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初級ダンジョン

 俺たち3人は都市の南にある初級ダンジョンにやってきていた。


 ちなみにメロは戦えないので、宿屋でお留守番である。


「はぁ!」


 袈裟懸けに振り抜いた俺の剣が、敵を斬り裂く。


 いま倒したのはオークだ。


「ぶひぃ!」


 醜い豚の魔物が断末魔を上げながら、血の海に沈んでいく。


 俺たちはすでにこのダンジョンを、中層まで制覇していた。


 ここまでに現れたモンスターは、このような感じである。


【初級ダンジョン、上層】

 ・ゴブリン

 ・ゴブリンタンク

 ・ゴブリンアーチャー

 ・ゴブリンメイジ


【初級ダンジョン、中層】

 ・オーク

 ・キラーアント

 ・サンダーバード


 上層は大体レベル5〜10ほどのモンスターが多く、中層ではレベル10〜15ほど。


 慣れないダンジョンかつ、ティト先輩をメンバーに加えての初の実戦。


 最初こそうまく連携が取れずに、もたつくこともあったが、いまではそんなことはない。


 また初級ダンジョンは、基本的に足場もよく、地形的なトラップもほぼない。


 そんな動きやすいダンジョンを、先輩という実力者を迎えて絶好調の俺たちは、どんどん敵を倒して回った。


 ◇


「ふぅ。

 私、1日でこんなにたくさんのモンスターを倒したのは、はじめてだわ」


「私もだ。

 1匹1匹はさほどでもないが、数が多いせいで気が抜けないな」


 イーリィと先輩が額の汗を拭う。


「そうだな。

 でも強くなっていく実感があるよ」


 なかでもスキル『女神の恩寵:成長速度超上昇』をもつ俺は、ふたりを置き去りにして、急成長していた。


 ちょっとステータス確認してみよう。


"名前:ユウ

 レベル:48

 スキル:雷撃剣、投擲、殴打、逃走、威圧、雷撃、火炎、盾術、剣術、防御、弓術、睡眠、棒術、群体、噛み付き、飛行

 ユニークスキル:女神の恩寵"


 スキルもかなり集まった。


 しかし中層ではもうレベルも上がらなくなってきたし、ここいらで頭打ちだろう。


 ここからはイーリィとティト先輩の強化である。


 特にイーリィのレベルが少し物足りない。


 ティト先輩にはすでに、俺のユニークスキルのことは説明してある。


 彼女は信用できるし、それに仲間になった維持は隠し事はなしだ。


 説明を聞いた彼女はとても驚いていた。


 ◇


 中層での狩りは続く。


「ラグ!

 そっちのキラーアントをお願い!」


「グルルゥ!」


 イーリィの召喚獣であるファングウルフのラグも、活躍している。


 しかし、さっきからラグのレベルが20から上がらなくなっていた。


 詳しい話をイーリィに聞いてみると、召喚獣にはレベルに上限が設けられているらしい。


 それを踏まえて、もう一度ラグを鑑定してみる。


"ファングウルフ

 レベル:20(上限20)

 スキル:噛み付き、咆哮、爪撃"


