現象を受け入れ、随時対処する方針に変えたほうが利口だ。……どこぞの『巫女』も言っていたよ。『常識は投げ捨てるもの』ってね」
博 麗 や べ ぇ な !
そんなこといってたのか、アイツ。
……しかし、まいったな。
結局のところ、森近もよくわかってないらしい。
「二つ目のスキマ、とやらはなんだ?」
「あぁ、それなら簡単だよ」
「ホントかよ? さっき天文単位がどーとか言ってなかったか?」
「はぁ、見かけによらず細かいな、君」
森近は大げさに肩をすくめた。
「職業柄な。大雑把な奴はすぐ死ぬ……らしいぜ」
「能力だよ。個人の」
俺の軽口を無視し、森近はそう言った。
「能力?」
「そこからか。……的場君、まだ時間はあるかな?」
森近は、今度は割と深刻そうに腕を組む。
「まぁ、ないことはないが」
「……一端店に入ろう。君には一から十まで、全て教える必要がありそうだ」
「マジか!? 恩にきる、かなり有難い……が、ちょっと待ってくれ!」
俺に背を向け、店内に入ろうとした森近を呼び止める。
「なんだい? 僕の店は一応営業中なんだ」
「まだタバコ吸い切ってない! だいたい、今は開店休業みたいなもんだろ」
「客……と呼べるか微妙だが、こんな店でも人は来る」
「物好きがいるんだな」
「あぁ、魔女とか妖怪とかメイドとか、ね」
「……は?」
ジョークだよな? 何だその面白いラインナップ。
でもそんな事、真顔でいうタイプにも見えないし……。
俺は森近の背中と、残り一センチほどになったタバコを交互に見る。
そのまま吸ってやろうかと思ったが、彼の話が気になりすぎた為、タバコをもみ消し、急いで店に入った。
……………………
……………………………
一時間後ーーー
「……と言うわけだよ。わかったかな的場君?」
「……半分くらいは」
俺は森近から問に、目頭を押さえながら、弱々しく呟いた。
無論感極まって涙が出そうだからではない。軽く目眩を覚えたからだ。
幻想卿の種族、歴史、パワーバランス等の政治的要因から、弾幕、能力、文化の情報まで、彼が知り得ること全て、頭にぶちこんだ。
最も、無理矢理覚えただけで、大半のことを理解していないし、順応出来るか不安ではあるが……。
まぁ、一番心配だった人間の立ち位置についてだが、あまり心配はいらない様だ。
一昔前までは人食いの妖怪も溢れていた様だが、今は比較的温厚な妖怪が多い……らしい。
とにかく、人里周辺は『比較的』安全な様だ。
……まぁ、俺が始めに遭遇した、積極的に人を食らう妖怪も多々いるようだから、楽観視はできんが……。
「いや、難しく考える必要はないよ。妖怪相手だろうが人間相手だろうが、揉め事は『弾幕勝負』で、だよ。最悪、これだけ覚えておけばいい」
「もし、戦いになったら?」
「全力で逃げるべきだよ。妖怪に真っ向から勝負を仕掛けるなんて、ただのバカだよ」
……こいつは俺をディスってんだろうか?
「でもなぁ、その弾幕ってのは……なんか、こう……非物理的質量(?)的なやつをぶつけ合うんだろ? 俺はそんなん出せねぇぞ」
まったく酷い話だ。
温厚に妖怪と戦いたければ、俺はその弾幕とやらを出せるようにならないといけないらしく、ついでに空を飛ばないとかなり不利になるらしい。
亀仙流でも覚えろってか?
畜生……。
「それはマズイね。恐らくなぶり殺しになるんじゃないかな?」
「おいおい……。ゾッとしねぇな」
「はははっ、ごめんよ。君が奮闘しなくてもこの世界の人間は生きて行けるさ。それに今から博麗神社に行くんだろ? 君が弾幕勝負をすることはないさ」
そういって、森近は呑気に笑いながら、緑茶が入った湯飲みに口をつけた。
「博麗神社? いや、俺が行くのは人里だぜ。ですよねぇ、ゲンさん?」
「はぁ、左様ですよ、善路様」
俺達の返答に、森近は茶をすすりながら器用に眉を曲げる。
「ん? てっきり君は今から外界へ帰るものだと思ってたのだが……」
……何だこれ噛み合って無いな。
森近は何か勘違いしている様だが……。
「あの神社には近付けねぇ。俺を狙ってる妖怪がいるんだ」
「……それは厄介だね。あそこには霊夢かいるから大丈夫だと思うが……。その妖怪の名前か、種族は解るかい?」
何だったかな?
