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演習場訓練



 自分の考えを実行に移し、開始して一時間。

 ダンジョンはすぐに見つかり、いざ行こうと入口へ入っていこうとしたら首根っこをひっつかまれて監視員に止められた。

 続々と主と使い魔のペアを組む魔法使いが集団で実地訓練に行っているのを尻目に儂はこうして足止めをくらっていた。


 「ふむ、猫ということはお前1年次生サイドの使い魔か」


 そういう強面のおじさんは魔法使いの教師用ローブをはおっているがぶっちゃけていえば山賊のようなマタギの格好のほうが似合うんじゃなかろうかという筋肉質な男であった。

 その男がギョロッとこっちを睨むわけじゃが、なに、儂なんぞ前世も合わせれば云十年以上の開きのある年の差じゃ。

 そう思えば、可愛いものじゃろうて。

 「ふん、動じないような顔だが、ここはお前さんみたいに分からづやな使い魔が来るところでなくきちんと主を立てる使い魔が来るところだぞ」


 とあごでそこをみろと視線を儂もたどれば、何種もの使い魔たちがそれぞれの主人に付き従う様子が見える。

 若干、覇気がないようにも見えるが、従順であるのは間違いない。

 荷物をもったりしているものもいれば、首輪につながれている者もいる。

 従者のように、言葉を悪くすれば奴隷のようにしてついていっている。

 その主はほかの仲間と笑いながら話して歩き、たまに遅くなる使い魔にはにらんだり軽く小突いたりして進むのを促している。


 ひどく使い魔が哀れに思えるが


 「あれが正しい使い魔の姿だ」


 とこの監視員はのたまう。

 なんでも、使い魔に強気になれる魔法使いはその使い魔よりもポテンシャルは高いということで、要は上下関係がしっかりしているというあかしでもあるんだとか。

 何それ?

 と思い、その場にいた全員に識別の瞳を使っていたが、使い魔にはそれぞれに特殊なスキルが、主の魔法使いの生徒にはランクが2以上がほとんどで中には3のやつもいたが、総じてスキル項目に『魔法』とあり、地・水・火・風・無のそれぞれがあったりなかったりといった具合であった。

 それほどの魔力の数値化は見えなかったが、使っているうちに



 ピコン



 とやたら聞き覚えのある小さな軽快音がした。

 ん?と思い、なおもぐちゃぐちゃと言う監視員のおっさんを尻目にこっそりウィンドウを開けてみると


 猫魔術(Lv.2)


 となっていた。

 あー、あれ、レベルアップの音か。

 ほぼカンストしていたからレベルアップの音を忘れてた。

 んで、レベルが上がったからなにか使えるようになったのかと思ったら


 見切りの瞳


 というのがあった。

 なんだろと思っていると


 「こら!きいてるのか!」

 

 と猫相手に何をいっているのかと思っていたらやおらげんこつを食らわせようとしてきた。

 咄嗟にさけようとしたが、ん?とも思うところがあった。

 何やら攻撃動作が線になって見える。

 動きが遅くなったりというわけではないが、なんとなく動作が予測できただけにそれにあわせてころんと転がってかわした。


 「あ、こら・・・・って、はぁ、まぁいい。ともかく、ここには来んなよ」

 

 そう言って今のはなんだろ?と思って油断していた儂の首根っこをもったあと、庭園にぽいっと放り投げられた。


 ま、猫なのですちゃっと着地。

 

 ともあれ、ダンジョンに入るのは容易ではないようじゃな。

 しかし、先のあのモーション予測じゃが、これ、補助機能のうちの回避行動ではなかろうか?

 うーむ、ますますもってこの猫魔術、補助機能を使えるようにする魔術のようじゃな。


 今のところはその認識で今後もしかしたら収納の機能もつかえるようになるのではないか。

 だとしたら、先は使って魔術レベルを上げることができたわけじゃから、今後もがっつりつかっていけれればいいな。


 ただ次のレベルはいつになることやら。

 さっきもけっこうな人数見たわけじゃが、それでようやく2になったわけじゃから単純に考えればその倍は必要になるやもしれんの。

 

 

