↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
39/69

埋まる外堀


 その後、担任があーだこーだと言っていたが、要は一年次のための大規模演習ということらしい。

 しかもはじめて使い魔を手にした魔法使いという事で各家々に対して対外的に喧伝する意味もあるんだとか。


 未来においての新進気鋭の若者達の素晴らしさを実際に目にして頂くため


 というのがスローガンなんだとかいっていた。

 まぁ、毎年やっていることらしいのでそれに対してはいい。

 問題は中身である。


 「まず内容だが例年通り学園側が用意する魔物を使い魔を使って駆逐せよ。そして、フラッグとして魔王役のものにそれぞれ一撃以上与えることができれば終了とする」


 というものである。

 この魔王役というものは要は敵陣営における勝敗をわける役で、制限時間内に上記の内容をおさめることが最重要となるんだとか。


 で、その役に選ばれるものは、最も成績の悪いものがなるのが慣わしなんだとか。


 それって、同考えても現状ではメル以外におらんではないか。


 それならそれで致し方ないとも思えるが、周りの生徒の様子を鑑みるに、妙な雰囲気を感じ取り聞き耳を立てていると


 「例年よりも早いわね」

 「準備がまだなのになぁ」

 「親密って短い期間では無理よぉ」

 「訓練密度上げないと」


 とか聞こえてきた。

 うーむ、やはり解せん。

 それでもやる以上は致し方ないが・・・・・妙に担任教師のにやけ面が貴になる。

 

 「ダンジェス、魔王役と言うのがいかなる意味をもつかよくわかっているな。これをばねにしっかり向上して底からはいあがるくらいの気概を見せるんだ。みんなもしっかり協力するんだぞ」


 うーむ、セリフだけを聞けばとても立派な事に聞こえる。

 それに応える生徒も


 「はい」

 「いいぞ」

 「やってやるぜ」


 とやる気にみちているが、どう考えてもその表情と雰囲気からは、やる気はやる気でも殺る気という所に聞こえるから物騒である。



 これは、完全に意趣返しだ。

 原因は分からんが、あの巨蛇をけしかけられてたときのあれで間違いは無いじゃろう。

 わしには他に思い当たらんしな。

 


 ともあれ、魔王役か。

 けなげなメルには魔王よりもそれにさらわれた王子役のほうがよほど似合う気がする。

 眼鏡のせいでわりを食っておるが、外してそばかすをなくすことができれば、かなりの美少年になるじゃろうに。


 教室内は完全にメルを魔王役にすることに決定しているようすであり、その魔王も種族まで設定されてしまった。

 よりにもよってゴブリンの王だとか。


 この世界においてゴブリンの位置づけは弱者、厄介者、害獣、亜人にも劣る魔物。


 それの王たるや醜悪、暴悪、害悪、性悪なる人類の敵に属し、物語でもほぼやられ役である。


 悪意しか感じん。

 そして、教師もそれをにこやかに応じて採用しよる。


 悪意だけがあるのみか。


 そんな中渦中のメルはただただ苦笑いを浮かべて呆然となるのみで何もいえないでいた。


 「にゃーにゃーにゃー!!」


 わしのみ大声で鳴いて抗議するも完全に無視。

 

 あれよあれよという間に内容は進み、授業が終わる頃にはちょうど今から一ヵ月後に一年次においての正式に魔法使いになったということのお披露目式とそれに伴うデモンストレーションで、先の演習を行う運びになった。


 その間、メルへの援護はゼロ。


 ただメルは顔を伏せ、教科書を読んでいるのかいないのかといった風情で嵐が過ぎ去るのをただじっと待っている様子であった。



 ・・・・・これはどうあっても、目にものを見せんといかんの。

 というか、わし、ここにきてこればかり思っておるような気がする。



 相当か。




 おほん、よし、貴様らがメルをゴブリンの王とみなしているならそれもよかろう。

 だが、ゴブリンなめんなよ。


 こちとら異世界物もけっこうざらに読んだし実際にゲームもしたことのある日本人ゲーマープレーヤー。


 大成することがあるということをここにいる全員に知らしめてくれようぞ。


 ただ、一月では明らかに色々な面で時間が足りん。

 メルを強くするということならなおのことじゃ。


 天凛がここで邪魔をしておるからの。


 ならば、どうするか。

 学園迷宮は以前止められた。


 では、とにかく訓練所に現実においては向かうほかないか。



 うむ、と思い、念話でメルと話し、あまり気乗りしない様子であったメルを叱咤して、激励もしつつで、授業が終わると同時に、訓練所へと足を向けていった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。