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ハイファンタジー 魔王様の神様ごっこ

「・・・飽きたわ」

「は? 魔王様、いかがされましたか?」


 私は魔王。それも、歴代最強の。私の代になって、人間との戦争はほぼ決着がついてしまった。今までの魔王は遊んでいたのか? と思うほどあっさりと。人間が住む世界は、もうすでにこの星の20分の1くらいで、いつでも絶滅させれる状態だ。

 けど、私は楽しみたい。もっとこの戦いを! だから私は、自作自演をすることにした。


「私、人間の味方をしてくることにするわ」

「は・・・? い、一体、何を言っておられるのですか?! もうすぐこの世界が魔族の手に入るというのに!」

「だからよ。この世界を手に入れた後、我々は何をする? 敵の居ない世界の何が楽しい? 堕落した生活が何を生むというのだ?」

「そっそれは・・・。しかし、何千年もかけて歴代の魔王様達が世界を手に入れようと頑張ってきた結果が―――」

「その結果、ずっと戦争が続いてきたのだろう? この程度の人類相手に、一体いままでの魔王達は何をしていたのだ?」

「そ、そう言われましても・・・。人間たちは窮地に陥ると、勇者と言う、人間ではありえないほどの力を持つものが生まれるのです。勇者が現れると、あっというまに我々は劣勢に陥るのです」

「勇者っていうのは、この間、この魔王城へ攻めてきた人間よね?」

「はい。その時に四天王のうち3人を倒し、魔王様へと挑んできたのです」

「あの程度の者が勇者だというの?」

「いえいえ、実際に勇者は強ぅございます。四天王様方も、魔族の中で精鋭中の精鋭でございます」

「でも、私は瞬殺したわよね?」

「・・・はい。お見事でした。まさか、たった一撃で勇者を倒すなど・・・」

「だったら、もうこの世界は私のものと言っても過言じゃないわよね? じゃあ、好きにするわ」

「ちょっ! ま、魔王様がご乱心だ! 皆のもの、魔王様を止めるのだ!」

「無理に決まってるじゃないっすか! 死ぬだけっす!」

「うぬぬぬぬ、魔王様ーーー!」


 こうして私は、私が楽しむために旅へと出ることにした。とりあえず、人間の街へと行ってみるとしよう。


 ―――ちょどよく、魔物が人間の村を襲っていた。この村には戦えるものが居ないのか、たかだか前線に配備された低ランクの魔物に蹂躙されている。魔物は、放っておけば魔力を糧にして勝手に生まれるものだ。我々魔族は、ある程度魔物を操るすべを持つ。体のいい戦力として、人間を殺す先兵を任せていた。

 私は村に入り、様子を見る。地面には人間が転がり、生きているものは居ないように見える。


「ブモオォォ!」


 ミノタウロスの雄叫びが聞こえる。何か獲物でも見つけたのか? ちょっと見に行ってみよう。

 見ると、10歳くらいの少女が頭を抱えてうずくまっていた。ミノタウロスは、その少女に向かって歩いていく。


「・・・邪魔だな」


 私は、少女を殺そうとしていたミノタウロスを片手で薙ぎ払い消滅させる。どうやらほとんどの村人が殺され、この少女が最後の住人の様だ。


「わ、私、助かったの・・・?」


 丁度いい、こいつで遊ぶとするか。というか、他に人間も居なさそうだし選択肢は無いか。


「少女よ、力が欲しいか?」

「ち、力・・・? あなたは一体?」

「私か? 私は神だ」


 私はすでに魔族特有の翼を隠し、神々しく見えるよう魔力でオーラを演出する。


「かみ、さま? ち、力が欲しいです! 私の両親を殺した魔族を、殺せるような力を!」


 ほぅ。今、まさに殺されそうだったと言うのに力強い目をしている。きっと、復讐心は強い力となるだろう。


「いいだろう。力をやる。だが、誰でも力を得られるというわけではないぞ? 今から私が与える力は、お前の体を蝕むだろう。その苦痛に耐えられるか?」

「はい! 耐えて見せます! どんなことをしてでも、生き抜いて見せます!」

「よかろう。では、この鍵を掴め」


 私は魔力を使って鍵の様に見える物を作る。これは変異魔法。本来は敵の体を変異させて殺す魔法だが、使い方によっては人間の体を強化できるだろう。とりあえず、魔物と対等に戦える体が無いと話にならんからな。ただ、当然体を改造するのだから死ぬほどの・・・いや、死ぬよりもつらい苦痛があるはずだ。


「分かりました・・・。ぎっ、ぎゃぁぁぁぁ!」


 少女が鍵を掴むと、絶叫しのたうちまわる。おそらく、体を握りつぶされて骨を砕かれる様な痛みを感じているはずだ。普通の人間なら、これほどの痛みを与えられれば死ぬだろう。まあ、これで死んだら死んだで次を探すだけだ。

 しばらくすると、静かになった。少女の目は見開かれ、涙と鼻水と涎で顔がぐしゃぐしゃだ。なんなら、失禁までしているな。


「・・・死んだか」


 私は、次の人間を探そうと立ち去ろうとした時―――


「がはっ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」


 少女は息を吹き返した。


「ほぅ。生きていたか」


 私は、褒美として少女の体を綺麗にする魔法を使う。ついでに、服も綺麗なやつに変えてやろう。


「はぁ、はぁ、はぁ、これで、私にも力が・・・?」

「ああ。そうだな―――あれなんかと戦ってみたらどうだ?」


 村にはまだ魔物が残っていた。少女の絶叫を聞きつけたホブゴブリンが、ゆっくりと歩いてくる。

 少女が立ち上がり、ホブゴブリンに向かって歩いていく。さっきまでミノタウロス相手に震えていた少女が、魔物相手に向かっていく。これは、思ったよりも面白い事になりそうだ。


 少女は、なんなく素手でホブゴブリンを殺していた。どうやら、体の改造に成功したようだ。


「これが、私の力・・・」


 私は、姿を消して少女の行動を見守ることにする。少女の体は、勇者の様に戦えば戦うほど強くなっていくはずだ。どうか成長してほしい。私の遊び相手となれるくらいに。

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