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軍靴の響き
1920年-夏-
プレファビア帝国は歓喜の渦中にあった。多様な人種、民族を包容したモザイク国家、大国であったプレファビア帝国は停滞の刻を過ごしていた。そんな中、魔術師とも呼ばれた外務官リュホールの巧みな政策が功を奏し、諸外国列強との交渉の末に帝国は新たな領土を獲得したのであった。新たな土地はインフラが乏しく経済的利益は得られないものだと、クローエを始めとする多くの国内の著名な学者が述べていた。しかし、何はともあれ新たな領土を獲得したとのことで皇帝は歓喜したのだった。
首都では盛大な式典が催され、そこには宰相ブロイテンの姿も見える。中心部の目貫通りでは新軍歌プレファビア・マーチに合わせ、兵隊が勇壮に行進している。
窓際からその光景を見ていた外務官リュホールの旧知の仲である官僚シャーはある種の不安を感じていた。新領土は加速主義を加速させる東の大国も目を付けていた土地であり、外交関係悪化は必然であると、彼もまたその側近も少なからず感じていた。
—変化は、唐突に訪れる—




