現状認識
「うーにゅ」
しかめっ面な顔をして儂はうなる。
なにがどうしてこうなっておるのか必死に頭をコネ繰り返している。
儂が最後に見ていた光景は、オンラインゲームにてラスボスの先の裏ボス級の敵とタイマンしておったところ。
ちなみに、そのとき儂はファンタジー系のゲームにて魔導師職の派生系で『全魔師』という、地・水・火・風・光・闇・聖・邪・無の九つの属性があってその全てを収めたオールラウンダー系の最上位魔導師じゃった。
レベルは無論限界突破も使用してのカンストにけっこう称号もたくさん集めて底上げし、ラストバトル用にと素材も苦労して集めた装備で戦闘中で、相当な時間をかけてよっしゃ倒せた・・・・けど、倒した瞬間、寂しいなと思っておった矢先のできごとじゃった。
うーぬ、状況が読めん。
いや、わからぬでもないところはある。
チューされて10分後。
一応、呆然としておった儂でも多少周りの状況を見る余裕は生まれるものじゃ。
ここはどうももといた日本とは違う場所のようじゃな。
綺麗な外国の子供たちが多く、某魔法学校のような場所のようじゃ。
今いる子達はどの子も魔法を志す者のようでいたるところで魔術の訓練やら使い魔との連携を練習していたりしている。
で、わしじゃが、
「さっきからきょろきょろしてるけど、もう授業は終わったからお話しようよ」
どうやら今抱っこされておるこの気弱そうな少年の使い魔になったようじゃ。
一応、名前も召喚直後に告げられた。
『え、えっと、『メルティウス=ダンジェスが、汝、現界に、顕現せ、しめし者、なり。け、契約に基づき、我が背にて、喜びと苦しみ、知と武を、共に、研鑽を』』
といっておった。
うむ、その言葉の直後にこの世界の口語に関しては理解でき、かつ、名前を知り得たわけじゃ。
もっとも、度々文字などにすれ違う機会があったが、それは読めんかった。
何が書いてあるのかはよくわからないがそれぞれ<○○教室>とか<△△研修室>とかそういうものじゃろう。
数字だけはなんとかわかる記号じゃった。呼び出されたのが一階中庭で今いるところが三階。
向かっているのはこのメルティウスの教室じゃろう。
で、移動中、しきりにこのメルティウス・・・・長いのぉ、メルでいいか。メルに話しかけられておったが、儂としては現状把握に忙しく、きょろきょろ見てはじっとして身体的な何かを探っておった。
とりあえず儂はここでは何をどう言おうとしても
「にゃー」
という形でしか言葉が出ないようである。
しかし、それでもいくつかできることはあった。
(オープンウィンドウ)
念じると自分の目の前に四角いモニターが現れて自分のステータスを数値化し、スキルといったものも一緒に見ることができた。
この辺は以前儂がやっていたオンラインゲームでも似たことができたのでもしかしたらと思ってやってできたことなのでこれまた呆然となっておったが、このモニターが出た瞬間、抱っこされておる少年に何か変化が!と思って見て見たが特段何の反応も示さなかった。
というか、どうも見えていないようであった。
きょろきょろとして周りをみてもそういうモニターを映し出しているものは使い魔も含めておらずではわしだけしか見えないものなのだろうと納得してしばし、モニターを眺めていた。
ステータス配置、スキル構成欄に関してはオンゲーとほぼ同じだったので見やすくなっておった。
ちなみに、以前の儂のオンゲーの頃のステータス・スキルはこんなかんじ。
職業:魔法使い
ランク:10Max 全魔師(精霊を従える者)
筋力 9999‐
敏捷 9999‐
生命 9999‐
魔力 9999‐
知力 9999‐
