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ホラーファンタジー リアルRPG

気が付くと、教室の自分の机に座っていた。周りを見ると、ちらほらとクラスメートも見える。その全員が、制服ではなく鎧を着ていた。コスプレみたいなチャチな物じゃ無く、どう見ても本物だ。自分の姿を確認すると、何故かクラスメイト達と同様に鎧を着ている。


視界の右上に、06:28という表示が見えた。顔を動かしても視界の隅にあるので気になるが、目をつぶると若干見やすくなった。そうしていると、06:27と表示が変わったので、何かの残り時間だろうか?


「よぉ、お前も来させられたみたいだな」


俺に近づきながら話しかけてくる男子生徒が居た。クラスの友達で、名前は・・・あれ? 思い出せないぞ。ただ、目の前まで来ると、そいつの頭の上に名前が「シン」と表示される。


「なんだ、まだ名前を決めてないのか? ニックネームが空欄じゃないか」


「ニックネーム?」


「ああ。自分の名前を思い出そうとしたら、そう表示されるんだ」


そう言われたので、俺は自分の名前を思いだそうとするが、思い出せない。代わりに、シンが言ったとおりに「ニックネームを登録してください」と目の前に表示される。よく分からないが、とりあえず「スー」と登録してみた。


「おっ。お前は名前をスーにしたのか。俺はシンだ。よろしくな」


「ああ。よろしく。ところで、ここはどこなんだ?」


「俺も10分ほど前に来たからよく分からないんだが、俺よりももっと先に来てた奴らの話を聞いてた。そいつらの話じゃ、ここは夢の世界なんじゃ無いかって。多分、眠りに入ったらここに着くんだろうって話だった。それと、視界の端にタイマーが見えるだろ? ちなみに、俺のタイマーは06:10を表示してる。これは、眠ってから経過した時間分だけ減ってるんじゃないかという話だ」


「・・・俺は06:24・・・いや、今06:23になった。確かに、1分ほどで1減った感じだな。じゃあ、これが0になったら起きるって事か?」


「さあな。まだ誰も0になったやつが居ないから分からんだろう。ちなみに、俺が寝たのは大体22時頃で、一番早く寝た奴でも9時過ぎらしいから、そんなに差は無いと思うぞ」


「俺も22時くらいだったかな、寝たのは。それで、この装備は一体何なんだ?」


「それも分からん。皆、ここに来たらすでにその格好だったから。ちなみに、脱ぐのは不可能だ。まるで、異世界転生物の勇者みたいだよな。だったら、王様とか居てもよさそうだけど、ここ、学校の教室っぽいからなぁ」


そうしているうちに、何人か急に椅子に座った状態でクラスメイトが姿を現す。大体、高校生の寝る時間はみんな似たようなものなんだろう。徹夜したらどうなるのか知りたいが、今更だしな。


「じゃあ、これからどうするんだ?」


「とりあえず、学校の外に出てみようぜ。窓から、一応外の様子は見られるからな。ただ、この学校以外は似ても似つかない様子になってるけど。まあ、見た方が早いか」


俺はシンに着いて窓の方へ向かう。窓から外を見ると、人間の街が森に侵食されたような姿になっていた。時々、見た事が無い小動物なんかも横切るから、完全に現実世界では無いだろう。角の生えた兎なんて見た事ねぇよ。


「じゃあ、外に出てみようぜ」


玄関で靴を履き替えようと思ったが、すでにブーツのようなものを履いていたようだ。鎧どころか、靴も脱ぐ事が出来ないみたいだ。便利なのか?


そして、扉から出ようと思ったら、目の前に表示が出た。


・クエストを受注してください


「クエスト?」


「スーもか? 俺の目の前にも見えるな。いくつかあるうちの一つを選べっていうのか?」


クエスト内容は、角うさぎの角を5本集める。レッサーベアの毛皮を1つ集める。施設の修繕の3つだった。内容はシンと同じらしい。これがファーストクエストでみんな一緒って事か?


「俺は取り合えず、簡単そうな角うさぎの角5本かな。さっき、窓から見えた奴だろうし」


「シンと同じ奴にしても検証にならないから、俺は施設の修繕にしてみるよ。そもそも、俺に可愛いうさぎは殺せねぇ」


「いや、ゲームみたいなもんだろ?」


シンの言う通り、これが夢ならばゲームみたいなものだろう。ただし、リアルすぎる。それについては、用心する必要があるんじゃないかと俺は思う。


「とりあえず、最初はシンについてくよ。何なら、捕まえるのくらいは手伝ってやる」


「じゃあ、それでいこう」


角うさぎは、そこそこその辺を飛び回っているので見つけるのは簡単だった。ただ、意外にすばしっこいようで、簡単には捕まえられなさそうだが。


「くそっ、素早いな。めんどいから、捕まえて角を折るより、このまま剣で斬るわ」


シンはそう言うと、剣を上段に構え、角うさぎの一匹に振り下ろす。剣道部なだけあって、剣の扱いはうまいようだ。


「うげぇ・・・」


ただ、ゲームの様にポリゴンになって死ぬ事も、血が出ずに倒れる事も無く、斬られた場所から内臓が零れていて、血だまりも広がっていく。本物の動物を殺したかのようだ。


さらに変化があった。今まで逃げるだけだった角うさぎ達が、一斉にこちらに向かってきたのだ。


「シン、何かヤバイ! 逃げろ!」


「ああ? たかがウサギに何言ってるんだよ。5本集めるチャンスじゃねーか」


シンはそう言って剣を構え、向かってきた角うさぎを斬り捨てる。しかし、すぐ後ろから角うさぎが角を構えて飛び掛かってきた。


「痛ぇっ! くそっ、後ろにもいたのか」


シンが今着ている鎧は、見た目よりも防御力が無いのか、角が刺さった場所から血が出ているのが見える。そして、バランスを崩したシンに、次々と角うさぎが突進してくる。


「ちょ、やめっ、助け――」


転んだシンの目に、角うさぎの角が深々と突き刺さる。


「シ、シン・・・?」


これがゲームなら、リポップするなり、棺桶に入るなり、何かしらの変化があるはずだ。しかし、片目を見開いたまま倒れるシンは、血だまりを広げるだけで二度と動く事は無い。


「ひ、ひぃぃ!」


俺は、角うさぎから逃げる。俺は角うさぎを殺していないからか、俺を追いかけてくる事は無かった。学校へ戻る途中、レッサーベアと思われる動物の前に、爪で切り裂かれて死んでいる男子生徒が見えた。遠目だから、名前は分からない。顔は見た事あるはずなのに、相変わらず名前は思い出せない。


俺は校門へと走り込む。視界の端に、緑色のマーカーのようなものが見える。さっきまで気づかなかったが、これは俺の修繕クエストの場所を示しているように見える。なんだ、俺のクエストは校内だったのか。


「って、なんで俺は急に冷静になってるんだ?」


俺が校門をくぐった瞬間、シンの死が普通の事だと感じてしまっていた。違和感を覚えなくなったと言えばいいのか。まあ、そう言う事もあるよなって感じになっている。だから、クエストの事にも気づいたのだろう。


「とにかく、安全にクエストを進める事が重要なんだろう。剣道部のあいつが初期クエストで死ぬんじゃ、討伐クエストなんて到底無理だ」


俺は、修繕クエストを取っておいて良かった。だが、俺はまだこの世界を甘く見ていたようだ。まさか、修繕クエストですら死人が出るなんて思ってもみなかったのだ。





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