無事、生きてます
円形劇場を登りきり、囲むように広がっている屋台を抜けようとロードナイトが進行方向を変える。
その瞬間、ドン。と後ろから、衝撃が来て、どきりとさせられる。
ロードナイトがはっと緊張して身を翻し、かばうようにウェラディアを抱きとめた。
もしこれが刺客だったら、ウェラディアは絶対刺されている。
ロードナイトの緊張も当然なのかもしれない。
ところが。
「ご、ごめんなさ……わ、荷物広げちゃった!」
「わー委員長どんくさいなー。ごめんなさい……怪我とかしてないですか?」
「わっ。カイが敬語らしきものを使ってる!」
「あのなぁ、ぶつかったの委員長なんだから、ちゃんと頭下げて謝ったほうがいいんじゃない?」
ウェラディアよりも少し年が若そうな少年と少女だった。
黒い制服らしきものを着ているのは、学生だからだろうか。
マナハルト王都クルムバートレインにも、学校があり、その学校それぞれの制服がある。
けれども、目の前の少年少女が着ているのはウェラディアがあまり見た覚えのない制服だ。
あるいはウェラディアがあまり王都に詳しくなくて知らないだけかもしれないけれど。
眼鏡をかけた制服の少女は黒髪をひっつめにした頭を申し訳なさそうに下げて、早口に謝罪を口にする。
「う……その、本当にごめんなさい! ちょっと慌ててて……! あの、本当にお怪我はなかったですか?」
「あ、うん……ロードナイトが抱きとめてくれたから……大丈夫……」
勢いに押されるようにウェラディアが答えると、委員長と呼ばれている少女は見るからに安心したようだった。
少女のそばにいる白金色の髪の少年は、やれやれといわんばかりに肩をすくめている。
「よかったぁぁ」
「委員長が慌てすぎなんだよ。こんなに人が多いのにさぁ……ちょっと落ち着けって言ってんのに」
「だって手品を見ているうちにハルくん、どっかいっちゃったし早く探さないと」
「ハルならひとりでも大丈夫だって。むしろ委員長のほうが迷子になったら心配だ……方向音痴なんだから」
「うぅ……それはその……あ、そうだ! 白いチュニックを着た小さな男の子見ませんでした!? 真っ赤な髪で、背中に天使の羽根のついたリュックを身につけてるんですけど」
少女は眉根をよせ、ウェラディアに食いつくようにして問いかける。その必死な顔が近づくのと、ロードナイトがふっと緊張を解いたのとはほぼ同時だった。
「さ、さぁ……ロードナイト、見かけた?」
「いいえ。私の見える範囲では見かけませんでしたが……この人出ですからね。小さい子だと、人の影になって見つけにくいかもしれませんね」
ロードナイトはほかの人よりも頭ひとつ分以上高いところから、辺りを見回して、やがて見つからないとでもいうふうに軽く頭を振った。
「委員長、だからハルなら絶対大丈夫だから、祭りの山車を見に行こうよ~」
「ダ・メ! ハルくんがいくらしっかりしてるといっても小さいんだし、人さらいにでも連れられたら大変じゃない! 探すのが先に決まってるでしょ!? 行くわよ!」
そういうと、少女は「えー!?」と非難の声をあげる少年を引きずって人並みの向こうに消えてしまった。
「えと……幸運を祈るわ……」
ウェラディアが頑張ってと、いなくなった二人にエールを送ると、
「じゃあ、私たちも行きましょう。確か収穫の舞踏は闘技場の方だったはずだから」
ロードナイトに引っ張られて、ウェラディアも人並みの中、歩き出した。
頭痛とか用事とかあれで遅くなりましたが
更新。
明日…明日も頑張るー