精神 9999‐
器用 9999‐
魔法スキル
地魔法(Lv.100Max)水魔法(Lv.100Max)火魔法(Lv.100Max)風魔法(Lv.100Max)光魔法(Lv.100Max)闇魔法(Lv.100Max)聖魔法(Lv.100Max)邪魔法(Lv.100Max)無魔法(Lv.100Max)禁術(Lv.50Max)
といった具合で、ステータスも魔法系統もすべてカンストさせておった。
ちなみに他にもパッシブスキルとして自動HP・MP回復や状態異常耐性などいろいろとあったりもしている。
ここに装備系の底上げもして、相当入れあげまくって作り上げたものじゃ。
ちなみに補助スキルでは収納とか家事一般とか木工とかメイキング系でいろいろあるんじゃがそれは別枠ということで外す。
収納と識別以外はランクは関係ないのでいいんじゃが。
まぁ、そういうわけでここまで伸ばしまくっても裏ボスとタイマンはきついものがあったのぉ。
で、それは今やこんなかんじ。
職業:使い魔 種族:猫
ランク:1 猫
ステータス
筋力 1
敏捷 2
生命 1
魔力 6
知力 5
精神 1
器用 2
スキル
猫魔術(Lv.1)地魔術(Lv.1)水魔術(Lv.1)火魔術(Lv.1)風魔術(Lv.1)光魔術(Lv.1)闇魔術(Lv.1)聖魔術(Lv.1)邪魔術(Lv.1)無魔術(Lv.1)
といった具合じゃ。
パッシブスキルは一切なし。
ステータスは全て初期。補助スキルは一切なし。一応、魔法は全て使えるがこれもまた全部初期へリセット。禁術は魔法レベルを全て90以上にせんと使用できんものじゃったのですべてが1にリセットされてしまった以上スキル欄から消えてしまったのは自明の理じゃが・・・・理じゃが・・・・
おいこら、血と汗と涙と膨大な時間と金を返せ!!
と言いたくもなるわ。
あそこまでするのにいったいどれほどの時間を要し、重課金しまくったことか・・・・
ちなみにステータスの数値についてじゃが、これは数値というかある種のレベルである。
敵を倒したあと、その内在している魂の経験値をどれに振るかで数値を挙げられるというもので規定数値まであげたらはれてステータス数値があがるというわけである。
で、さらに、全魔師ってのは最上位レアな職でランク10にもなれるよう何度課金して転職ガチャでやり直ししまくったことか・・・・・ランク9までは無課金でも転職できたが、ステータス上限があったからな。でも最上位のランク10はその上限は突破できるとしてもガチャしないと転職できず、ランクが上がらない仕様でしかもその最上位職は望むものが出るとは限らないランダム形式。
確かにどの職業も使えるものであれど、こっちとしては「この職になりたい」と狙ってできるものでなし。
その上レアであればなおのことであった。
その一歩前の統合魔術師でもいいっちゃあいいけど、全魔師なら魔力と精神補正が凄まじいものがあったからな。
ほかのステータスも増加できたし、魔法職を極めたいと思っておった儂としては・・・・何度回したことか。
それが今やただの猫・・・
ただの猫・・・
猫・・・
ねこ・・・・
あ、今考えただけでもふるふる震えてきた。
「あれ?ど、どうしたの?もしかして、ここに出てきて魔力酔とか?ど、どうしよ、保健室?あ、使い魔だから実験室、じゃなし、保育室?ど、どどどこっだっけ?」
そんな震えた儂を感じたかメルがどうしようもなく慌て始めた。
おっといかん。
考え事に没頭し始めておった。
それに何くれと話しかけておったが全くこやつに反応しておらんかったからな。
まぁ、歳の頃は・・・・いくつじゃろ?
