そしてわしも獲物?!
さて、迷宮内に入ったわけじゃが、おかしい。
いや、別に何がどうおかしいというわけではない。
なんとなく体に違和感というか妙にまとわりついた感触があるが、それはおいとくとして。
周りを見やれば石がむき出しの天然っぽい洞窟、鍾乳洞とかそういったところか?
山口の秋芳洞とか、そういうのに似てる。
ただ、そこここに人工のあとがあり、完全に天然というわけではない。
そして、入口付近ゆえにまだ人の数はあるものの、あの大量の人が一体どこ生きえたとばかりに閑散としている。
うーぬ、これはガリバーを探し出すのは容易ではないぞ。
来てそうそうであれじゃが、地図の瞳で常時マップ確認しなくては迷いそうじゃな。
地図の瞳。ウィンドウ確認。
今いるところは一階層、入口付近の第三広間か。
ここは名称があるようじゃが、あとは空白となっておる。
地図を確認しつつ少し歩いて能力確認したが、どうやら歩いた先から周囲10mくらいが埋まっていくようじゃな。
で、埋まったところはずっとなくならず記録されるようである。
これが自動生成系だともしかしたらまた初期化される可能性があるが今のところそういう洞窟ではないことを祈りつつ先へと進むとしよう。
そのへんの情報は帰ってからタマなりに聞けばわかることじゃしな。
識別の瞳も込みでこの地図の瞳は常時開くようにしておこ。
さーて、きょろきょろみるにまた二つの道に分かれているみたいじゃし、ちょいと進むか。
と、進みかけたところで
「おっ!当たり猫じゃねぇか」
「まじか!」
「おっしゃラッキー」
おや?ところどころで声が上がる。
わしを見る視線がどんどん増えていく。
まばらな人であれ、それでも広い空間であるのでそう思えるが、合計したらそれなりにいるということか。
いやぁ、なんか今までハズレハズレいわれていたものだからこうしてあたり言われるとちょっとうれしいな。
ふむ、見たら幸運を呼ぶとかどこぞの黄色い新幹線みたいなものだろうか?
視線にも熱がこもっておるな。
いやはや人気者は困るなぁ。
って、ちょっとまて。
なんでそこの男、剣を握りなおす?
なんでそこの女は舌なめずりをして短剣をかざす?
なんでそこの者は弓を引き絞る?
なんでそこの者は懐から危なそうなものを取り出す?
「おっしゃ、経験値稼ぎ一番乗り!」
「ずるい、私の獲物なんだから」
「猫の魔石は高価。猫の魔石は高価」
「一気に強くなれるぜ!」
一斉に冒険者がこちらへと向かって殺気立ってやってくる。
う、うそだろ?!
なんでこうまでして、追いかけてくる?
ギルド前には猫がいっぱいいだろ。
どうしてこうも追っかけてくるんだ!
「にゃーーーーー!!」
「イキのいい奴だ。よっしゃ、逃がすな」
「あの、なんで猫を追いかけてるんですか?」
なにやら新米の冒険者が横のベテラン冒険者に尋ねているのが聞こえた。
「おお、お前は新米か。へっへっへっ、そりゃ、迷宮の中にいる猫って言ったら別名『力招きの猫』っていってそいつを殺したやつには迷宮に役立つ貴重なスキルに力の上昇、おまけに猫が出す魔石は超高価のレインボージュエルってやつなんだぜ」
「え?でも、酒場にもいっぱい猫いましたけど。それが迷い込んだんじゃ」
「んなこたねぇよ。迷宮には特殊な結界があってただの猫は入り込めねぇ。なんか、魔法使いのペットの中にも猫がいるとか聞くけど、自立して遠くまでくる猫なんて聞いたこたねぇし、使い魔ってな、魔法使いのそばに侍るもんなんだぜ」
「へぇ、そうなんですか」
「だから、迷宮の中にいる猫は幸運な猫なんだ。お、すばしっこいな。俺たちも参戦するか。パーティでいけば、少しはおこぼれもあるっていうしな」
「そうなんですか。ありがとうございます。じゃあ、早速行ってみます」
な、なるほど、つまりはぐれなメタルさんな扱いなんじゃな!
こりゃ、まずい。早々に奥へと引っ込もう。
こうなると迷宮内で冒険者に会うのは危険である。
なるべくこっそり行くようにせねば。
強化計画に大きな歪ががががが。
「まてー!」
「にがすなぁ!!」
「にゃーーーーーー!!!!」
儂は『唸れ闘魂』『足よ風になれ』のごとく冒険者たちに矢もて剣もて追われる中、必死になって逃げて逃げて逃げまくり、どんどん奥へと進んでいった。
壁がうごめいているのを周囲の誰も気がつかずに・・・・・
日曜はちょっとお休み




