ゴブリン
我、ゴブリン。
名無しである。
だが、我、こうして意志ある魔物の一つである。
さて、我、手には馴染み深き太き木の棒を持つが、いずれはなりたいと思い潜めていた願望、ゴブリン騎士となる願いがある。
今我、人間と呼びし、一つの戦いの場にある。
向かってくるは人間の小童。
だが、魔法を使う厄介な小童。
我はゴブリンなれど、並のゴブリンよりは強い。
先輩のくろはがね様には叶わぬが、その背は見えてきている。
さて、今、我には騎士として守らねばならぬ存在がある。
一つは年若きゴブリンには珍しき白き肌の目に何かをつけたロード。
小さき身なれど見たところ、まだ成りたてのよう。
魔法も拙き存在である。
いわば、ロードの子のようなものだ。
そして、その後ろ、幕に触れられぬが、さらに守らねばならぬものがある。
我はその二つの存在をお守りすべく、前に出る。
人間の小童がなにか叫んでいる。
その途端、手から火が飛び出す。
咄嗟に、手の棒で払う。
木の棒であるが、太さがあるし、硬さもある。
火は小さく吹き散らされた。
だが、水が、石の礫が、そして、一番厄介であったのが風にまぎれての砂の目潰し。
そこから次々と火が襲い来る。
だが、我はゴブリン騎士を目指すもの。
守るべきものがあるゆえに、存在するもの。
でなくば、目指す意味なきものである。
ロードの子は、有無、やはりゴブリンとして近く戦うやり方も知っている。
子どもゆえ拙いが、それでもその小ささでロードに上り詰めた才ある者。
時間さえ許せば強くなれるだろうに。
前には我の前進たるものの群れがどんどん小さくなる。
そして、そこから次々と人間の小童が前に出てくる。
我を含めて三つ。だが一つは封印されていて我にもロードの子にもどうにもできぬ様子。
触れられぬ幕をどうにかできればよいのだが、泣き言言っても始まらぬ。
ロードの子は必死に応戦している。
珍しき光の魔術を使いて迎撃している。
見事。
なれば、目のくらむ輩を我が倒そう。
前に進み出、なにか叫ぶ雄の小童に一撃。
有無、気絶したようだ。
本来ならもう一撃加え命を刈り取るところだが、数が多い。
今はこれでいい。
む、何やら力が湧き上がる。
よし、子を、そして、その幕の中の御方を守るため。
我は戦う。
戦う・・・・・
この話と、次のメル視点、それから呪符の幕の中の魔物視点、それが終わったら・・・・・
シリアスはお亡くなりになります。