 なるほど。


 もうラグは、レベル的にはこれ以上強くなれない。


「どうしよう、ユウ?」


「そうだなぁ。

 イーリィは、たとえばラグ以外の召喚獣は喚べないのか?」


「それが、私にはまだ無理なの……」


 これは困った。


 彼女のスキルである召喚術を強化すれば、あるいは他の召喚獣を喚ぶことが出来るようになるかもしれない。


 けれども召喚術なんてレアスキルを持っている魔物は、こんな初級ダンジョンにはいるはずもない。


 このままではイーリィは、都市トーナメントを戦い抜けない。


 戦いになった場合、イーリィ自身も弓を携えて後衛で援護はしてくれているけど、やはり彼女の強さは召喚獣あってこそなのだ。


「ふむ。

 そういえば……」


「どうしたんですか、ティト先輩?」


「こんな話を聞いたことがある。

 この初級ダンジョンの下層には、戦っている最中に『進化』するモンスターがいるのだそうだ」


「進化⁉︎

 それだ!」


 もしその進化がスキルによるものなのであれば、俺がスキルを吸収して、ラグに与えることはできないだろうか。


 ……試してみる価値はある。


「先輩。

 情報ありがとうございます。

 これでまだ、私とラグは強くなれるのね!」


「なに、気にするな。

 私たちは仲間だろう。

 では早速、そのモンスターを倒しにいくとしよう」


 ◇


 進化する魔物を求め、ダンジョン下層へとやってきた。


 ここの敵はこんな感じだ。


【初級ダンジョン、下層】

 ・オーク

 ・オークナイト

 ・オークタンク

 ・オークアーチャー

 ・サンダーバード

 ・マッドスネイク

 ・オーガ


 魔物のレベル帯も20前後とかなり手強い。


 特にオーガはゴブリンやオークとは比べ物にならない強敵だ。


 しかしこのなかには、進化のスキルを持ったモンスターはいなかった。


「はぁ、はぁ……。

 結構きついわね」


「大丈夫か、イーリィ?

 無理はするなよ」


「ありがとう。

 ふふ。

 優しいのね、ユウ」


 下層になると、いまのイーリィではもう戦力にならなかった。


 後方で支援に徹するようにお願いする。


「後方支援かぁ。

 ……正直、悔しいわ。

 でも、仕方ないわね」


 頑張っている彼女の姿をずっと見てきただけに、彼女の歯痒さが自分のことのように思えた。


 なんとかしてあげたい。


「……進化する魔物、まだ現れないですね」


「うむ。

 たしか、聞くところによると、猿型のモンスターだったと思うのだが……」


 そのとき、頭上から石を投げつけられた。


「な、なんだ⁉︎」


「く……。

 敵か⁉︎」


「きゃぁあ⁉︎」


 先輩が咄嗟に前に出て、石飛礫(いしつぶて)を大剣で弾き飛ばす。


 俺は背中にイーリィを庇った。


「キキッ!

 ウキャアッ!」


「あ、あいつだ!

 ユウ!」


 すかさず鑑定してみる。


"エボルブモンキー

 レベル:28

 スキル:投擲、逃走、進化"


「あった!

 こいつ、進化を持っている!」


「ウキッ!

 キャキャッ!!」


「あ⁉︎

 に、逃げたわよ!」


 奇襲に失敗したエボルブモンキーは、一目散に逃げていく。


 逃げ足がはやい。


 さすがに逃走のスキルを持っているだけはある。


「でも……。

 逃がさない!」


 俺は地面を蹴って駆け出した。


 全身で風を切って走る。


 レベルアップした俺の身体能力は、飛躍的に向上していた。


 身体が軽い。


「観念しろ!

 はぁ!」


 俺はあっという間にエボルブモンキーに追いついて、その背中に斬りつけた。


「ウキャアッ⁉︎」


「な、なにぃ?

 こ、これはッ⁉︎」


 エボルブモンキーの2本の腕が、肘の先から裂けて4本になった。


 口もガバッと大きく裂けて、そこから凶悪な牙が覗く。


「なんだこれは!

 さっきまでとまるで違うモンスターだ。

 これはどうなっている⁉︎」


「ユウ!

 それが進化だ。

 エボルブモンキーは死の危険を感じ取ると、進化をはじめてクレイジーモンキーという種族に変わるんだ!」


 なるほど、これが進化か。


 はじめてのことに驚いてしまった俺だが、すぐに気を取り直して剣を構える。


 クレイジーモンキーに進化した猿が、涎を撒き散らしながら反撃してきた。


「ギィィ!」


 4本の長い腕をめちゃくちゃに振り回して、飛び掛かってくる。


「ふんっ。

 その程度の攻撃が、俺に通じると思うな!

 てやぁあッ!」


「ギィィキャキャァアッ!!」


 一撃で斬り伏せた。


 クレイジーモンキーは大上段から振り下ろした俺の剣に、頭から股までを真っ二つに裂かれて絶命した。


「やったわ!

 さすが、ユウね!」


「よし!

 進化のスキルを手に入れた。

 早速ラグに与えてみよう!」

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