はじまり
ちょっといろいろと悩んでいてリハビリがてらに書きました。
某月某日の某所にて
ひとりの老人が孤独死していた。
別に誰に悔やまれるでなく、惜しまれるでなく。
静かに誰もいない部屋で死んでいた。
彼の趣味はそのとき流行りであったVRによるMMORPGであった。
当然、死んでしまったことにより、強制オフとなる。
死因は心臓発作。
突然死の部類である。
ただ、それだけ。
周りにほかに趣味になりそうなものはない。
強いて挙げればいろいろな雑書の類か。
ちなみに、その唯一の趣味のオンラインゲームではそのゲーム内であれば誰もが知る人であった。
だが、別に彼が消えてもまた新しい人が繰り上がるだけ。
そんな泡沫な、とても寂しい人生。
(儂、一人じゃのぉ)
基本ソロで動く彼は常にそう思い、そして、死んだその瞬間もその思いは傍らにあった。
(せめて気心知れる人と・・・・)
そして、しばし、暗闇をたゆたう中、ふと老人はひとつの声を聞いた。
『――たれ 疾く来たれ 悠久の流れ 永遠の道より 魂の片割れを顕現せしめん 疾く来たれ 疾く来たれ――』
その声と共にどこか甘やかな雰囲気に惹かれ老人は徐々に意識はそちらへ引っ張られ、光の中へと入って、そして、意識が色付きを取り戻したとき・・・・・・
どこか疲れた表情のパッとしない瓶ぞこメガネの少年にチューされてた。
ぽかんとなった。
呆然となった儂、ふと手を見れば、見慣れない肉球付きのぷにぷにお手手・・・・
儂、小さな猫になっていた。