ちょっと気になる。
そういえば、猫魔法とやらに補助スキル的なものがあったな。
猫魔術 <識別の瞳>
確か補助スキルの中には識別というものがあってこれはレベルによって見れる項目が増えるという仕様じゃったな。
とりあえず、じーっと見てみるか。震えをとめじっとメルを見つめる。
「あ、震えが止まった。よかった。それにこっちをようやく見てくれた。えへ、こんにちは」
にこにことメルが儂を見る。
うっ、視線が会うのはなかなかきつい。
が、ここは我慢。我慢じゃ。
名前:メルティウス=ダンジェス(12)
職業:魔法使い 種族:人
ランク1 魔法使いの卵
ステータス
魔力《識別不可》
スキル
魔法無) 天凛
ふむ、魔法使いの卵か。
まぁ、ここはどうも魔法使いの学校のようじゃから当然といえば、当然じゃが・・・・
ステータスが見えんな。
しかし、それ以外は見えるが、ステータス欄が魔力表記しかないのはどういうことか?猫魔術とやらのレベルが低いからかのぉ?
まぁ、それならそれでおいおいあげられるからよいか。
にしてもスキルはわかり、魔法が使えるか・・・・魔術ではないんじゃな。それに天凛か。
ゲーム内では確か、儂がランクが徐々に上がりやすく、それに連れて強くなりやすいというものじゃったかの。
ただ、ランクが上がるにつれてステータスの伸びもいい反面、初期の頃はとかくステータスの伸びが悪く、ある意味においてスパルタスキルとも呼ばれておった。
ランクはステータスに反映してなれるもので転職用と合わせて『ランクアップの魔石』でなれるものじゃが、そのステータスそのものの伸びが悪ければなかなかランクアップできず、スタート地点から強くしたいというのであればスタートダッシュ用のアイテムは必須な上にそれでもようやく人並みになれてどうにかといったものである。
もっとも、前半はともかく後半は伸びがいいということは知られておったので持っておったら当たりスキルというものじゃったな。
これさえあれば、ランク5あたりから徐々に強くなり、無課金であれば一番上野ランク9には無課金内であれば最強の座にいれるほどのものである。
もっともわしのように課金者の転職ガチャを使用するものであればランク10の特典《限界突破》とかステータス上げ用のアイテムなどで底上げが可能でカンストすることもでいるがな。
まぁ、わしのように突き詰めるものはごく少数じゃがな。
ふむ、まぁ、ともあれ、ゲームしようが適用されておるがステータスは魔力のみしか見られんということか?
細かい数値は年齢とランクのみか。
そのあたりはランクをあげることによって見られるのか?それともそういう仕様なのか?
「えっと、猫ちゃん、ねこ?うーん、そういえば、名前決めてないなぁ。えっと」
あっ、お、おいこらいきなり持ち上げるな。
ってちょ、股をさわさわしはじめた?!
チューしたり股をさわったりとか、こやつ、もしや相当な猫好きか?恋愛に関してはわしはノーマルじゃぞ。
まぁ、素人童貞じゃがな。こほん
「あ、この子、男の子か。三色の毛並みでってことだから・・・・ミケ?サンショ?さけ?うーん・・・」
おや、三色の毛並み?
それで猫ってことじゃから・・・
おお、わしってけっこうレアじゃな。
オスの三毛猫ということじゃろ。
あれって染色体の異常から発生する極めて稀な個体なはず。
なんたら症候群とかいう名前は忘れたが、そういうので生まれるものじゃったが・・・・あれ?でも生殖機能とかどうなんじゃろ?
ぶっちゃけ、使い魔じゃからそのあたりは漠然としておるなぁ。
まぁ、儂ももともとは老人じゃし、現実よりは二次の方がましなことを知っておるしの。
「よし、君はこれからサンちゃんだ。よろしくね、サンちゃん」
サンちゃんて、まぁ、三色だからじゃろうが安直なネーミングセンスというか・・・・まぁ、名前なぞどうでもよいか。
ま、儂、とりあえず、サンちゃんでよいか。
「よしついた」
そうこう考えているうちにメルは儂を抱いて教室前まできた。
その際少し顔を曇らせたような気がした。ついでに抱きしめる力も強くなったようじゃが。
はて?




