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雷魔法が最弱の世界  作者: ともとも
14/22

事故

次の日から貴族の息子が学校に入学してきた。


グラウンドで校長先生に紹介される。


「えー、今日からこの学校に入学されるお方です。さあ、自己紹介をどうぞ」


「今日からこのぼろ臭い学校に入学してやるカール・ドミニカだ。この俺が入学してやるんだ。無礼なことをするとどうなるかわかっていると思うが、よろしく」


横には昨日も護衛としてついていた、ガタイのいい怖い男性が立っている。


ほんと、関わりたくない……


自己紹介が終わると解散し、教室に戻った。


戻るとみんな、カールの話題で持ちきりだった。

上級の貴族で町を一つ権力で潰したことがあるや、可愛い女子を見つけては誘拐して召し使いとして働かせている、など根も葉もない噂がクラス中に流れていた。


「怖いな、あのカールっていう貴族」

意外にもいつもクールなカナメがこんなことを言っていた。


実力では勝てないものを要は恐れているのかな?

確かに、貴族の権力はすごいらしいからな。


「先生たちがおととい、私たちを実習にしたのはこれが理由だったのかな。それにしても面白くないな、先生たちが生徒に敬語を使ってるなんて」

ホノカはいつもと変わらない。


すると、セクアナが耳元に口を近づけて僕に言う。

「絶対、カールに魔法のことバレたらダメだよ。あの家族はサタンに殺された親族がいるらしい

から、トモヤが雷魔法を操るなんて知られたら、どんな酷い目に合うかわからないよ」


いつもセクアナは僕のことを心配してくれる。

本当に面倒見がいい。

それとも異世界に連れてきた責任を感じているのかな。


「関わりたくないね、あの貴族にはみんな気を付けないとだよ」

「そうだね」

ホノカも少し恐れているのか僕の言ったことに納得してくれた。


「ねぇ! 貴族の人ってそんなに怖いの?

隣のクラスに行ってみようよ! 

私たちでも仲良くできるかもしれない!」


いや違う。

ホノカは貴族を恐れてなどいなかった。

相変わらずいつもの明るさだ。


そんな、軽々しい発言にカナメは真面目な顔になる。


「ホノカ、そんな簡単に言ったらダメだよ。貴族とはそんな軽いものじゃない。

カール様だったらこの村のことを嫌っているからこの発言を聞いただけで何か罰を与えるかもしれない。

分かった?」


よほどカナメは貴族のことを恐れているのか、詳しく説明をする。


そのおかげで改めて発言に注意しようと自覚した。



学校も終わり帰る前に少しみんなと遊んだ。僕は魔法を出したら他の学年にバレるから出さないが、みんなの魔法を見るだけでも楽しい。


「はぁ……はっ!」

「うわー、セクアナすごく綺麗!」


小さな水の粒を空気中に出して、ゆっくりと地面に落ちてゆく。

太陽の光とも重なりあって、とても幻想的な景色だ。

まるで雪のようだった。


セクアナも成長してたくさんの応用技ができるようになった。


「まだまだあるよ!」


バチャ!

僕の顔面に水がかかった。

前を向くとセクアナが笑っていた。


「フフフフフ、水鉄砲! いつも苦労をかけてるお仕置きだよ」


地味にうざい……

「やり返しやる……こら待てぇぇ!」

「ハハハハハ、喧嘩するほど仲がいいだね」

「本当だ」


追いかけたが足が速くて、捕まえられなかった。


「私の魔法も見て!」


追いかけっこが終わると、次はホノカの番。


いつものように召喚のため、魔法陣が発生する。成長した大きなウサギが出てくるかと思ったが少し違う。


キュッ、キュッキュッ、キュッ?


ウサギの赤ちゃんが5匹くらい出てきた。


可愛い!


セクアナはすぐに抱き上げて可愛がっていた。


「うわー、すごく面白い!」

僕も抱き上げながら顔をほころばせる。


体が小さく、ぴょんぴょんと飛び跳ねている姿が微笑ましい。


「ふふん、私も色々試行錯誤したんだよ!」

褒められて嬉しそうだ。


なんか僕だけ魔法が使えなくて寂しいな。誰もいないところでまた、みんなに面白いのを見せたい。


「次は僕のだね、いくよ!」


ゴボゴボゴボ


地面が揺れた。

それがだんだん泥のようになり、硬かった地面が解けた。

これだけだと汚い……


こんなにで終わらないよね、カナメ。


「今から本番だよ。まずは木、そして花、最期はトモヤと一緒に作った露天風呂!」


カナメの言った通り、溶けた泥から木、花、そして露天風呂の順に変化した。とても細かく仕上がってる。

特に露天風呂は日本を思い出す上手な仕上がりだった。


「すごいね。昔、努力して作っていたものを一瞬で作れるようになるなんて」

「うん、イメージがしっかりしているから。これもトモヤのおかげだよ!」

照れていのか、頬を人さじ指でかいていた。



みんな楽しく遊んでいたが、一人の言葉によって絶望に変わった。


「おい!!」


「………」

「……」


みんな何があったのか分からず、固まっていた。

ゆっくり後ろを振り向くと貴族のカールが立っている。


「そこのお前! お前のせいで俺の服に泥がついたじゃないか。どうなるか分かってんだよな!

これは連帯責任だな……」


カナメはすぐに土下座をしていた。


……え? 

そんな簡単に頭を下げるの……



意味が分からず周りを見るとみんなが怖がっていた。いつも明るいホノカでさえ顔が真っ青だ。


「申し訳ありません、申し訳ありません! でも服を汚してしまったのは僕です。後ろの三人は関係ありません!