 使い魔も入れて200はいたと思うがうーん、一度見た相手は経験値的においしくない気がする。どうもぱぱっと見れる感じがするのでそう思うのである。


 あー、あと○○で次のレベルにあがりますとかいう表示があれば楽だがそれがないのが痛いのぉ。


 

 ま、そのうちあがるじゃろうから気長にやるか。


 さて、ダンジョンがダメになったということはうーん・・・・そういえば、今手持ちの魔法が他にもあるわけじゃが、どれほど使えるのか、ちょっと確認しにいくのもいいか。


 では訓練用の演習場にでもいくとするかの・・・・・







 で、いってみたわけじゃが、いやぁ、放課後ともなればはでじゃのぉ。

 というか、近づくにつれてけっこうな騒音が聞こえていてそろそろ夕食時になるというになかなか賑やかなことじゃが。



 「我が氷の化身よ、その身に集いて顕現し、我が身と我が魂を護り給え!凍れる壁!!」


 その言葉が響けば高さは2mくらいの氷の壁が出たかと思えば


 

 「我が風の眷属たち、この身に触れなんとする敵に、刃となりて、敵を切り裂け!風の刃よ!!」



 と叫べば藁でできた的に亀裂ができて行く。

 


 ともあすれば


 「炎よ、炎よ、大炎よ。その身表して・・・・うあ!!」


 と何やら炎の魔法を失敗したのかぼかんと爆発する。

 「きゃー」と叫び声が一緒に響くところを見るとあー、余波で巻き添えになったか。

 けっこうな轟音じゃったが幸いやけど程度で済んだ模様。

 どうもこの演習場には結界が貼られてあり、致命傷に対しては絶対防御がはられるようで、どれほどの魔法をくらっても傷をおいこそすれ死ぬことはなく、あーいうのもそこそこのやけどで済むようである。

 とはいえ、どうも回復手段は薬草か薬のみのようで回復魔法とかはないようである。

 その証拠に、救護室のような簡易のところには山と回復薬が積まれているが、回復魔法を使っているような様子はなく、今もせっせと回復薬を作るのに調剤している魔法使いの様子が見て取れる。

 魔法使いの学園なのに回復魔法がなさそうなのがちょっと不思議である。


 まぁよいか。


 どうも生徒ばかりで使い魔はおらず、儂が訓練するには体裁が悪いように見える。

 うーん・・・・・別の場所にうつってみるか。



 とすれば、どこがいいのかのぉ。



 きょろきょろと見れば、あ、メルがおる。

 魔法の練習をしているようじゃな。

 うむ、関心じゃな。


 「我が手にするは、基礎、基の果てのその果て。この身に宿る魂の源泉を形に変えて、今ここに敵をほふらん」


 詠唱を終え、構えた手に魔力が集まり、さほど遠くない平たい的に何かがコツンとあたる。

 無属性の弾といったものじゃな。

 ふぅむ、威力は小石が当たった程度か。


 弱いのぉ。


 まぁ、メルは一年次なのじゃし、それにまだまだレベルも初期のようなもの。

 今後しっかり鍛えたらきっとばけるじゃろうな。



 そんなことを考えていると、ん?メルの周りに何人か寄ってきて、ん?確か、教室の中で見た顔ぶれじゃ。


 「おい、落ちこぼれがこんなところで偉そうに訓練なんかすんなよ」

 「ここは俺たちが使うんだからな」

 「あっちいけ」

 「駄メルティ、ダメルティ」

 


 おい、本人は真面目にやっているうえにしかもそこって演習場でははしのはしだぞ。

 


 なんかふつふつとあの罵倒している少年たちに対し、義憤にかられるものがあった。

 それをメルは苦笑するだけで何も言わない。

 このまま押し通されるつもりか?

 一人だから、何もできないと、よってたかって弱いものいじめ。

 教室では教師まで混じってのものとここにきたばかりで状況がつかめず、唖然として、何が何やらで何もできなかったが、ここは演習場であり、魔法だか魔術だかとにかく使用してもいいんだよな。


 なら・・・・



 「シャーーーー!!!」


 なんか蛇みたいな声になったが、猫である。

 だけど、一気に駆け出して、少年たちとメルの間に立ちはだかった。

 ここで、このガキどもにお灸を据えてくれる!。


 ついでに魔法の実験台にでもしてくれようぞ。



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