ハクリとお泊まり会
「えーっと………ここか」
あれから約10分後。ハクリは大急ぎで支度を済ませてルリの部屋がある女子寮へと足を運んだ。便利な事にあの後シノアが作ったあの液体を服にかけると、見事に透明になった。
全裸で学園内を歩くといった犯罪行為をしないで済んだのである。
「ねぇねぇユリー」
「ん?何か忘れたの?」
「……あれは」
女子寮付近に来た所でユリとミルが2人でルリの部屋へ向かうところを目撃した。ハクリは何故か身を隠す形になる。
「あの大胆な下着ってまさかハクリ君に見せる―」
「んなっ何であんたがそんな事…じゃなくて違うわよっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴り散らすユリ。ミルは満面の笑みで、ハクリは変な想像を働かせていた。
「あはは!まぁいいじゃないか」
「っもう!」
という会話をしながら視界から消えた2人であった。
「…………大胆……か」
「物陰に隠れてニヤニヤしてると変態だと思われちゃいますよ」
バッと後ろを振り向くと、透明になったハクリが見えるメガネをかけたシノアが立っていた。
「……にやにやしてた?」
「してました」
「まじか……」とこめかみを抑えるハクリをよそに、シノアは再び足を動かした。
「行きましょう。みんな待ってますしそろそろ薬も切れますから」
「お、おう……」
―ルリの部屋の前にて―
「……何か緊張するな」
「まぁ本来なら男子は踏み入ることの無い、いわば聖地みたいな所ですからね」
「…………確かに」
今ハクリはその聖地とやらに踏み込んでいる訳で……。
昨日行ったミャンの部屋に入った時のような感覚に見舞われる。
ちなみに今のハクリの体は至って普通で、透明人間の状態ではない。透明のまま入ると誤解を招ね兼ねないので、数分間その場に待機という謎のひと時を過ごした。
「……よし」
ガチャっと扉を開く。
「お。真打登場だね」
「遅いじゃない……」
「おせえですよ!」
「お、おう……悪い」
「マスター!」
カバっと抱きついてくるルリ。ハクリは戸惑ってしまう。
「なっ―」
と驚愕するユリ
「ほうほう……」
とメモ帳に何かをメモるミル
「おーっ!」
と興奮するリリィ
「ちょ、お前何してんだよ!」
ハクリが引き剥がそうとしても、ルリは「えへへ〜」と笑っているだけで、離れようとはしなかった。
「……さぁ皆さん!遊びましょう!」
「「「「おー」」」」
ハクリとシノア以外のメンツが揃えて拳を上げるり
「……おー」
1人やる気なさげのハクリはおずおずと拳を上げた。