ですので、罰は自分だけにしてください!」

頭を地面にこすりつけながら必死に謝っていた。


「ふんっ、いい眺めだ。下人が頭を擦りつけて謝るか。もっと頭を下げろ! こうだ、こうやるんだ!」

そう言いながらカナメの頭を足で踏みつける。



カナメの姿をみて、徐々に頭に血が登る。


友達があんなことされているのだ。

止めに行かないといけない。


一歩踏み出そうとすると、セクアナに止められた。


セクアナを見ると、息が荒く、とても焦っていた。


「トモヤ、絶えて……カナメがあんなことになっているけど耐えて……トモヤが行けばこれからずっと矛先がトモヤに向く。しかも全校生徒がいる……トモヤの生活が終わってしまうかもしれないの……だからお願い……耐えて!」


必死だった。

僕を抑えてカナメを助ける方法を、セクアナは必死に考えていた。


「ふん! お前、本当に男か? こんな恥をかく男初めてだぜ」

「どうか、どうかお許しください!」


「俺がお前たちを許す……ふざけるな!!」


カールが叫ぶと同時にとてつもない風が襲う。


「うっ!」


風圧が強く、離れている僕達で立っているのがやっとだった。

それをモロに食らったカナメは大きく吹き飛ばされて、僕たちの後ろに倒れていた。


風によって地面を転がったせいで、擦り傷がいっぱいあった。


「キャッ!」


「カナメ!」


たくさんの人が見ていたが貴族の権力に逆らえるものはおらず、誰もカナメを助けなかった。


ホノカはここまで傷ついた人を見るのが初めてなようで、腰が抜けたまま動けない。


「お前のやったことは重罪なんだよ! 下人のくせに貴族様に泥をつけるなんて有り得ない。お前の顔をぐちゃぐちゃにして誰も近づけないようにしてやる!

簡単に言うと化け物だな、ハッハハハ!

後ろのお前たちもだ!」


カールの拳に風邪を凝縮したものが集められる。


「どんな顔になるんだろうな、鏡で自分の顔を見た時……クッククク、楽しみだな!」


「やめろ……やめろ!」


静かに声を上げ、カールを睨めつける。



僕は何もできないのか。

虐められている中、いつも仲良くしてくれていた友人を守ることもできないのか。

何のために修行してきた。

何のために今まで努力してきた。


助けるためにやってきたんだろ。

助けろ、今助けるんだ。


強く決意した。


「ごめんねセクアナ……僕はやっぱりカナメを助けるよ!」

満面の笑みをセクアナに向けて、飛び出してた。


「待って……」

その言葉は小さく響いてすぐに消えた。


「おら!!」


ガシ! ビリッビリビリ……


「……」

「そろそろやめろ……」

鋭い目付きで睨む。

同時に手に力を込めて強く握りしめる。


「お、お前っ! その魔法は……」

「そうだ、雷魔法だ」


僕がカールを止めた時、しばらく見ている人たちは動揺していた。


「おい、あいつ貴族に逆らいやがったぞ」

「貴族の魔法を止めた!」

など言っていたが僕の魔法を見ると、冷たい視線に変わる。

怒り、憎しみ、恐れ、様々な感情の目を向けられた。


ああ、全学年に知られてしまったな……


でも後悔はしていない。

ちゃんとカナメを助けられた。それだけで十分だ。



「俺に触ってんじゃねぇ、この世のゴミが!」

カールは手を払いのけて距離を取った。


この隙にガタイのいい奴が、僕たちの目の前に立つ。


「遅いぞ、ゲンブ! 何をやっていたんだ!

俺に無礼を働いたこいつらに罰を与えてやれ!」


カールが命令すると静かにゲンブという男は魔法を唱え始める。


手のひらから赤いものが凝縮される。


ヤバイ……ヤバイヤバイ!


こいつの魔法は強力だ。

逃げないと……


「セクアナ、早くホノカを引っ張って安全な場所に逃げて!」

「あっ、分かった! でもトモヤは……」

「僕は大丈夫、カナメを連れて必ず戻るから早く連れて行って!」

「分かった、絶対に戻ってきてね!」

「必ず」


僕はカナメを抱きかかえると、森へ逃げた。


「フレイム・ショット」


ボン……ドッカン!!


大爆発が起こり、すごい衝撃がきた。


「うわあぁぁぁぁ!」


ドカッ、ドカン!


地面に何度も打ち、転がった。



「はぁはぁ、良かった、危なかった……

カナメ、カナメ! 大丈夫? 生きてる?」


仰向けに倒れるカナメはゆっくりと目を開ける。


「うん、大丈夫。ありがとう、僕のために」

「いいよ、こちらこそ友達でいてくれてありがとう。これからもよろしくね!」


「これからは僕がトモヤを守るよ」

「うん、助かる」


爆発にぎりぎり巻き込まれず、大怪我をしなかった。

だが、高熱の爆発だったから無傷ということはなく、足を少し火傷してしまう。

カナメは僕が覆いかぶさったこともあり、あまり大きなけがはしなかった。むしろカールに与えられた傷が深い。


「今日は大変だったな、まさかあんなに注意していた僕が、問題を起こすなんて……」

「本当だよ、僕、とっても焦ったんだから」

「それにしてもトモヤ、顔丸焦げだよ」

「そんなこと言うならカナメだって、頭ボサボサじゃないか」

「フフフ、アハハハ!!」


僕達は大声で笑った。


今日は貴族に目をつけられ、カナメは酷い目に遭った。

僕は雷魔法を使ったことにより、学校の生徒全員にバレた。


信頼、信用を失った


だが、友達を守ることはできた。


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