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雷魔法が最弱の世界  作者: ともとも
11/22

友達

学校に入学して数日たった。


今は勉強をせず、この学校の案内や一年生を迎える会や遠足など、仲良くなるためにいろいろイベントがあった。これのおかげで少し喋るのが得意じゃない僕でもクラスの子と仲良くなれた。

昨日、先生が学校の卒業までの予定を簡単に説明してくれた。大体の人が興味がないのか、寝ていたり騒いだりしていた。先生も怒らなかったから、この話はそこまで重要なことじゃないかもしれない。でも僕は常識知らずだからしっかり聞いた。


その話によると、学校は9年生まで続いて、卒業すると自分の魔法を生かした職に就く。土魔法なら建築系、治癒魔法が得意な人は医者、他と比べると圧倒的に強い人は魔法騎士に推薦されるらしい。

基本的に魔法騎士団試験は誰でも受けられるが、貴族がよく出るのでほとんどの人が諦める。

それでも僕たちは目指す。


次に学問だ。

この世界には学問はあまり盛んではなく、大学や高校はないようだ。

魔法だけでいろいろできるから納得できる。

平均寿命は日本と比べるととても低い。だから十五歳で立派な大人と判断されるらしい。

お酒やタバコなどはこの時から飲むことが出来る。

たぶん僕は躊躇して、成人してもすぐにお酒は飲めない気がする。



今日から授業が始まる。


一応、この一年の大まかな予定をもらった。それによると、勉強は国語と数学くらいだった。あと月曜から金曜日まで4時間授業だった。

一年生だからそれくらいか……


そんなことよりも異世界らしい魔法という授業があった。

先生によると生徒それぞれの魔力量や、応用力をみて将来、生徒に合う職業を判断するためらしい。


魔法基礎、魔法文法、魔法実戦などなどいろいろ分かれていた。


今から魔法の授業のため、みんな体操服に着替えている。運動着は白の半袖と、青の短パンで動きやすい服だった。


この年だから男女混合で着替えるからセクアナが照れていた。


「あれ、セクアナ着替えないの?」

挑発するように言うと、こちらを睨みつけ、どこかへ行ってしまった。


まぁ、僕たちは記憶を持ってこの世界に転生したから当たり前か。



「よーし、全員集まったか。今日はみんなの魔法の系統と、どれくらいの魔力なのか調べる。だから今出せる全力を打ち込んでくれ。じゃあ出席番号順にやってくれ。まずアランだ。あの障害物を狙えよ!」

そして先生は指を差した。その先には先生と同じ身長である木の的があった。


「はい! 僕から行きます!」


そう言って元気よくアランは一歩踏み出した。

得意げに立ちながら手を前に出す。


「すべてを燃やす炎よ、この手に宿りて敵を打て、ファイアーショット!!」


ボンッ……


「よし!」


……えっ


彼の放った炎は小さくて、木に当たってもすぐに消ええしまった。焦げ目はついているけど、これだけ?

詠唱も長いし、威力も低いし、これがここでは普通なの?


僕はセクアナの耳元に近づけて聞いた。

「セクアナ、セクアナ、何あれ? もう終わりなの?」

セクアナも想像以上に威力が低かったから顔を引きつらせながらも答えてくれた。

「そうだね……私たちは修行をしていたから威力が強いけど、何も教わっていなかったらあれくらいかな……」

「あっ、そうなんだ……」

目立ってしまうから全力ではなく、的を壊すくらいの力にしよ」

「そうだね」


それからも僕たちはレベルの低い魔法を見ていた。


あっ!

あれはカナメじゃん。

見たことがある顔と思ったらカナメが準備していた。

いつも見ている優しい顔はしていなかった。

魔法を出すためにとても集中している。


「フーーー、グランドキャニオン!!」


その言葉と同時に、地面から石の柱のようなものが出てきた。


「ストーンクラッシュ!」

みるみる石は拳の形になり的に向かって飛んでいった。


ドーーーン


「おお!」

「うをぉーー」

ボロボロと音を立てて的が壊れた。

初めて的が壊れたので歓声が巻き起こった。


「すげぇー、お前すげーな」

みんなに囲まれてたくさん褒められていた。

この中なら壊すだけでもレベルが高いからな。


セクアナの番になった。

冷静にアクアカッターで簡単に的を壊した。

あまりに簡単に倒したからみんな唖然としていたが、少し遅れて大きな歓声が起こった。


次は僕の番だ。目立たないように頑張ってるような雰囲気を出そう。

みんな褒めてくれるかな。


「電気ショック!」

ビリビリッ!


