43話 猫耳かふぇ開店です
イシュダール王国の首都ハモンには変わった邸宅がある。
王族や貴族からは『猫耳邸』と呼ばれ、庶民からは『ピーオニー邸』と呼ばれている。
其処には黒髪と黒い瞳を持つ女性が数名暮らしており、そんな事から子供達には『ミミの家』とも呼ばれている。
其処は邸宅でありながら、店でもあると言う。
誰でも入れる店では無く、爵位を持つ家の女性だけしか入店出来ない店である。
完全予約制で一日三名しかお客を取らず、おしゃべりをしながらお茶を飲む為だけの店らしい。
お付の侍女も店内には入る事が出来ず、控えの間で待つか、先に家に帰る事を選択される。
お茶を飲むだけと言ってもその種類は豊富で、紅茶、緑茶、ハーブ、果実、花等を使った物や、甘いミルクを混ぜた物、甘いジャムを入れた物等多種多様である。
暖かい飲み物以外にも冷たいお茶も用意されており、それ以外にはフレッシュジュースも要望に応じて飲む事が出来る。果実100%は勿論だが、果実と野菜をミックスさせた飲み物が特に喜ばれている様だ。
お茶と一緒に提供されるのはやはり菓子なのだが、白くてふわふわした口に入れると溶けるマシュマロ、果実を混ぜて作られたババロア、色取り取りの丸いマカロン、などなど名前も見た目も味も初めて体験する菓子ばかりが目の前に並ぶと言う。
それらは全て、その邸宅で作られ、門外不出のレシピと言われている。
(いっきに異世界の文化が流出されるのを避ける為で、この世界の文化を守る措置とされている)
この地での主流となる生クリームがたっぷり乗ったケーキはこの店では提供される事が無いが、生クリームと似て異なるモンブランと言われるケーキが時折提供されている。
お客様の相手をするのは其々一人づつのメイドと呼ばれる少女達。
お揃いのメイド服は膝下までの黒いワンピース、その裾からは幾重にも重なった真っ白いレースのパニエ、くるぶしまでの白いレースの靴下にワンストラップのエナメルの黒い靴。
白くて丸い襟と七分袖のカフスも丸くて白い。
その少女たちの髪の毛も瞳もお揃いの様に黒く、その頭の上には黒くて中央が薄いピンク色の「猫耳」と呼ばれる物が乗っている。
今日もこの地は爽やかに晴れて気持ちが良い。
カラン♪ コロン♪
お客が扉を開けると、木で作られたドアチャイムが素朴な音色を響かせる。
「お待ちしておりました!猫耳かふぇへ、ようこそ!」
元気な声と可愛い笑顔が出迎えてくれる「かふぇ」は本日も盛況だ。
メイドが先になって案内をし、その後ろにお客が続く。
そして時折その後ろには、白い猫と黒い猫と三匹の小さな子猫も続くのだった。
これで本編は最終話となります。
長らくお付き合い頂き、本当にありがとうございました。
後日、説明不足だった部分を埋めるべく、むさい会話を載せる予定です。
宜しければそちらもお楽しみください。




