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二年後

【起きてください。マスター】


 深い眠りに着いていた俺は、脳内に響く女性の声で目が覚める。


 おはよう。


【おはようございます。二年が経ちましたが、どうなさいますか?】


 ふむ、まずはこの家の事を教えて欲しい。


【はい。マスターがお生まれになられた家ですが、どうやら下級貴族で、子爵の役割を与えられていて、今回の父親であるライゼン=ブラッドフィールドは王国騎士団の団長をしているそうです】


 王国騎士団の団長が父親か。

 次に、この世界はどんな世界だ?


【マスターの大好きな、剣と魔法の世界です】


 やったぜ。

 と、なると、今回も冒険者になって世界を渡り歩くことにしよう。

 でも子爵の息子か。

 俺が冒険者になることは可能か?


【はい、可能です。今回の世界では、マスターに兄弟が居られます。彼に家を継ぐことになるので、マスターは家の事は考えなくて大丈夫です】


 オーケー。

 今回も冒険者になって世界をぶらぶら渡り歩こうか。


【私はマスターに付いていくのみです】


 今回も期待しているよ、サーシャ。


【お任せください。マスター】


 さて、まずはこの世界を得よう。


 俺は寝転んでいたベッドから起き上がり、上手くベッドから降りる。

 小さい体は不便だな。


【数年の辛抱です】


 だな。


 不安定な足取りだが、歩くことは出来た。

 知識と言えば本。

 まずは本を探そう。


 下級とはいえ貴族だ。

 本なら大量にあるだろう。


「あら? アルヴァ様どこへ行かれるんですか?」


 部屋から廊下に出た所で、メイドらしき女性に見つかってしまった。

 なかなかの美人だ。


「ご本読みたいの」


 嘘をついても仕方がないのでそう伝える。

 子供言葉なのは違和感を持たせないためだ。


【私からすると違和感しかないですがね】


 慣れろ。


【無理です】


「本ですか? わかりました、書斎へ参りましょう」

「あい」


 メイドに連れられて書斎へ。

 書斎と言うだけあり、四方の壁が本で埋まっていた。

 これは色々な知識を付けられそうだ。


「アルヴァ様のお年ですと、絵本ですね。アルヴァ様、お膝へどうぞ」


 メイドは数冊の絵本を手に取ると、椅子に座り、膝をポンポンと叩く。

 どうやら読み聞かせてくれるようだ。


「あい」


 俺は頷いてメイドの膝の上に座る。

 座り心地最高。


「では、読ませていただきますね」


 メイドの読んでくれた絵本の字を、言葉と当て嵌めていき勉強する。

 内容としては定番中の定番こと、世界を救った勇者の話だ。


「つぎ」

「次ですねー」


 メイドは俺の言葉に読み終わった本を置き、他の本を手に取り読み聞かせてくれた。

 読み聞かせて貰いながら勉強していると、幼い体だからか、眠くなってきた。

 不便だな。


「お昼寝しますか?」

「あい」


 メイドは俺が頷いたのを見て微笑みを浮かべ、俺を抱っこすると、部屋まで連れて行ってくれた。


「お昼にまた来ますね」

「あい…」


 俺は頷き、睡魔に身を預けた。


 こんな感じで、俺は毎日を過ごした。



◇◆◇◆◇◆◇



 早くも一年が過ぎ去り、俺は三歳になった。

 この頃には割と満足に話せるようになっており、字も読めるようになっていた。


【私に言って頂ければ翻訳いたしますのに……】


 こう言うのは勉強してなんぼだろ。

 さて、そろそろ魔法の勉強もしていこうか。


【調べたところ、今までにあった魔法の世界と変わりはないようです】


 ふむ。

 でも詠唱とか違うんだろ?


【この世界では詠唱などは特にないようです。イメージで魔法を形作り、それを明確にし、発動するため魔法名を口にするといった感じのようです】


 なるほど。

 早速試しに行こう。


 俺は裏庭に向かった。


 裏庭はあまり人が来ないところなので、魔法の練習にはもってこいの場所なのだ。


 最初は何をしようか?


【無難に火でいいと思いますよ】


 そうだな。


「よし…!」


 イメージするのは炎で出来た狼。

 イメージ出来たので魔法名を紡ぐ。


「‘フレイムウォルフ’」


 すると、イメージ通りの炎の狼が現れた。


【成功ですね。まあ、当たり前ですが】


 これなら無詠唱も行けるな。

 俺は狼を小さいドラゴンの形へと変える。


【お見事】


 他の属性でも試してみるか。

 結果は言わずもがな……。


 その後、色々試してみたが……。

 うん。

 この世界で生きていくのに不便は何もなさそうです。


【私がいるので、不便することはありえませんけどね】


 確かに。


【あと、マスターに一つご報告がございます】


 なに?


【この世界は一回目、十八回目、二十四回目等の世界と同じように、ステータスシステムがあるようです】


 ほう。


【この世界ではステータスカードと言う物があり、他の世界で言うギルドカードの裏に記載されるシステムのようです】


 んじゃ、普通の人はギルドに登録するまではステータスを確認できないのか。


【そうなりますね。なので、ギルドに登録していない人はステータスが分からないそうです】


 なるほどなぁ。

 ところで、今の俺のステータス表示できる?


【出来ますよ】


 さすがサーシャ。


【ありがとうございます。では表示しますね】


 俺の前にゲームのUIのような画面が表示される。


―――――――――――――――――――――――――

名前:アルヴァ=ブラッドフィールド

種族:人族

LV :2

魔力:NODATA

攻撃:NODATA

防御:NODATA

速さ:NODATA

魔攻:NODATA

魔防:NODATA

運 :NODATA


固有スキル:無限転生、検索Lv.MAX(サーシャ)、ステータス引継ぎ、完全記憶能力、鑑定


スキル:状態異常無効、魔の極み、剣聖、拳聖、空中歩行


称号:元弱者、元勇者、元魔王、元魔族の王女、元人族の王女、脳筋勇者、脳筋魔王、脳筋王女、竜殺し、龍殺し、無限転生者、千の世界を渡り歩く者etc..

―――――――――――――――――――――――――


 NODATAってエラー?


【おそらく、設定の上限を超えた数値と言うことでしょう】


 あー、なるほど。

 ステータスカードをいじる時は任せたよ。


【了解いたしました】


 サーシャが了承すると、俺の前に表示されていたUIが消える。


「アルヴァ様ー! どこですかー?」


 今の時間は夕方。

 そろそろ夕飯の時間か。

 メイドが俺を探しているので、夕飯が出来上がったのだろう。


「あー! やっぱりここにいましたね!」


 表に戻ろうとした所で、メイドが角からひょこっと顔を覗かせて言った。


「なんでわかったの?」

「最近アルヴァ様が裏庭から帰ってくるって他のメイド達から聞いているんですよ。なので、今日もここにいらっしゃるのでは? と思いました」

「そっかー! 見られちゃってたんだね……」


 魔法の試し打ちとかはばれてはいないだろう。


「どこか行くときは誰かに一言伝えてくださいね?」

「はーい」




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