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※再開と同行


 やってまいりました、都市迷宮。

 もう道順もしっかり覚えてた。

 で、今は昼の中頃ゆえ、どんな感じかなぁと思っていたら・・・・・



 「おい、ねーちゃん、生二つ」

 「腹にたまるもんくれー」

 「骨付き肉追加で」

 「そこにかけるな馬鹿」

 「うっせー、レイズだレイズ」

 「ここで・・・・どうだ」

 「うがーーーー!!昨日の儲けがー」

 「きゃー、だれ?今触ったの」

 

 ガゴッ!

 

 「誰かー、俺らのパーティーに入らねぇかぁ?」

 「求む、素材。いいもんつくりまっせー」

 「鑑定はいらんか?」


 がやがやがやがや・・・・



 ・・・・・賑やかじゃのぉ。

 なんか感覚として前世のパチンコ店と居酒屋を混ぜたようなものな感じじゃな。


 というか時間関係なしに賑やかなのかのぉ。

 

 まぁ、いいや。で、向こうをみればフリーパスで通れる迷宮の入口。

 よし、とっとといくとする――


 『おい』

 

 ん?呼び止められた。

 って、この声は。


 『おい、お前、こっちだ』

 

 そう言われてテーブルの上を見れば、ああ、タマさんか。

 

 『よ』

 『よ、じゃない。また日を置かずにやってきたってのーのか。物好きだなぁ』

 『ほっほっほっ、そうもいっとれん事情があってのぉ』

 『そうか。まぁ、なんだ、一度無事にこうして出てまた入ろうって気になったのならもうだいたいのことは知れておろう』

 「まぁ、だいたいは・・・・って、おい、タマさんや。そういえば、迷宮の中、猫魔物がレア魔物だって聞いてなかったぞ。少しくらいは訓戒くらいしてくれんかね」

 『ふん、そんなもんいったところで無駄だろう。それよりも実地で体験すれば嫌でも思い知る。っていうか、それを知ってなお入ろうとするってことは本当によほどの物好きか、バカかお前は?』

 

 バカとはしっけーな。


 『ま、いい。そういえば、ほれ。これいるか?』

 

 そう言われて出されたのはひとつの小さなポシェット。

 人が持つには小さすぎるが、わしくらいならちょうどよい大きさじゃが。


 『なんじゃこれ?』

 『ほれ、収納用のポシェットだよ』

 『収納用?』

 『まぁ、個数制限と重量制限はあるが魔法道具だよ』


 え?ということは、これって。


 『お、表情を変えたな。お察しの通り、これは持ち運びしやすいようにできる魔法のポシェットだよ。素材系を集めるのに、お前さん、必要だろ』

 

 おおおお、これはまたレアなものをぽんと。

 あのガリバーが持っていたものじゃろうか?

 刻印はないから別物じゃろうが。


 『って、ちょっとまて、なぜにこれを儂に?』

 『ん?あの貴族のボンボンが迷宮内に忘れていったものらしいんだが、なんかあいつに渡すのも癪な気がしてな。俺が作り直して拵えてやったんだよ』


 なーる。というかその猫の手で再ほうができるのか?すごいなぁ。


 『ん?ああ、この手でやったのかと疑問に思うか。まぁ、そうだな。俺のランクくらいになれば人化の術が使えるからな。それでちゃちゃっと縫製しただけだよ』


 『ん?人化じゃと?』


 『そう。ランクを一定値あげたら自然と使えるようになる。ランクや練度があがれば変身できる時間は長くなるな。それに身体能力も跳ね上がるな。もっとも戦闘なんぞしようもんならあっという間に変身は解除されるがな』



 ほほぅ、時間的な制限はあるがそれはなかなかスゴイ術ではないの。

 

 一種のウルト○マンになれるやつじゃな。

 そういえば、初期はわりと無制限に変身できていたが途中、3分に変更されたんじゃよなぁ。

 確か、当時のプロレス人気にあやかってのものじゃったかのぉ。

 

 『どのくらいにあげたらできるんじゃ?』

 『あー、確か三回目にランクが上がった時にできたな』


 なるほど、ということはランク4でなれると。

 ちょいと先は長いのぉ・・・・・



 いや、ここはいっそ目指してみるか?

 二週間みっちり地獄のキャンプということで。


 『そうか。ともあれ、ポシェットはありがたくいただくとするかな』

 『おお、そうしろそうしろ。それに何か面白いものがあればもってこい。見てやるからな。まぁ、ポシェットはそれにたいしての先行投資といったところよ』

 ふむ、そういえば鑑定持ちじゃったかな。

 なんというか商売人ならぬ商売猫じゃの。


 ともかく、ありがたい。 

 探索するにもアイテムのあるなしは相当に違うからの。


 『おお、そういえば、もうひとつある。おい』


 タマが後ろを振り返る。

 すると、物陰から一匹の猫が姿を現した。

 おお、あのアメショじゃないか。


 『アメショちゃんか。元気しておったか?』

 『うん、元気してた。というか生きて出てこられたんだね。遠くからご主人様が来て心配層にしていたのを見てたけど、やっぱりあなただったのね』

 

 声の中にとても羨ましそうな響きがあった。

 

 『ほっほっほっ、そう簡単に死にはせんよ』

 『そっかぁ。そだよね。あはは』


 アメショがひとしきり笑う。

 笑ったあと、目に浮かべた涙をふいて、何かを決意したようにこくりとうなずいた。


 『ねぇ、私もついてっていいかな』

 『・・・・はっ?』


 何に?どこへ?

 儂、これから迷宮に行くんじゃが・・・・・まさか。


 『私も迷宮に行く。で、考えてやりたいことがあるの。うまくいくかわかんないけど、でも行く』


 何を考えていくのかは知らんが、


 『生半可な覚悟で行くものじゃないぞ。それに儂、急ぎの用事が』

 『ううん、それでも、いや、それだからついていく。ダメでもついていくからね』


 うわ、これは言っても聞かなさそうじゃな。

 うーむ、なんかこれで断っていざなかに入って冒険者なり魔物なりに狙われて・・・・・



 これは死んだら寝覚めが悪いな。


 『はぁ、わかったよ』


 少しの間逡巡したが、同行を許可した。

 これは苦労するかのぉ。


 ため息をつく儂じゃが、その横でくるくるまわりながら上機嫌に浮かれるアメショがいた。



 『とりあえず、あのときは名乗ってはいなかったの。改めて、儂はサンじゃ。よろしくの。えと、名前はまだないのか?』

 『あ・・・・うん・・・・・ない、けど・・・・』


 上機嫌が急にやみしょぼくれる。


 『じゃ、とりあえず、アメショじゃろうから、アメでよかろう。よろしくの、アメ』

 『あ、アメ?!な、名前?!』


 急に驚いた表情を浮かべる。

 次いでタマもきょとんとしたと思えばこちらも驚いた表情を浮かべた。


 『ん?どうした?』

 『う、ううんううん、全然。なんでもないよ。うん、アメ、アメね。うん、いいかも』


 にへらと笑ったあと、小声で『なんだ、すぐに叶っちゃった。でも、どうして・・・』といったすぐに上機嫌に戻った。はてなんのことやら?


 ついでに識別の瞳の中で、ステータス欄にこやつの名前の欄が急に追記された。

 名前はアメ。

 ほぅ、とりあえず、名前つけれれば登録になるのか。

 ま、よいか。

 『では行くか?』

 『う、うん』


 ポシェットを下げ直して共に連れだって奥へと向かっていった。


 ちなみに冒険者の視界になるべくはいらんようにこっそりと。



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