大きな音を立てて壊した。


「……え」

「……ねぇ、あれって」

「……うわっ、おい、あれは……」

「……おい、見ろよあいつの魔法」

雷魔法を放った途端、みんな聴こえない程度にヒソヒソ話を始めた。

ある子は、僕と目を合わせるだけで怖がって離れてた。

先生も唖然と立っている。


これが雷魔術師の現実か……


「……あっ。トモヤ、おめでとう、よく倒した。さぁ次のやつ準備しろ」


「はい! では私、ホノカが次の番ですね」

「おっ、お前か。確か召喚魔法を操るようだな。お前は的じゃなくて、何か召喚して見ろ」

「はい、ではいきますよ。

聖なる友よ、今現れて敵を打ちなさい。いでよ私のパートナー!!」


下から魔法陣が出てきて、とても眩しく光る。ゆっくりと形が創られ、少し大きなウサギが現れた。


キュッ……シュッシュッ


そのウサギのスピードは速くて目で追うのが大変だった。

凄いなこの人も。これが召喚魔法か。


ホノカさんによる魔法にみんな見惚れて、僕が魔法を出した時より空気が軽くなった。


こうしてみんな魔法を見せて今日の授業が終わった。


「フー、それにしてもみんな個性があってすごかったなアラン」

「そうだな、いろんな魔法があるんだな。それに的を壊すやつもいたからなあ」

「本当な、俺たちも頑張ろうぜ!」


授業が終わり、いつも話しているグループの人たちのところへ行こうとした。

「アラー―ン、君の魔法もすごかったね。いいね炎……」


笑顔でそういいながらみんなの元へ行こうとしたが、彼らの言葉で足が止まってしまった。

「おい、僕たちに近づかないでくれ悪魔」

「そうだ。お前みたいな悪魔と話すことなんてねえよ」

「さわるな、服が汚れる」

「俺たちと同じ空気を吸ってんじゃねえよ!」

「行こうぜ……」

足早に彼らは去っていった。


今まで仲良くしていたのに雷魔法を見せただけで態度が変わった。

覚悟していたけど悲しい。まさかここまで変わるなんて。


今日、魔法を見せてからクラスでは白い目で見られるようになった。陰で悪魔と言われたり、怖がられたり。

そして友達がいなくなった。


このことを母は言っていたのか。


悲しみながらセクアナと一緒に帰ろうとした。僕が落ち込んでいたため、セクアナは何も言えずにいた。苦しい気持ちでいっぱいだったが、光が差し込んだ。


「ねぇぇぇぇ! そこの君、トモヤだったけ?」

「はっ、はい……」

友達に見捨てられてげんきがないところ、誰かに呼ばれた。

呼んでいたのはホノカで召喚魔法の素質がすごくある人だった。

そんな人が僕に用事でもあるのかな。

彼女とはあまり話していないが、赤色の髪が長く伸びていて、とても明るい人だったような……


「はぁはぁ、名前が合っててよかった。私はホノカ! 君の魔法が凄くて授業終わってからずっと気になってたんだ。今から帰るんでしょ? 私も一緒に帰っていい? 色々聞きたいことがあるから!」


他の人と違って明るく接してくれた。

とっても嬉しいな。


「あの、怖くないんですか? 悪魔と同じ魔法だけど……」

「なんで? 魔法が雷だけで何も怖くないじゃん」


その言葉を聞いて救われた。ああ、ちゃんと信じてくれている人もいるんだな。

落ち込んでいた気持ちもそれによって晴れた。


そして一緒に帰ろうとした。


「トモヤ!」

「ん?」

後ろを向くとカナメが立っていた。どうしたのかなと思っていると、腕を引っ張られてセクアナたちと離れた。


「ねぇ、セクアナ……たちと、一緒に帰るの? 僕も一緒に帰っていいかな?」

「いいよ。けど、どうして?」

「いや、その……なんかセクアナのことが……気になって、いろいろ知りたいなって思ったから……それにトモヤは兄弟だから何か知っていることを教えてほしいし……」


あっ、わかった。たぶんカナメはいつからかわからないけどセクアナに恋してるな。

そんなことが分かると少し僕はニヤニヤしていた。

応援したいな。


僕は快く、いいよと返事した。

それにしてもカナメは僕を怖がらずに、態度も前と変わらず接してくれて嬉しいな。


「さて、みんな帰ろうか!」

セクアナとホノカは僕たちの方に寄ってきた。


「うん、そうだね。それにしても今、カナメとなんの話をしていたの?」

「うっ……それは男同士の秘密だから内容は話せないよ」

「そう」

少し気になるのか、セクアナはカナメの方を向いた。

カナメは絶対に教えないと思うが。

でも今、二人は見つめ合っている。いいね、青春だね。


カナメはもちろんほっぺが赤くなっていた。



こうして僕たち四人は並んで仲良く帰った。

たくさんの避難をみんなから浴びせられた。

本当は悲しい。


けれど今は、友達がいなくならなかった事を喜んでもいいよね!


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