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初心者がいきなり乗馬で無事なわけないですよ

テントの中を見回しながら、つくづく思います。

皆さん本当に大きい。


私の身長は以前と同じ、16…四捨五入して170㎝だとして、シナトラは私より少し高く、アインがそれより高く、ブルースは多分15㎝程高いくらいですかね。

遊牧民の方々は、腰の曲がったババ様が私と同じ目線で、女性の方でもブルースより背が高いですし、男性の方は更にです。

多分私より50㎝程高い様な気がします。


以前外国人バレーボール選手に囲まれた時より圧迫感が凄いです。

座った座高でさえ、立ったチャックより高い方も居ますよ。


「ねぇ、おっちゃん達は何の獣人なの?」

ナイスです、気になっていたけど聞けなかったんですよ。


「我らは人族だぞ。

魔王様のおかげで逞しい体を手に入れられた、幸運な人族だ」

「えー、ミミとか無いけど熊の獣人だと思った」

ホルさんの答えに、シナトラだけでなく、私も驚きました。


「ほっほっほ、この見た目のおかげで、他の国との交渉が有利に運ぶこともあるのじゃよ。

我らに合わせて馬も逞しく育つようになったから、交渉の場に馬に乗った若者を数人連れて行くと、こちらの言い分がすんなり通るからのぅ」

圧迫面接と言う言葉が浮かんできましたけど、違いますよね。


「ヤギ達も立派な体つきですよね」

アインが外を見ながら言います。

ヤギ……ヤギねえ…………私には山羊と羊に見えるのですけど。


「我らはヤギの乳と毛ヤギの織物で生計を立てておるが、他の一族の動物達も立派な体つきをしておるぞ。

毛ヤギや毛牛が多いが、薬にもなるオオツノシカなども、他の場所より大きく育っておる。

これも魔王の加護、ありがたいことだねえ」

ババ様が山に向かって手を合わせています。


毛ヤギは羊ですよね、毛牛はヤクですかねぇ?

オオツノシカは……トナカイ?いや違うかもしれませんね。


「面白いのが、最近首の長い毛ヤギを飼い始めた一族がおるとのことでな、今度顔を合わせた時に分けてもらおうかと言っておるのじゃよ」


首の長い羊……アルパカですよね、絶対。



遊牧の話を聞いたり、山の向こうの話をしたり、なんだかんだで日が暮れてしまったので、今日は泊めていただく事となりました。

私達を案内してくれたホルさんと、その弟のネグさんのテントに分かれて休むことに。


休む前に歓迎の宴を催して下さいました。

ヤギを3頭潰して、焼いたりスープにしたり。

新鮮なチーズやミルク、焼きたてのパン?カラフルな果物。

そして見たことのあるあの木の実は…


「あ!酒の実!!」

シナトラと出会った時に、まだ熟していなかった酒の木の実ですね。

シナトラ大興奮です。


「もう塾してんの?

この近くに木があるの?

僕も欲しい!取っていいかな⁈」

ホルさんの胸ぐらを掴んで(身長差で縋り付いている様にしか見えませんが)問い詰めています。

あ、ほら、チャックに頭叩かれたじゃないですか。


「酒の木はこの平原はたくさん生えてるから、見つけたら好きなだけ持って行くといい。

取り尽くさずに、数個ずつでも残しておけば、後は持って行って良いぞ。

こちらも珍しい物沢山貰えたしな」


宴が始まる前に、商人としての初仕事を行ったのですよ。

ちゃんとギルドカードを提示して、許可を持っている事を説明してから、大量に仕入れている魚介類を、彼らの織物と物々交換の取引をしたのです。


草木染めの落ち着いた色合いですけど、緻密な模様のベストの様な服と、敷物などを数点。

手作りですので、同じものは二つとありません。

たくさんの品を見せていただき、柄の気に入った物を仕入れさせていただきました。


魚介類はとても喜ばれました。

この平原にも、勿論川はありますし湖もいくつか有ります。

しかしながら、川の生き物はその水源や土地により生態系が違いますから、見たことのない魚などはとても興味を惹かれた様です。


元営業のサガなのか、美味しい調理の仕方(と言っても焼き加減とかだけですが)、それぞれに合うハーブ、保存の方法、廃棄する頭や骨を使ってスープの出汁にすることや、思いつく限りのプレゼンをしてしまいました。


真剣に聞いてくださった女性陣にはとても喜ばれて、私も久しぶりの感覚に満足感を覚えました。


うん、行商って楽しいかもしれません。

アインに感謝です。


明日は酒の木の群生している場所まで、ホルさん達が案内してくれるそうです。

その辺りに別の一族の拠点があるそうですので、そこまで連れて行ってくれるとのこと。


どうやらその一族は、ババ様の弟さんの一族だそうで、馬と鹿を主に扱っているそうで、そこで面白い仕入れができるのではないかと、ババ様が勧めてくださったので、お言葉に甘えることにしました。

そちらの一族にもぜひ魚介類を食べさせたいと言われて、断る理由もありませんしね。




翌日、朝ごはんまでいただいて、弟さんの一族の拠点へ向かいました。

私は馬に乗れませんので、私とチャックはホルさんの馬に、シナトラはネグさんの馬、ブルースとアインは馬に乗れる様なので、2人で一頭借りて出発です。

大きな馬なので、大人2人でも楽々ですね。

足の速さも凄いです。

空気抵抗が……体感速度で80キロくらい出ていそうです。


「あんたら初心者だから、ゆっくり走ってるから一時間くらいかかるけど、大丈夫か?」

「は…はひ…」

その大丈夫は時間的な事なのか、慣れない騎乗でグラングランしていることに対してなのか。


そりゃあ若い頃はバイクでかっ飛ばしてたよ?

でもバイクと馬は全っっ然別モン!

ケツは痛いし、上下運動で朝メシ吐きそうだし、もう二度と乗りたくねえ!


あ、ダメですね、大人な私がどこかに行っていましたね。

でも本当に乗馬は懲り懲りです。

ブルース「どうした?随分へっぴり腰だな」

ジョニー「み…皆さんお尻、大丈夫なんですか?」

アイン「慣れてますから」

シナトラ「足で挟んで腰浮かしてたよ」

チャック「少し浮いてた」

ブルース「これからも乗る機会あるだろうから慣れるしかないな」

ジョニー「チキショー!!」

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