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第1章-プロローグ あの日の記憶
寺の境内では空を覆うがごとく一面無数の紅い梅が咲き誇っていた。
中庭にある大きな梅の木が風に揺れて吹雪のように花々が舞う光景に、寺の中庭にある縁側へ腰掛けていた着物姿の幼い少女は目を見開く。
「綺麗な梅だな」
「お前さんは知っておるかのう? 梅の花には、忠実という意味があるんじゃ」
少女の呟きに、隣に座っていた年老いた坊主が優しい声色で語る。梅を見ていた少女は眉を寄せながら坊主へと顔を向けた。
「そうなのか?」
「うむ。ぜひともお前さんには将来、あの梅のように物事に対して忠実な人になってほしいと願うばかりじゃ」
「なんだよそれ」
坊主の言葉に少女は呆れた笑いを溢す。
「お前さんは少々荒っぽいところがあるから、せめてそういてくれればと思ってのう」
「まぁ……じいさんが言うなら、そうなれるよう善処はしてやる」
そう言って微笑む坊主に、少女は素っ気ない態度で返すのだった。




