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ニコイチート~チート持ちとニコイチで異世界転生させられたので、手探りで冒険します~  作者: 桐山じゃろ
第二章

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16 僕たちは謎肉の謎を食べている

 着替えてそのままギルドに戻るも、まだ話を聞けそうにない。

 話を聞けるタイミングになったら教えてもらえるように頼んで、個室へ戻ろうとしたときだった。

「あっ、お待ちを。もしお手すきならお願いしたいことが」

 ギルドの受付さんに呼び止められた。



 頼まれたのは、魔物討伐のクエストだ。

 冒険者の殆どが既にクエストへ出掛けているか、教会関連のことで忙しいかで、急ぎのクエストを受ける人がいなかったらしい。

 最近、魔物は散々倒してたけど、普通にクエストを受けるのは久しぶりだ。


 難易度はA。森周辺以外でのB以上は珍しいんだそうだ。

 魔物を見つけた冒険者は、その魔物に見つかり、重傷を追って町に逃げ込んでからギルドに報告した。

 つまり、あとを追いかけてきている可能性が高い。


「なんとか応援をかき集めてきますので、その間の足止めだけでも……」

 ギルドカードを見せても、難易度A相手に一人では荷が重いと思われたようだ。

「大丈夫です。えっと……いや、本当に」

 先日の話をしようとして、やめた。英雄がなんとかってなったら面倒くさい。

 結局、現実的に同行者を見つけることができないので、ソロ狩りが認められた。

 絶対に無理をしないように、命を大事に、と念を押されまくってギルドハウスを出た。



「ジャッカロープってどんな見た目?」

“角の生えたウサギだ。人の言葉を真似して鳴く、と聞いたことがある”

 クエストのメモには魔物の名前と難易度、大まかな目撃場所しか書かれていない。緊急クエストで且つ、最近出現していない魔物だと、簡素なメモになる。

 それにしても、ウサギかぁ。

「こっちの世界の一般的なウサギってさ、人が飼うこととかある?」

“家畜としてならよくある。というか、昨晩も食べたではないか”

「……!? まさか……」

 こっちの世界に来てからよく食べる肉、メルノ達は普通に食べてる様子だったから、この世界特有の家畜動物だとばかり……。

 森で狩るのはイノシシに似たのや鳥類ばっかりだったし……。

「ウサギを食べてたのか……」

 日本では食べる機会はなかったし、あったとしても絶対遠慮してたよ……。

“何だ、苦手だったか”

「違う……むしろ好き……」

“なら良いではないか”

「そういう好きじゃなくて……ちょ、ごめん、代わって」


「本当にどうした」

“気持ちの整理するから、ジャッカロープも頼む。場所は……”

 [気配察知]で調べておいた場所を伝えて、身体の中に引きこもる。


 ウサギ、可愛いよね。




◆◆◆




 アルハがだいぶ参っている。原因はウサギのようだ。

 旅を始めた頃に森のウサギを狩って食料にしたことがあった。野生と家畜では、味がだいぶ違うと思い知ったのはその時だ。それ以前に自分の料理の腕がかなり拙いことにも気がつけた。以来、食料だけは必ず前もって準備すると決めている。


 ジャッカロープは話でしか聞いたことがない。

 アルハに聞いた場所へ赴くと、そこに話通りの魔物がいた。大きさは、この体の倍はある。それが三匹。

 身を隠していたのに気づかれてしまい、すぐに襲ってきた。

 氷の刃を創り出して首を狙う。弱点は角だと聞いたが、首でも間違いではないだろう。

 刃は鈍い音とともに弾かれ、砕けた。隙きを晒してしまい、蹴り飛ばされた。

 強い。そういえば難易度Aだったな。

 幸い無傷で済んだ。頑丈な身体でよかった。

 ただし、衝撃はアルハに伝わってしまった。


「ごめん、馬鹿らしいことで凹んでる場合じゃなかった」


 飛び起きる、と表現するのが適当だろう。

 身体の主導権を持っていくと同時に、俺に蹴りを入れたジャッカロープを蹴り返していた。

 ジャッカロープは周囲の木をへし折りながら吹き飛び、動かなくなった。

 残りの2匹は、なんと逃げ出した。

 魔物は、他の生き物の排除を何よりも優先する。

 それが、アルハの攻撃を見ただけで、脇目もふらずに逃走を図った。不思議な現象だ。


 景色が霞み、次に見たのは、刀で両断されたジャッカロープたちの姿だった。




◆◆◆




「ごめん」

 ウサギショックはまだ抜けきってなかったけど、ヴェイグを蹴りつけるようなウサギは論外だ。

 ていうか、ジャッカロープは思ってたウサギと違った。

 角と凶悪な目つきだけで、あの神に愛された造形が、あそこまで可愛くなくなるとは……。

“いや、初手に氷ではなく剣を創ればよかったのだ。それよりアルハ、また強くなっていないか”

「そう? ……そういえば、魔物たくさん倒したっけ」


 増えたスキルは無し。ステータスの数字は全て、前に見た時の三倍の、六十万になっていた。

「どこまでいくんだろうね」

“わからん”

 ヴェイグも3倍の六万になってたそうだ。

 そんなヴェイグの魔法の氷を砕いて更に蹴りを入れたジャッカロープ、強すぎない?


「そうだ、ドロップ」

 死体はちゃんと消えていて、アイテムも落ちていた。

 直径5センチ位で円盤型の赤い封石と、ふわふわした綿毛の塊が3つずつ。

 ……この綿毛モフモフしてていいな。

「ドロップアイテムって、普通は加工して装備とかにするんだよね。これはどう使うの?」

“服の装飾に使われているのを見たことがある”

「そっか」

 キーホルダーみたいにできないかな。そしたら常にもふもふできる。



 ギルドハウスに戻って報告していると、ガブレーンがやってきた。

「待たせてすまなかったな。今、大丈夫か」

 ようやく、教会についての話を聞かせてもらえるようだ。



 会議室にはオーカと、冒険者が数人いた。

 オーカに一つの席を示されたので、そこに座る。見知らぬ冒険者3人と向かい合う形になった。

「オーカ、こちらが?」

 3人のうち、唯一の女性が、オーカに問い掛けた。

「ええ、アルハよ。アルハ、こっちはエリオス、ライド、リース」

 エリオスは赤い短髪の巨漢だ。背中に大剣を背負っている。ライドも男性だけど、僕と同じくらいの細身で、青くて長い髪を後ろで一つに括り、左右に長剣を下げている。リースは女性で、オレンジ色の髪を帽子の中にまとめて、杖を握っている。

 3人に会釈をされて、こちらも返した。


「オーカ嬢、3人の紹介は……」

「今、軽く済んだわ」

「それなら、早速向かってくれるか。アルハ、説明は道すがらオーカ嬢から聞いてくれ」

「そんなに急ぐんですか?」

 話が性急すぎて、何が何やら。

 これから何処へ向うのか、何をするのか、このパーティで行く意味は。

「ああ。コワディスによれば、今夜中にまた狼煙が上がるやも知れんのだ。呼ばれる前に、止めたほうが良いだろう」



 日が沈み、暗くなった街を、即席のパーティは北へ向かった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] なるほど…人外と言っても良い程の力を持ってるから地球の倫理観や生き物に対する殺生への忌避感を持つ余裕があるんだな
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