……確か、
「スイカだ。博麗は確かスイカってよんでたな」
次の瞬間、森近は盛大に茶を吹き出した。
茶は綺麗な弧を描き、ゲンさんにダイレクトヒットする。
「ちょっ、なにしてンだお前!?」
俺は背納からタオルを取り出すとゲンさんの体を拭いた。
甲羅は俺が乗るからな。一番念入りに拭いとくか。
そこでふと、ゲンさんの体が小刻みに震えていることに気が付いた。
「おいおい……大丈夫っすか? どこか悪いところが……」
「的場くん!!」
俺の声は、今まで聞いたことも無いような声量で叫んだ森近の声によって遮られた。
「な、何だよ? いきなり大声出して、ビビるじゃねーか」
「いや、失礼。それよりもその妖怪は、頭に角の生えた十代前半の少女の姿かい?」
おぉ、あたっている。
俺は僅かに感心しながら、頷いた。
「よくわかったな。確か、鬼とか何とかい言ってたな。とても『硬かった』よ」
「か、硬かった!? き、君は彼女に何をしたんだい?」
心なしか、額に冷や汗をかいてる森近に、内心びくびくしながらも、能面を装う。
「何って……。 まぁ、取り敢えず角を掴んだ」
「…………」
「…………」
あ、あら?
両者無言で俺を見つめている。
俺は重い空気を凪ぎ払うかのように、話を続けた。
「銃と拳で殴って、膝を入れて足の裏で顔をおもいっきり踏んだ。いやー、まいった。あんまり効いてなかったようだからな……。でもまぁ、アイツの酒ビンをブン取ったのは、我ながらいい行い……」
「も、もうやめてくれ!! 聞きたくない」
森近は真っ青な顔で俺の言葉を制すと、荒々し気に湯呑みを机の上に置いた。
……いや、驚いた。こんなにも感情を露にできる奴だったのか。
「お、おいおい。何をマジになってんだよ?」
「君が喧嘩を売った相手は『伊吹 翠香』だ!! 種族は鬼だよ! 君は……君はぁ……ヴァカかっ!?」
「……『ヴァ』? まぁいいや。鬼なのはしってるが、お前は何をムキになってるんだ? 落ち着かんかい」
……これは、怒られてるよな、俺。
「さっき僕が小一時間かけて説明しただろ! 鬼は種族としては最強クラスの代名詞だ。……君は殺されるぞ。て言うか、よく今生きてるな、ちょっと感動したよ!!」
「はぁ? 最強だか何だかシラネェが、大したことないだろ、博麗一人で押さえ込んでいたし……」
「霊夢は特別なんだ!! なんせ博麗の巫女なんだからね。……って君は、まさか一人で問題を起こして霊夢にそれを擦り付けてきたのかい!? 最低だな!!」
「おい、口にゃ気をつけろ。大体、大げさなんだよ。俺が妖怪三体と殴り合いしたときも……」
「格が違いすぎる! 翠香をその他の妖怪と同じにしては……って君は妖怪と殴りあったのかっ!!?」
「あぁ。防弾ジョッキが無かったら即死だった」
「君も大概化け物だな!!」
「いや、人間だが」
「知ってるよ、皮肉だ!!!!!!!!!!!!!」
森近は両膝を床に着け、ボコボコと床を殴っている。
こいつ結構面白い奴なのかもしれん。
やがて、ひとしきり床を殴り終えた森近は、何かを思い出したように立ち上がると、出口を指差し、
「出て行ってくれ。問題を持ち込まれるのはごめんだ」
と、冷静な口調で言い放った。
「……分かったよ。悪かったな、邪魔して。色々、変なこと言っちまったが助かったのはホントだ、ありがとな」
「殊勝だね」
「確執って嫌いなんだよ、職業柄な」
「…………」
「じゃ、行きましょうか、ゲンさん」
別にここに長いするつもりは無い。
情報は手に入れたし、もともとゲンさんの休憩を取る為、ここに立ち寄っただけだ。
俺は軽く森近に会釈すると、ゲンさんに声をかけた。
しかし、当のゲンさんは、体を小刻みに震わせたまま身じろぎもしない。
「あの善路さま。伊吹 翠香が襲ってくる可能性はありますか?」
俺が甲羅を揺すると、そんな声が返ってきた。
「博麗がなんとかしたんじゃないんすかね? あいつ弾幕出せるみたいだし。まぁ、可能性は0じゃない、ってね。ははは」
おれが冗談めかして放った言葉だったが、ゲンさんは頭と四肢を甲羅に隠してしまった。
……そんなに怖いのか?
「君の背中にあるのは『銃』とやらだろ? それの殺傷能力は桁外れだと聞く。防衛手段ならあるじゃないか?」
呆れたような森近の声。
89式小銃のことだろうが……。
「いや、これは使えない。俺はただ訓練でこいつを持ってるだけだ」
純粋に弾が無い。
国産の5.56ミリ通常実包、もしくは同じ規格の口径(5.56ミリ)、全長(45ミリ)のNATO弾がなければ、この銃はただの棍棒だ。
「……的場くん。万一戦闘になったらどうする気だい?」
「格闘か、もしくはこの銃剣で」
「正気かい?」
え? ……ダメ?
「じゃ、じゃあ、こいつだ」
俺はおもむろに銃剣を引き剥くと、小銃の消炎制体器下部にあるアタッチメントに装着した。
「……それは?」
「小銃に着剣しただけだ。部隊で、銃剣道の腕は中程だがな……」
森近は深いため息をつく。
……やめろよ、なんか俺が恥ずかしくなって来ただろ。