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Dear  作者: 雨神
導き
19/62

3-1



 少女が出かけて一息。


 白いソファーにだらりと腰かけている彼は流れ星色の髪の青年に問う。


 真っ黒の髪をたらりと流して。


「律ー?」


「はい、優さん」


 呼ばれた流れ星色の青年は忠犬よろしく優に歩み寄ってソファー横に腰を降ろした。


 優は紫暗色の瞳を細めて我が子同然の律の頭を撫でた。


 娘同然の蓮が喩えた通り、流れ星のように細い髪がさらりと優の指をすり抜ける。


 気持ち良さそうに目を細めた律に……申し訳ないが、訊かれたくないだろうことを、優は敢えて訊く。


「……昨日の、悪魔は……」


「若草色の、四枚翼だったそうですよ」


 重たい口を開く前に、かわりに重たい口を開いてくれた律に優は目を丸めて、苦笑する。


 ああ、本当に辛いだろうに。


 記憶に疼かない日はないだろうに。


 律と言う我が子は、いつも頑張ってくれる。


 それは蓮も同じなのだが。


 大きくなったのにも関わらず自分を『大切』だと恥ずかしげもなく言ってくれる律。


 しあわせであれ。


 そう願わない日はない。


 くしゃり、と頭を撫でもうひとつ問う。


 これは蓮が知らない律の役割のひとつ。


 とても大切な役割のひとつ。


「祈って……くれたか?」


 祈り。


 それは悪魔に……『散らせた』悪魔に捧げるもので、優にも出来ず、蓮にも出来ず、


 律にしか、出来ないこと。





『ぜんぶぜんぶなくなっちゃえばーーーーー』






「心から、きちんと」


 祈りました。そう言った律に、幼かった頃の律が重なった。


 まだ名さえなかった頃の、悲痛な少年は今や優のよき理解者であり、補佐であり、


「ついでに蓮のお使いが無事にすむことも」


 よき兄になった。……少しばかり意地悪なようだけども。





 


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