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第77話 三種の聖武具

 そんなことを知る由もなく、ウルスラは話を続けていく。


「よくできました。では、この三つの聖武具について、それぞれどんな特徴があって、どういった経緯で今に至るのか……それを説明できる人はいるかしら? せっかくだし、スーシェさん以外にも答えてもらおうかしら」

「じゃあ今度は俺が」


 ウルスラが生徒たちに問いかける手を挙げたのはシャルンホルストだった。

 シャルンホルストはリクレールとともに魔族残党軍と退治し、士官学校に帰還した後、今まであまり興味がなかった帝国の聖武具についていろいろと調べていた。

 リクレールが魔剣をどこからか持ち出してきて、目覚ましい活躍したことがきっかけであることは疑いようもない。


「聖武具は担い手にそれ相応の力量を要求するだけでなく、それらの武器にふさわしい心の持ち主でなければならないと聞いています。聖剣アレグリアは『解放』を、聖槍バリエントは『博愛』を、そして聖斧サルバシオンは『守護』をそれぞれ司っていて、これらの力に合致しない者は真価を発揮できないとも。そして、歴史上において保有する一族であっても聖武具を受け継げずに当主と認められなかった貴族は少なくなかったと……」

「えっ、そうなの?」

「そうだぞ。特にリクの実家……アルトイリス家は聖剣を継げない者は容赦なく家から放逐して、貴族階級を剥奪していたらしいぞ」


 リクレールはてっきり聖武具はその血筋の者しか扱えないとばかり考えていたのだが、シャルンホルストが調べたところによれば必ずしもそうではないらしい。

 実際、聖槍バリエントは元々ミュレーズ家とは別の一族が受け継いでいたし、聖斧サルバシオンに至っては4回ほど所有する家が代わっている。

 逆説的に、初代から一貫して聖剣を保持し続けたアルトイリス家は、それだけ後継者に徹底した教育と管理を施していたのだろう。


「し……知らなかった。てっきり受け継げないのは僕だけだとばかり」

「ああ、だから、その……リクが聖剣を受け継げなかったのは、たまたま聖剣とそりが合わなかっただけってことさ。だからあまり自分を責めてやるな」

「然り。聖なる白に受け入れられざるとも、鮮血の黒に選ばれたあなたは、決して矮小な存在ではないということよ」

『全くをもってその通りですわ!』

「あ、ありがとう……」


 シャルンホルストだけでなくサンシールも、リクレールが聖剣を継げなかったことを決して本人の力量不足ではないと慰めてくれた。

 便乗したエスペランサはさておき、資料的に裏付けられて慰められると、リクレールも幾分か気が楽になった気がした。


「ふふっ、流石みんなよく調べているわね。みんな優秀すぎて先生が教えることがなくなって授業も終わってしまう…………なんてことはもちろんないから安心していいわ。むしろ、ここからが今日の授業の本番よ。みんなのなかで、聖武具以外について調べてきた人がいたら挙手してくれるかしら」

「「「聖武具以外?」」」


 ウルスラから思わぬことを言われた生徒たちは、急に困惑の表情を浮かべた。

 だが、少し間をおいて二人の生徒が同時に挙手した。リクレールとモンセーだ。

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